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美味!!「鯉」メニューのお店20〈2016年12月5日号掲載〉 [鯉シリーズ]


おいしい料理の提供には手間を惜しまず

福島県会津若松市 「会津東山温泉 向瀧」

今回で20回目となる「『鯉』メニューのお店」シリーズは、全国の市町村で養殖鯉の生産量第1位を誇る福島県郡山市の老舗旅館「会津東山温泉 向瀧」を訪問。6代目の平田裕一社長に、鯉料理のこだわりやサービス面での心がけなどについてお話を伺った。

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上:「向瀧」の外観 下:部屋から庭園を見下ろせるのも自慢

会津の名湯「東山温泉」の歴史は非常に古く、740年代の天平年間に発見されたともいわれている。当旅館は元々「狐湯」として会津藩上級武士の指定の保養所となっていたが、1873(明治6)年に平田家が引き継ぎ、「向瀧」として営業。現在でも代々続いている家業として湯守をしている稀少な温先旅館。橋の下にある瀧に向かって建っていたことから「向瀧」という名称が定着した。部屋数は全部で24室あり、庭が広いのが自慢。12〜13の部屋は中庭に面しているため、特に秋には色鮮やかな紅葉を見ながら過ごすことができる。
「30代〜60代まで幅広いお客様にお越しいただいていますが、特にマンション育ちのお客様にとっては日本家屋の建物が逆に非日常的な空間になって新鮮なようです」。
平田社長は人気の理由についてそう話す。

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鯉料理は「鯉の旨煮」と「鯉のたたき」の2品を提供。会津の「鯉の旨煮」は江戸時代、当時の会津藩家老・田中玄宰が自ら手を出して作らせたといわれる古いもので、以来、貴重なタンパク源として魚料理の中で最も位の高い料理となった。6時間じっくりと煮込んで一晩寝かせることでより身が締まり、醤油と砂糖を加えて甘じょっぱく煮ているが、鯉本来の味が引き立つように仕上げてあり骨も気にならない。平田社長も「東山温泉には何軒か旅館がありますが、『鯉の旨煮』を提供しているのは当館だけだと思います」と強調する。

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上:「鯉のたたき」 下:「鯉の旨煮」

また、「鯉のたたき」は以前は「あらい」として出していたが、2002(平成14)年に平田社長が就任した際、「やや小骨が気になるので、細かく刻んでみたらもっと食べやすいのではないか」という自身の発案で誕生したもの。鯉は地元・会津産のものを使用し、1尾から「旨煮」なら3〜4人前、「たたき」なら10人前を調理できる。
「その土地の伝統の料理を召し上がっていただかないとお客様は増えないのではないかと思います。料理は時代によって味や好みが変わってきますし、やはり『旨煮』にしてもお客様から『おいしい』と言っていただけるものを作っていかなければなりません。そのため煮込む時間も以前より長くしました」。

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そう考えていた平田社長は就任後、料理を大幅にリニューアル。「旨煮」を鍋に並べる際にもなるべく均等に火が回るようにした。「おいしいものを作る」という一心で醤油も変えたが、今まで鯉をあまり好きではなかった宿泊客が「実際に食べてみたらおいしかった」と感想を述べるケースも多いという。
「やはり鯉の消費は一時期に比べてかなり減っています。会津でも昭和の終わり頃から人を集められる食材が優先され、鯉料理を味わえるお店も少なくなってしまいました。おいしさをきちんと伝えられる料理を出すには調理の過程を省略しないことです。それが最終的に消費の回復につながるのではないでしょうか」。
平田社長は「その場所でしか食べられない料理を出し、山間部の方でも積極的に鯉料理を出すように変えていくべき。同時にじっくり時間をかけておいしいものを提供することです」とも強調する。

「最近はファーストフードのようにいかに時間を短縮するか、そればかりが研究されすぎていますが、料理は簡略化してしまうと味も質も落ちます。生産性を重視し、おいしいものを提供するには料理のプロセスはむしろプラスしてもいいでしょう。そのためには余分な動きを減らすなど、調理を担当するスタッフの動きを見直すことも大切です」。
調理現場のスタッフ1人1人が「時間をかけておいしい料理をお客様に提供する」という意識を持つことも不可欠だろう。

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「会津東山温泉 向瀧」の平田 裕一社長

「会津東山温泉 向瀧」
〒965-0814 福島県会津若松市東山町大字湯本字川向200
電話:0242-27-7501


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