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美味!!「鯉」メニューのお店10 〈2016年7月15日号掲載〉 [鯉シリーズ]


茨城県潮来市
「割烹 清水屋」

鯉料理を提供しているお店を紹介する「美味!!『鯉』メニューのお店」シリーズ。10回目の今回は茨城県潮来市の「割烹 清水屋」を訪問。8代目の大﨑一彦店主に店の歴史や料理へのこだわり、消費の拡大に向けた方策などについてお話を伺った。

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「割烹 清水屋」の外観

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ゆったり広々とした店内

「割烹 清水屋」は潮来市にある、天然うなぎや鯉料理が自慢の川魚料理の老舗。すぐ近くを利根川が流れ、本紙6月25日号の第8回で紹介した同市の割烹旅館「銚子屋」とは至近距離にある。
創業は安永3(1774)年。江戸時代、杉田玄白らが『解体新書』を刊行した当時から続く、240年もの長い歴史と伝統を持つ老舗だ。創業当時は常陸利根川の畔にあり、旅館を営んでいた。昭和30(1955)年4月に公開された松竹映画『娘船頭さん』のロケも水郷潮来で行われ、主演した美空ひばりも当地を訪問したが、残念ながら「清水屋」に宿泊する機会はなかったという。

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「鯉のあらい」

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「鯉の旨煮」

2回の移転を経て、現在の場所に移ったのは昭和49(1974)年。移転すると同時に川魚料理店に業態を変更した。天皇陛下が皇太子だったころに当時の玉造町の水産試験場を訪問した際、「清水屋」に立ち寄り、食事を提供したこともある。
席数は約200席。テーブル席28席のほか、個室が5部屋、宴会場も2部屋あり、1人でも団体でもゆったりと食事を楽しむことができる。5年前の東日本大震災で建物のおよそ半分が被害を受け、今も使用できない部屋があるが、毎年6月にはあやめ祭りの開催もあって大勢の観光客で賑わいを見せ、今年も6月は団体客で店は大混雑だった。

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鯉は1尾約2.5kgと比較的大きめ

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「うな重」

「昭和の終わり頃、バブルの最盛期が売り上げのピークでした。バブル崩壊後は苦戦が続き、今はピーク時の5分の1くらいにまで落ち込んでしまっています。地元のお客様にとっては逆に敷居が高くなってしまったのかもしれません」。
大﨑店主はそう振り返る。平日の利用客は高齢者が多く、土日祝日は子や孫を連れた家族連れも多い。現在では都内を含め、大宮・柏・習志野など近隣県からの利用客が8割を占めているという。
提供している鯉料理は「あらい」と「うま煮」。かつては霞ヶ浦産の天然を使用していたが、漁師自体が減っていることもあり、今では霞ヶ浦で養殖された鯉を使用。1尾約2.5kgと比較的大きめなのが特徴だ。養殖の方が天然と比べて柔らかいが、その理由について大﨑店主は「運動量の差だと思います」と話す。「あらい」は調理する上で内臓やはらわたなどをよく洗い、60度くらいの湯で湯がいて氷水でしめるのがポイント。また、「うま煮」は秘伝のたれでじっくり煮込んだ甘辛い味わいが自慢で、「やみつきになる味」と好評。いずれも初めて食べた利用客から「泥臭いイメージがあったが、臭いは気にならなかった」という声が多く寄せられている。

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一方、うなぎは5月上旬〜10月下旬くらいまで利根川で獲れた天然うなぎが入荷。肉厚で柔らかく、定食の「天然うな重」はその味を求めて遠方から足を運ぶ利用客もいるほどの人気で、天然を扱う時期はほとんどの利用客が注文する目玉商品となっている。「鯉のあらい」「鯉のうま煮」「うな重」「わかさぎの塩焼き」などがセットになっている「川魚コース」では養殖うなぎを使用しているが、利用客から希望があれば、天然と養殖を一切れずつ出して食べ比べてもらっている。大﨑店主が「味の濃厚さと柔らかさが違います」と話すように、実際に食べた利用客からも「全然違う」という声が多い。

ただ、全体的な消費については「うなぎは特に大きく減ってはいませんが、やはり鯉は下がっています。KHVの影響もあるのかもしれません」と、厳しい状況が続いている。鯉の消費拡大に向けて何か考えている対策はあるのだろうか。

「メニューが多いわけでもなく、いろんなメニューがあったとしても必ずしもお客様が評価してくれるとは限りません。やはり地道に味のいい料理、質のいい料理を提供することではないでしょうか。新しい料理を考えるのも骨がネックになってしまってなかなか難しいです。若いお客様の中にはうなぎや鯉を食べて『こんなにおいしいんだ』と感動する方もいらっしゃいます。いいものを提供すれば必ず消費の拡大につながると思っています」。
大﨑店主はそう述べ、地道にいい料理を提供することの大切さを強調した。

大崎代表.JPG

















大﨑一彦店主

「割烹 清水屋」
〒311-2437 茨城県潮来市永山2651
TEL:0299-64-2011
営業時間:5月〜10月/11時〜18時(以降は予約) 11月〜4月/11時〜17時(以降は予約) 月曜定休

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