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一燈照隅万燈照国 [本紙記事/速報]

『一燈照隅万燈照国』(2012.7.5号掲載分〜「鰻に魅せられて」より〜)




“史上最悪“の土用丑になる?そんな声が漏れ聞こえるように、シラス不漁を背景とする相場高騰から、ウナギ加工品、そして蒲焼専門店のメニュー価格は軒並み値上がり、”想定外“のウナギ離れ現象が起きている。新聞、テレビなどの一般メディアは相変わらず、“相場高騰”に関する報道、あるいは“ウナギに代わる商品”を特集するなど、消費者がウナギから遠ざかるのは当然かもしれない。


そうした常軌を逸したウナギ相場は、さすがにマーケットを冷やし、一転、下落している状態だ。蒲焼業界においても、値上げを余儀なくされたお店は多いが、“値下げ”については「値上げですべてはカバーしきれていない」(蒲焼店)との声も多く、メニュー価格を元に戻す動きは少数だ。加工品については、特に原料が高かった時に加工された事から、コンビニ各社、そして“うな丼”戦争で毎年、マスコミに取り上げられる『すき家』『吉野家』においても、史上最高値を更新している。“総菜だったウナギはかつてのごちそうになりつつある”、そんな声も出始めるほど、ウナギ業界は大きな転換期にきている。


生産団体の日鰻連、全鰻連、流通団体の全荷連、輸入団体の日本鰻輸入組合、蒲焼き店談代の全蒲連など各組織により構成される日本鰻協会も先般、危機的な“資源”状況から“天然ウナギ資源保護”の姿勢を明らかにするなど、取り巻く環境は刻一刻と変化している。


ところで、タイトルにもある『一燈照隅万燈照国(いっとうしょうぐうばんとうしょうこく)。これは、ひとつの灯りは隅しか照らせないが、万の灯りは国全体を照らすことが出来る、転じて一人一人が自分の役割を一生懸命に果たす事が組織全体にとって最も貴重であるという意味である。


これまで、ウナギ業界の窮状を長々と書き連ねてきた。取り巻く状況からも厳しい丑商戦は避けられないかもしれない。しかしながら、『一燈照隅万燈照国』のように、川上から川下まで、そして各組織の各人が“一人でも多くの消費者にウナギを購入していただく”ため、“一隅を照らす”ような、地道な働きかけが”業界全体にとってこの先、良い影響を及ぼす事を望みたい。

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