SSブログ

「蒲焼店が考える“これから”」100 〜2017年5月10日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


柴藤成利氏(40)
(本家柴藤/大阪市中央区)

『職人育成には子供の頃から鰻に興味を持ってもらうこと』

早いもので新緑の5月に突入した。早ければ今月にも、今シーズン初の新仔が池揚げされる見通しで、夏に向けて業界は盛り上がりを見せていく。そうしたなか、売行きはどうだろうか。

「今年は、去年に比べ外国のお客様も増え、プレミアムフライデーの効果もあってか、売行きは良かったです。また仕入れ値に関しても、最高値の頃に比べて価格も値下がっており、利益率も多少、回復しています」

一時期の相場高値により、ウナギ離れを引き起こしているウナギ業界だが、販売促進、あるいはインバウンド対策等は施しているのだろうか?

「4月に、春の土用丑の日がありましたが、当店ではとくに目立った変化はありませんでした。各季節の土用の丑の日の知名度は上がってきていると思いますので、宣伝していきます。一方、インバウンド消費の対策については、外国の方のためのメニュー作り、当店のホームページに英語でのブログ開設、また外国のアルバイトの方に通訳になっていただく、などですね」

ちなみに貴店で扱う活鰻原料に対するこだわり、あるいは考えなどはあるのだろうか。

「当店では昔から5尾サイズを扱っています。私の考える良い鰻は、皮が柔らかい、焼くと身がふっくらする、ほどよい脂が乗っている、という3つの条件を揃えたものが良い鰻だと思います。ちなみに、新仔の出荷時期は良いのですが、3月、4月になると味に満足出来ない鰻が出てくるので、一年中、味が変わらず、安定した美味しい鰻を育ててほしいと思います。なお、外国の鰻、というだけでも毛嫌いするお客様もいらっしゃるので当店では、国産の鰻を使用しています」

ところで近年は “絶滅危惧種”だの“ワシントン条約”だのウナギ資源問題が大きくクローズアップされている。これらの件について、どのような考えを持っているだろうか。

「資源保護は、個人でやるには限界がありますが、出来ることは行っていきたいです。植樹することで鰻の減少を抑えるという、運動があり協賛し、参加させていただいています」

一方、抜本的な解決策が見えない、ウナギ職人不足についてはどのような考えがあるだろうか。

「育成・確保には時間がかかりますが、子供の頃から鰻にふれ、鰻の業界に興味を持てもらうのが大事かと思います。子供のお客様には調理場を見学してもらうのもいいかもしれません。また鰻職人の数に対し、鰻屋の数が多いのが不足の原因かも、と思います」

取り巻く環境が大きく様変わりする中、鰻専門店として今後、どう進んでいくべきだろうか?

「鰻さんのおかげで、商売をさせていただき、毎日、感謝をして、鰻専門店として、美味しい鰻を焼いてお客様に喜んでいただくのが至上です。そのことを子供に伝えていきたいと思っております」

[データ]
「本家柴藤」
〒541-0043 大阪市中央区高麗橋2-5-2
電話:06-6231-4810

柴藤 のコピー.JPG

nice!(1) 
共通テーマ:ニュース

nice! 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。