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「蒲焼店が考える“これから”」106 〜2017年7月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


森田大延代表取締役
(うなぎ しら河/名古屋市西区)

『個店ベースではなく、業界として募金活動』

7月に突入し、思いのほか雨も少なく、19日には全国的な梅雨明けとなった。これまでもうだるような暑さが続いており、この度の梅雨明けにより、より勢いがついた格好だ。ところで昨今の活鰻仕入れ値は一時期より高い水準にあるなかで、貴店の販売状況をこれまで振り返ってどうだろうか。

「4月に新店舗を開店いたしましたので、新店舗に一番近いお店は前年割れの傾向にあります。その他のお店は月によって若干変動はありますが、概ね前年並みで推移しております。一昔前に比べれば当然利益は出にくい環境になっております」

一方、近年は取り巻く販売環境が厳しいなか、貴店では販促など、どのような対策をしているだろうか?

「仕入高ではありますが、新しいお客様にいらっしゃっていただきたく、お値打ち価格でうなぎをお召し上がることが出来ます『うなぎ祭り』というイベントを年に1回程度開催し、好評をいただいております。またポイントカードを発行し、お誕生日はがきや、各種ご案内を定期的にお送りしております。なお、インバウンドにつきましては海外の方向けのサイト(2つ)に店舗情報を掲載してもらっています」

ちなみに商売をしていく上で大切な活鰻原料。貴店のウナギに対するこだわり、あるいは考えはあるのだろうか。

「当店ではニホンウナギ(アンギラジャポニカ種)の四尾サイズを使用しております。ちなみに産地は、国産と中国産です。調理方法は、地焼きなので時期に応じて皮の柔らかい鰻を使うようにしております」

ところで近年、どこでも取りあげられるウナギ資源問題。これら問題に対する思い、考えはどうだろうか?

「当店では鰻1本使用ごとに2円の募金をしております。ちなみに天然うなぎは取り扱っておりません。未来のため、次の世代のために個店ベースではなく、業界として継続的に完全養殖の商業化に向けた研究機関への募金活動を行っていくことが必要だと考えます」

また、根深い問題を抱えるウナギ職人不足問題に対してはどのような考えがあるだろうか。

「当店も現状において、若干人員が不足しております。毎年、新卒採用を行っており、ここ数年は厳しい状況が続いておりますが何とか毎年数名入社してくれております。必要に応じて中途採用もしております。少子高齢化が進む中、入社してくれた方に気持ちよく働いてもらえるよう、これからはやはり働きやすい環境を整えていくことが大切だと思います。当店では今年より福利厚生制度と社外研修制度を導入しております」

多くの難題が立ちはだかるなか、鰻専門店としては今後をどうに乗り切るべきか、あるいはどのようなことが必要か。

「一昔前に比べて、鰻の仕入れ価格は倍になっています。これ以上の値上げは更なる需要の減少を引き起こしてしまうので適正な価格で鰻が仕入れられることを望みますし、当店も引き続いて、企業努力を行っていきます。また当店好みの鰻を納めていただけるように、引き続いて仕入れ先業者さんと情報を共有していきます。そして先にも述べましたが、少子高齢化の昨今、当店に入社してくれた人たちに長く勤めてもらえるような環境を引き続き整えていきます。環境は大きく変化していますが、変えてはいけないもの、変えなければいけないものを見極め、環境に対応していきます」

[データ]
「うなぎ しら河」
〒451-0031 名古屋市西区城西4-30-3
電話:052-522-8331

しら河森田代表.JPG

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