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「蒲焼店が考える“これから”」97 〜2017年4月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


二代目 髙野俊明氏
(川八/静岡県南伊豆町)

『もっと天然うなぎの保護強化すべき』

4月に入り、各地で桜が開花、エリアによっては満開を迎えるなど待望の春到来となった。陽気も緩む中、夏へ向けての期待感が強まる今日この頃。ところで、ここ最近の専門店の販売状況はどうだろうか。

「1、2月で前年比約25%増となっています。一昔前の頃の原価率と比べると、現在のほうが悪化していますが、その分客単価がかなり上がっていますので十分カバー出来ていると思います」

近年、外国人観光客の話題が時折、取りあげられるが、現状はどうだろうか、また貴店では販促などを行っているのだろうか?

「販促やインバウンド消費の為の対策に関しては、特に行っていませんが、近年テレビや新聞で紹介される機会が増えた結果、来客数増につながっています。外国人旅行者に関しては年々、確実に増えていると実感していますが、当店では特に対策を実施していません」

ちなみに貴店で扱う、うなぎに対するこだわり、あるいは考えなどはあるのだろうか。

「シラスウナギが不漁になってから、サイズは3.5Pを中心に扱っていました。しかしながら、現在は4P中心の扱いです。良いうなぎというのは、食べて美味しいことは絶対条件ですが、持った感じがしっとりするような、引き締まった新仔がとくにいいと思いますね。産地にはこだわっていません。国産にこしたことはないですが、良ければ国産よりも高い、中国産も使います」

ところで昨今、“絶滅危惧種”だの“ワシントン条約”だのウナギ資源保護・管理問題についてたびたび、取りあげられているが、この件についてはどのようなご意見があるだろうか。

「これだけシラスウナギの不漁が続くと、親うなぎの保護はやはり必要だと思います。“うなぎが高いから“と、釣って食べる方が増えたと聞きます。大うなぎが釣れると新聞記事になったりもします、もっと天然うなぎの保護を強化する必要があると思います」

一方、ウナギ資源問題と同様、根深い問題の一つであるウナギ職人不足についてはどうだろうか。

「私自身、修業は洋食でした。一流の方々に仕込んでいただき実家のうなぎ屋を継ぎました。実際にうなぎを扱ってその深みにはまりました。内容の良い店舗には良い人材が集まっているように思います。お客さんの数が不足しないように対策を考える方が先でしょうか、この辺は家族経営の店がほとんどで後継者がいるかどうかと経営内容で存続が決まってしまいます。育成のほうは実戦でどんどん技術を身に付けさせた方が職人を目指す方もモチベーションが上がりますし、早く戦力になりますし、得策だと思います。不足に悩んだら調理師学校に出向いて、うなぎ職人の魅力を伝える機会を積極的に設けてもらって志願者を獲得しますね。不足しているのは若い子たちからかっこよく映っていないのでしょうね。”下積みが長い“というイメージが強いというのも要因かもしれませんね」

ウナギ資源管理、ウナギ職人の不足問題、など取り巻く環境が大きく様変わりする中、今後はうなぎ専門店としてどうあるべきだろうか?

「うなぎ専門店とは職人(プロの料理人)のいるお店だと思います。お客さんは期待してながら、3,000円のお金を支払うのですから、オンリーワンを目指して地道にファンを増やすしかないと思っています。本年から完全にメニューをうなぎ料理に絞ってうなぎ専門店デビューを果たしました。地魚も天ぷらもすべてやめたにも関わらず、現在までの来店客数は確実に増えています」

[データ]
「川八」
〒415-0152 静岡県賀茂郡南伊豆町湊376-4
電話:0558-62-2215

二代目:髙野俊明氏ブログ用.JPG

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