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「蒲焼店が考える“これから”」109 〜2017年9月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


安孫子 由実取締役副社長
(鮒忠/東京都台東区)

「『日本の食文化(鰻)』の気概持つ」

業界の大イベントである“土用丑の日”(7月25日、8月6日)、その後の8月は東京都心の日照時間が観測史上最短となるなど、かつてない天候不順に見舞われた。昨今の活鰻仕入れ値は7月末に値下がり、8月に入り2度、そして今月一日も下方修正されるなど、先安感は強い。
ところで、貴店の販売状況をこれまで振り返ってどうだろうか。

「今年の売れ行き傾向としては、一番うなぎの出る7月を見ますと昨年同期と比べて約110%の売れ行きでました。理由としては早めの販促活動と販促物の充実、それと国産うなぎにこだわり続けたブランディング効果だと思います。利益率に関しましては仕入れ値が高値で一昔前に比べれば売りづらくはなっておりますが、国産の確かな品質の鰻を提供し続けお値段を頂けるようにしております」

一方、貴店では販促、インバウンド対策など、どのような働きかけを行ってきているだろうか?

「インバウンド消費対策として、特に訪日外国人客の多い銀座店中央通り店・秋葉原店に関しては、メニューと自店のウェブサイトに英語と中国語を表記しています。できることから少しずつですが、安心してご入店いただける環境づくりを行っております」

ちなみに商売の軸となる、大切な活鰻原料。貴店のウナギへのこだわり、あるいは良いウナギとはどのようなものなのだろうか。

「4~5尾を中心にご提供しております。『皮目が薄くやわらかいもの』『身の方もふっくら肉厚のもの』『泥臭さのないもの』が良いと思います。皮目も身も引き締り過ぎたものは、小骨も当るなど扱いにくくなります。国産を取り扱っておりますが、国産はお客様の評価を頂き易いと感じております」

ところで近年、クローズアップされるニホンウナギ資源問題。貴店ではどのような考えを持っているだろうか。

「ウナギが絶滅危惧種に指定されたことで、消費者の方々も『うなぎは高くなってしまったけど、食べられなくなるのはもっと困る』と思っています。『このままではうなぎがなくなってしまうようだけど、どうすればいいのかがわからない』という意識をもっている方も多く、店でもよく聞かれます。『エシカル消費』『倫理的消費』という社会的環境や倫理、道徳的な観点から『持続可能な消費』を意識した商品やサービスを選択する消費行動が欧米では高まっており、日本でも平成27年から消費者庁が調査研究会を開催しています。日本でも事業者から消費者の方にも『うなぎの未来』について、情報発信が必要と感じています」

同様に、職人をはじめとした人材の問題に関してはどのような思いがあるだろうか。

「当社としては白焼きからの店舗調理を主体としてここ数十年はやってまいりました。3年ほど前からは一部店舗で活鰻を割くようになり、よりうなぎを大事に扱うようになりました。お客様からの反応もあり、職人としての自覚も高まりました。職人を育てるのには時間がかかりますが、奥深い技を身につける喜びも大きいと感じております」

近年、ウナギ業界には資源、人材、相場など多くの問題がある。そうしたなか、鰻専門店としての考え、あるいは今後どのように乗り切るべきなのか、あるいはどのようなことが必要だろうか。

「ウナギ完全養殖の商業化を待ちつつ、うなぎ資源の復活のため微力ながら活動できればと願っています。うなぎと共存共栄できる未来にむけてできることについて、衆知を集めて、社会への浸透を図る。『うなぎを愛する心』があるお客様と事業者の接点の場として店舗が担える役割を果たしたいと思います。そして『日本の食文化(うなぎ)』の気概を持ち、しっかりと工程を踏んだ仕事を、次世代に継承して行く使命を大切にしたいと思います」

[データ]
「鮒忠」
〒111-0032 東京都台東区浅草5-6-4
電話:03-3875-5131

名刺写真.jpg

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