「うなぎ鬼」 [これはみたい一冊]
『何でも喰っちまうらしいぞ、やつらは…』。取り立て屋とデリヘルの運転手をしている主人公の勝が心酔する社長に命じられた「仕事」とは…。密かに運び込まれる冷凍の箱、うなぎの群れ、ヤバイ仕事。ぞくりと肌が粟立つミステリー小説『うなぎ鬼』(四六判・284頁・1785円[税込]・高田侑著)が新潮社より発行された。
著者の高田侑氏は、ホラーサスペンス大賞を受賞している折り紙付きのミステリー作家。そんな著者が描くアンダーグランドな世界に読者はぐいぐいと引き込まれていく。古い街の一番奥で行われる “鰻の養殖場”の存在が終始、物語を引っ張っていく。その養殖場の裏には、ホルモンを喰わせる店、怪しい焼却炉のような箱など、謎が謎を呼び、読者の想像を十二分にかき立てる。
タイトルの『うなぎ鬼』とは、はたしてどのような意味を表しているのか。ラストで急展開をむかえる謎が謎を呼ぶミステリー&ホラー小説だけに最後まで目を離せない。これからの暑い夏にうってつけの本書を是非とも一読してみてはいかがだろうか。(茂)
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東京都新宿区矢来町71
読者係03-3266-5111
『うなぎ鬼』
著者:高田侑
新潮社発行
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