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「蒲焼店が考える“これから”」117 〜2018年2月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


小倉 清暢代表取締役
(和風レストラン 小松園/茨城県古河市)

『食文化や無形資産をしっかり伝えていく』

これまでのシラスウナギ漁は、かつてない不漁に見舞われ、活鰻流通価格もこれまでにない早さで上昇した。現時点において値上げ、あるいはメニューの変更などの検討はしているのだろうか。
「現状では、相場は値上がりし続けているので何とも言えませんが、販売価格の見直しや、代替メニューでの対応を行っています」。

近年、仕入れ高を背景に厳しい販売状況を強いられる一方、今夏は前半戦の“シラスウナギ不漁”から、国産新仔が絶望的との見方が濃厚のなか、貴店の国産、中国産、台湾産(※どれも同じニホンウナギ[アンギラ・ジャポニカ種])に対する見解は?
「弊店では、主に国産を扱っていますが、時期によっては品質面を重視し、台湾産、あるいは中国産も使い分けています」

ところで昨今、ウナギ資源問題が大きくクローズアップされている。専門店間では、天然ウナギ不使用の動き、完全養殖の商業化に向けた研究機関への募金活動などが見受けられる中、“資源保護・管理問題”に関して、どのような意見を持っているか。
「ウナギ資源の保護活動、あるいはそうした意識づけを行うことが出来なかったツケが回ってきているように思います。長期的に食文化や無形資産をしっかり守り、伝えていくことが重要になっている時期がきているのではないでしょうか。なお、資源のことに関しては、古河市で農泊事業を進めている団体があり、個人的に協力させていただいています。その拠点となる古民家と敷地を活用した新しい『農産・畜産・水産』地帯を作り上げていくことで地域のコンテンツを増やし、魅力ある農泊事業にすることを目的として進めています。そのなかに川魚生息地帯を作り、親ウナギを育てて自然へ返すというサイクルを生み出そうと、研究機関や企業に相談しています」

ウナギ資源問題と同じように近年、深刻の度合いを高めるウナギ職人不足。その育成や確保についての考え、ご意見はあるだろうか。
「和食全般に通じていまして、技術や知識の価値が対外的にみて、どれくらいのものかが国内で評価されていないことに問題があるのではないでしょうか。また和食などの文化的要素を合わせ持った職人が今後、もっと日本以外で必要とされる時代に入ってくるなか、業界全体としてその意識が低いと感じています。現に、アジアの富裕層は和食に対して高い価値を見出しており、海外出店している5万以上もある和食店に行列が出来ている事実を皆知りませんし、このようなことが何を意味しているか、職人自体が理解できていないようです」。

専門店を取り巻く環境は、資源はじめ、価格面など一変のなか、〝鰻専門店〟として今後、どうあるべきなのか、あるいは何をしていくべきなのか。
「目先の利益よりも長期的に資源を確保、あるいは文化の継承を行なっていく体制づくりが必要。業種を超えて日本文化の継承を目的とした事業形成を是非とも行なっていきたいですね」

[データ]
「和風レストラン 小松園」
〒306-0041 茨城県古河市鴻巣720
電話:0280-48-1245

小倉清暢社長 のコピー.jpg

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