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「蒲焼店が考える“これから”」84 〜2016年10月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


田口敏男店主
(田口屋/埼玉県久喜市)

『職人不足は深刻。若い人にはどんどん実施してもらっている』

11月も間近に迫り、秋もさらに深まってくる。業界にとってはまさにオフシーズンまっただなか、これまでの高値安定もあり、活鰻の荷動きは低調のままだ。懸念される売行き、あるいは利益率など、どのような感じで推移して来ているだろうか。

「昨年同時期と比べ、鰻の売行きは落ち込んでいます。昨年は9月以降、少しずつ落ち込んだ印象ですが、今年は急激な落ち込み方です。また繁忙期より活鰻の値が下がりましたが、高値安定は苦しい状況です」

今年は昨年に比べて、とくに夏場以降は急激に売行きが落ち込んでおり、さらに厳しい販売を強いられているとのことだが、そうしたなかで貴店での販売促進、またどのようなインバウンド対策を実施しているのだろうか?

「販売促進はホームページ等で充実させています。圏央道開通もあり、遠方のお客様が増えた感じです。インバウンド消費対策は、当店ではこれからメニューに英語や中国語、韓国語など併記する予定です」

ところで貴店では現在、どのようなサイズの活鰻原料を使用しているか。また“良いうなぎ”とは具体的にどのようなものをいうのだろうか?そして養鰻業者への要望は何だろうか。

「扱っているサイズは4.5P、3.7Pです。また、良いうなぎというのは活鰻の色がきれいであること、他にも割きやすく、串打ちしやすい、そして白を入れても身の縮みが少ない、ふっくらとした鰻ではないでしょうか。ちなみに、養鰻業者さんへは身が硬くならないように育ててほしいです。なお、扱っている活鰻は、国産と台湾産です」

多くのメディアが取りあげた、ワシントン条約締約国会議が今月4日、閉会した。ニホンウナギの附属書への掲載は回避されたものの、EUがウナギの資源、流通実態の調査を提案している。それほど、ウナギに対する注目度は高い事の表れで、先行きが非常に気になるところだ。近年取りざたされるウナギ資源問題についてはどんな意見を持っているだろうか。専門店間では、“天然ウナギを使用しない”動きが目立っている他、完全養殖の商業化に向けた研究機関への募金活動の動きも出ている。

「以前は、お客様から“釣った天然うなぎをさばいてください”とよく頼まれました。しかし、現在はお断りして、保護に協力していただいております」 

深刻な状態にあるウナギ資源問題だが、同様に看過出来ないもうひとつの問題がウナギ職人不足。この件について、現在はどのような考えを持っているだろうか?また貴店では、そうした問題に対して、これまでにどのような対策を実施しているだろうか。

「職人不足は深刻な問題です。今は昔のような“串打ち3年、割き8年、焼きは一生”、と言われる時代ではないと考えます。弊店では若い人にはどんどん教え、実践してもらっています。確保については週休二日制を考えています」

前述のようにあらゆる場面で取り沙汰されるウナギ資源問題をはじめ、職人問題、相場の高値安定によるマーケットの縮小など、ウナギ業界は一昔前に比べ、一変しています。そうしたなかで、うなぎ専門店としては今後、どうあるべきか、あるいは何をしていくべきだろうか?

「美味しいうなぎを提供することは当然ですが、日本食は寿司、天ぷら、うなぎ、と言われるよう、これからも引き続いて努力していきたいと思っています」

[データ]
「田口屋」
〒346-0113 埼玉県久喜市菖蒲町下栢間2106
TEL:0480-85-0496

田口敏男店長ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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