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「蒲焼店が考える“これから”」121 〜2018年10月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


渡部 幸和料理長
(うなぎ わたべ/東京都文京区)

『業界全体をより良くするための仕組み作り』

2019鰻年度に入り、1ヶ月余り。ウナギの消費も落ち込み、活鰻相場も9月より、じわり下がり始めた。こうした仕入れ値の変化の一方、貴店のメニュー価格に変更はあったか。
「当店では値上げをしていません。年明け1,2月と相場は暴騰し、“夏にまた上がるだろう”という産地からの情報も聞いており、その時に値上げようとそれまでは値上げをしまいと決めました。7,8月と結局は大幅な値上げもなく、9月には周知のように値下がりました。値上げをしなかったことは苦しかったですが、結果的に他店との差別化を図れ、売れ筋のうな重(アミ串/原料3.3尾)も4,212円(税込)を維持しています」

ところで、貴店では販促を行なっていますか?
「結論から言えば、とくにしていません。たまにSNSで少しアピールする程度です。ただ、2年前の今頃、ウナギのサイズアップ、また品質向上を考えていて、当店のタレともマッチしたこともあり、思い切ってウナギの仕入れ先を変え、そのタイミングでミシュランガイドに掲載されたのがPRにつながり、じわりお客様が増えています。PRするにしても“うるさくならない”程度に自然な形で行えればと思います。またインバウンドは全体の5%程度ですが、メニューには英語の表記、弟の善隆店長も英語を話すことが出来るので、うまく対応しています」

貴店が扱うウナギの産地は?
「産地の方に“その都度、良質なものを”とお願いし、活鰻を仕入れています。時期によっては中国産を扱うこともありますが当初、自分自身が持っていたイメージと異なり、品質面など遜色もないですね」

昨今、ウナギ資源問題が取りざたされているが、資源保護に対しての意見は?
「あれだけ資源問題が取り上げられているように、当店では天然ウナギを扱っていません。ただ、“天然=美味しい”というイメージが強烈で、天然ウナギの使用を通してお客を呼ぶ動きもあるようです。これらの根本には、構造的な問題があるのだと思います。例えば、スーパー、あるいはコンビニ向けに大量に養殖したものを加工するため、シラスを多獲するわけです。一部では大量廃棄の問題もありますが、決して“採ってはだめ”ということではなく、極力“無駄”のないような漁獲、流通を考えた仕組みを構築していくことが大事だと思います。そうしたことをきっかけに資源が保護され、将来、胸を張って天然ウナギを使用できる機会もくるかもしれません」

資源と同様、懸念されるウナギ職人不足、何が原因か。
「やはり、受け入れ側の体制を変えることにあるのではないでしょうか。拘束時間が長くて給料が安いのなら、やはり人は寄ってきません。フレンチをやっている先輩がいるのですが最近の若い子は入ってすぐやめてしまうらしいです。“賃金”と“休暇”の2つの改善が今後もっと大切になってくるのではないでしょうか」

厳しい業界のなかで専門店として生き残っていくにはどうすべきか。
「業界全体をよりよくしていくためのアイデアは、多くの皆さんが常に考えていると思います。しかし、そうした意見を汲んでくれる場、機会がありません。お客さんを大切にすることは無論ですが、一方で業界全体をより良くしていくことも重要です。そうした業界の仕組み作り、あるいは強化がより大事になっていくでしょう」

[データ]
「うなぎ わたべ」
〒112-0002 東京都文京区小石川1-9-14
電話:03-3812-7448

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