各県毎に養鰻組織一本化!! 〜全国の主要産地県で相次いで協議会設立へ〜 [本紙記事/速報]
<行政指導の中で「資源保護・管理」への対応進む>
▼2016年に行われるワシントン条約を控え、国内外ではウナギ資源保護・管理の動きが活発化している。四年連続のシラスウナギ不漁を背景に、国際的権威あるIUCN(国際自然保護連合)がニホンウナギをレッドリストに絶滅危惧種として登録したことで、状況はさらに悪化。国内の主要産地県は、“養鰻生産量制限”に係るウナギ割当の一貫として協議会が県毎に相次いで設立、一本化し、新たな養鰻資源管理団体設立の方向にある。業界の先行きを占う「ウナギの国際的資源保護・管理に係る第七回非公式協議」も16、17日の両日、行われるだけにますますウナギ資源保護管理の動きから目が離せない。
ウナギ資源保護、管理へ向けた取組みが着々と進んでいる。振り返れば、ウナギ資源保護への注目度が高まったのは、四年連続のシラスウナギ不漁。それを背景に、環境省が昨年2月、世界的権威のあるIUCN(国際自然保護連合)が今年6月、ニホンウナギをレッドリストに絶滅危惧種として登録した。多くのメディアもこれを相次いで取り上げ、一般消費者間では“ウナギはもう食べられなくなるのか?”といった不安が高まる等、今夏の丑商戦は一部で“かけこみ需要”も散見されたほどだ。
また2年後の2016年には、ワシントン条約締約国会議も控えている。巷では、“ワシントン条約掲載は免れない”といった声も根強く、ウナギ資源を取り巻く状況は待ったなしだ。こうしたことから、昨今のウナギ業界はまさに“ウナギ資源保護”一色となっている。
本紙では前号(9月5日号)でも“ウナギ資源に係る国際会議が間近!”と題し、直前のウナギ資源を巡る取組み、活動等を掲載した。来る16、17日の両日、東京千代田区の三番町共用会議所で行われる「ウナギの国際的資源保護・管理に係る第七回非公式協議」では、“ウナギ資源管理の枠組み設立”とともに“それを活用した養鰻生産量の制限による資源管理について結論を得るべく議論する”予定となっている。当日は、日本、中国、台湾、韓国、フィリピンの参加が予定されるなか、ワシントン条約へ向けて資源保護をアピールする意味でも“養鰻生産量制限”がひとつのポイントになっていく。その会議ではおそらく、日本主導で各国・地域に向けて前述した“養鰻生産量制限”を促すものとみられる。
日本国内ではすでに一部養鰻業者を集めた管理協議会が繰り返し実施されている。またこの1カ月前後の間、主要産地県では相次いで“養鰻生産量制限”の一貫として、ウナギを割り当てるための協議会が県毎に設立されている。これまで全国に先駆け7月24日に、鹿児島県養鰻管理協議会(楠田茂男会長)、今月2日に養鰻生産管理委員会(鵜殿健治会長/愛知県養鰻漁業者協会内)、続いて養鰻管理協議会(内山光治会長/静岡県養鰻協会)、熊本県養鰻管理協議会(村上寅美会長)、高知県養鰻生産者協議会(徳弘芳夫会長)、徳島県養鰻協議会(松山忠治会長)、三重県養鰻管理協議会(野口茂司会長)、千葉県養鰻管理協議会(臼井英治会長)、福岡県養鰻管理協議会(各務利光会長│未)、宮崎県養鰻管理協議会(月内に設立総会予定)と主だったところがまとまってきている。
ある資料によれば、日鰻連が東海地区(15県)、全鰻連が九州地区(8県)を取りまとめ、新たに養鰻資源管理団体を設立する方向にあり、その会員が生産したウナギについては“適マーク”を添付する事で、国際的資源管理に取り組んでいることのアピールにつなげるようで、昨今の各県の協議会設立はその前段の動きと言える。
なお、参考までに平成25年度の養鰻生産量は上位から鹿児島5747トン、愛知3140トン、宮崎2840トン、静岡1396トン、三重263トンで、全国計は14200トンと、上位5県で実に94%を占めている。
前述したように主要各県において協議会が相次いで設立、ウナギ資源保護、管理が着々と具体化され、急ピッチで進むなか、とくに“養鰻生産量制限”に関連するウナギの割当に対して「県同士で枠の取り合い等、混乱は不可避では」「減らされる量にもよるが、平等に割当というのは難しいだろう」「生産の過去実績ではない判断基準の話もあり、相当揉めそう」など養鰻業者から聞かれている。これまでのウナギ資源保護への取組みは、16年のワシントン条約掲載回避が一番の目的だけに、どこまで国内外がひとつにまとまれるか、注目が集まる。