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「蒲焼店が考える“これから”」87 〜2016年11月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


原田恵介店主
(うなぎの三河/愛知県豊田市)

「昔からある技術を変えずに続けていくことが大事」

今年も早いもので残り1ヶ月余りとなった。昨今は一気に冬らしい寒さに見舞われ、消費は低迷、荷動きの指標となる、東京淡水魚卸協同組合の10月分のデータを見ても依然として昨対減が続き、厳しい状況を強いられている。専門店においても売行きが懸念されるところだが、店舗改装の効果、あるいは利益率などどのように推移しているだろうか。

「7月に店舗改装したこともあり、昨年より売り上げは伸びています。仕入れ値が上がっているため、売り上げが伸びても利益があまりない感じがします」

夏場以降、多くの専門店間では、昨年以上に売行きの落ち込みが顕著だったという声が案外、目立った。加えてオフシーズン、値下がっても未だ一昔前に比べて高い水準にある活鰻価格。そうしたなか、販売促進、あるいはインバウンド消費のためにどのような対策を実施されているか。

「Facebook、LINE、TwitterなどのSNSを利用した宣伝をしています。一方、インバウンド消費に対しては、立地的に外国人旅行者は少ないのでとくに対策はとっていません」

ところで、貴店にとってどのようなウナギが良いウナギと呼べるのか。また国内では現在、国産は無論、台湾産、中国産が流通しているなかで、海外産に対してどのような考えを持っているのだろうか。またその理由は何だろうか。
「国産の3.5尾か、4尾を使用しています。仕入れの問屋は父の代から50年以上の付き合いなので、信頼して仕入れしています。当店では肉厚の太いうなぎを皮をぱりっと身をふっくらと焼き上げるので、ほどよい脂の乗ったうなぎが良いと思います。中国産を使用する事がたまにありますが、脂が乗り過ぎて焼きにくい印象があります」

ウナギ資源を取り巻く状況は依然として厳しい状況に置かれている事は、先日行なわれたうなぎ未来会議でも改めて浮き彫りとなった。兼ねてから注目された、ワシントン条約に関しては今回、掲載回避となったものの、次回開催時(2〜3年後)には、ニホンウナギがかなり厳しい状況に置かれる可能性は高く、見通しは決して明るくない。そんな資源問題に関してどのような意見を持っているだろうか。

「ウナギ完全養殖の研究には、国からもっと予算をつけて早期に実用化してほしいです。ウナギ文化は、日本を代表する文化でもあるので、国でウナギを守ってほしいです」

先行きが依然として見通せないウナギ資源問題と同じくらい、専門店に重くのしかかる重要な問題であるウナギ職人不足。この件について現在はどのような考えを持っているだろうか。

「チェーン店でうなぎが容易に食べられるのが原因だと思います。専門店で食べるうなぎをもっとメディアでPRしてもらいたいです。機械化が進み、職人が不足しているのはどの業界も同じかと思います。『安物買いの銭失い』をやめるべきだと思います」

大きく様変わりするウナギ業界。専門店としては今後、どうあるべきか。

「昔からある技術を変えずに続ける事が大事だと思います。アレンジはその先にあると思っています。変わらない定番メニューを守りつつ、時代に合わせたアレンジも必要になってくるのかと思います」

[データ]
「うなぎの三河」
〒444-3206 愛知県豊田市羽布町鬼ノ平1-16
電話:0565-90-3473

原田恵介店主ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中

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