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「蒲焼店が考える“これから”」58 〜2015年12月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


嘉川博紀専務
(うなぎ・割烹 北御門/長崎県諫早市)

『鰻価が不透明、その他の材料を見直している』

今年も残りあとわずかとなった。ウナギ業界にとってオフシーズンにあるが、その一方で忘年会シーズン真っただ中。これまでの売れ行き、そして現状、今後をどのように見通しているか。

「前年同様の売れ行きです。年末年始の忘・新年会で忙しくなると思われますが、鰻の価格が不透明であり、その他の材料の見直しをしています」
 
近年、続いているシラスウナギ不漁により、相場は高騰。多くの専門店ではメニュー価格の値上げを余儀なくされた。このため、ウナギ離れも叫ばれているなか、そうしたお客を一人でも多く取り戻すために何か、働きかけているか。

「販売促進としてホームページの補強やネット対策、通販商品の充実に力を入れています。福岡中洲の吉塚うなぎ屋さんの呼びかけに賛同し、12月17、18日に鰻子供祭りを実施致します。専門店で鰻料理を口にする機会も少なくなってしまったお子様に、ご家族で楽しい時間を過ごしていただきたく、特別価格でご奉仕させていただきます」
 
一方、扱っているウナギに対する見解はどうだろうか。

「現在、弊社で扱っているのは国産のみです。品質にバラつきなく、安全な育てられ方をしている、と証明出来るならば、中国、台湾の鰻も扱いたいと思います。しかし、長崎・諫早のお客様の国産鰻に対するニーズが高いのでご理解いただくのは時間がかかると思われます」

ところで近年は、ウナギ資源保護管理が日本をリーダーシップに東アジア4カ国・地域で進んでいるなか、来年9月、ワシントン条約締約国会議が開催される。その行方が気になるところだが貴店はどのような見解を持っているか。

「想定外の状況を予想し、楽観的予測から悲観的なものまで、いくつかのシナリオを考えています。悲観的なシナリオからはついつい目を背けがちになりますが、ある程度の準備は必要だと思います」

前出のように、ウナギ資源保護管理の話題など資源の話ばかりが大きくクローズアップされている昨今。しかし、その一方でウナギ資源と同様に、ウナギ文化継承に欠かせない、ウナギ職人の”不足問題“も避けては通れない大きな問題の一つとなっている。

「和食の料理人さんに鰻料理を勉強、修行させていただいています。鰻専門の職人と和食の調理人に不公平感が出ないように気配りしております」

資源問題、職人不足、加えて近年のウナギマーケットの縮小など、問題は山積している状況だ。一昔前に比べてウナギ業界を取り巻く環境が大きく様変わりしているなか、蒲焼専門店として今後、どうあるべきなのか、あるいは何をしていくべきだろうか。

「地元の昔ながらのお客様を大切にしながらも、枠にとらわれず、料理、食品の知識を増やし、健康を維持し、出来れば90歳まで現役で鰻を焼いていければと思います」

[データ]
「うなぎ・割烹 北御門」
〒854-0011 長崎県諫早市八天町4-3
電話:0957-22-0167

嘉川博紀専務.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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