美味!!「鯉」メニューのお店27〈2017年3月15日号掲載〉 [鯉シリーズ]
まずは地産地消で鯉食の拡大を!
福島県郡山市「四季彩 一力」
今号の『美味!!「鯉」メニューのお店』では、先月22日に福島県郡山市を訪問した際に取材した同市のホテル「四季彩 一力」を紹介。齋藤清男調理長に「鯉に恋する郡山プロジェクト」の手応えや、鯉の消費の拡大方法などについて話を伺った。
「四季彩 一力」の外観
「四季彩 一力」は1918(大正7)年の創業、来年100年の節目を迎える。一昨年2月、イギリスのウィリアム王子が東日本大震災の被災地を訪問した際に政府主催の晩餐会が「四季彩 一力」で開かれ、安倍総理大臣とウィリアム王子が宿泊。後日、英国大使館から感謝の手紙が届いたことがある。
食事はゆったりとした食堂で
12畳の広々した和室も魅力
「四季彩 一力」は「鯉のあらい」「鯉の旨煮」「鯉コク」を中心に、伝統を引き継いで昔ながらに鯉料理を提供する宿泊施設として有名で、郡山市が先月11日〜今月11日まで実施していた「鯉食キャンペーン」の期間中も、追加料理として希望する客に鯉料理を提供していた。
「鯉のあらい酢味噌」
「鯉コク」
「東日本大震災以降、鯉養殖は落ち込んでいますが、それでも生産量は全国の市町村で一位です。食べればおいしいので、地産地消で地元の方にはもちろん、他県からのお客様にも郡山の鯉をぜひ召し上がっていただきたいと思っていました」。
そう話すのは齋藤調理長。一般家庭では食べる機会が少ないため、「こんなにおいしいのか」と驚く客も多いという。
「旨煮は17〜18時間ほど煮込みます。時間をかけることでウロコも柔らかくなり、味も染み込みますので」。
「鯉の旨煮」
鯉の生産量が日本一である一方、消費が追いついていない郡山市だが、今回の「鯉食キャンペーン」をきっかけに関心が高まっている。昨年11月には「鯉に恋する郡山プロジェクト」の一環として「捌き方講習会」を開催、市内のイタリアンやフレンチなどの料理人が参加した。今まで鯉に触れる機会がなかったうえ、鯉は捌き方も独特で難しいが、参加者からの反応はよく、齋藤調理長も「市から依頼があればいつでも開催したい」と意気込む。
「鯉本来の味やおいしさが失われてはいけないと思いますので、『あらい』『鯉こく』『旨煮』といった食べ方は崩したくありません。メニューで鯉料理を3〜4品に増やしてみようかと思っています。お客様に召し上がっていただいて『おいしい』となれば商品として確立させることができます。地元の名産なら自信を持って出せますし、生産者の顔がはっきりしていればお客様も安心できますから」。
鯉料理に特化したメニューも計画中。「鯉食キャンペーン」も消費拡大のきっかけにしたい
齋藤調理長は「食べてもらうのが一番手っ取り早い」とも強調する。
「今までは鯉を扱う飲食店が少なく、食べる機会がありませんでした。もっと多くのお店で鯉料理を導入してもらうために始めた『鯉食キャンペーン』ですが、元々鯉を好きなお客様は多いですし、地元の食材で安心できるとあって皆さんも関心があるのでしょう」。
「捌き方講習会」や「鯉食キャンペーン」を機に鯉料理を始めた飲食店もある。
「私たちも日々『地元のものはおいしい』という思いで努力しています。郡山で生産された鯉を多くの皆さんに召し上がっていただくことで他の料理でも使えるのではないでしょうか。これをきっかけに鯉食がもっと広まっていくことを願っています」。
齋藤調理長はそう期待を寄せた。
齋藤 清男調理長
「四季彩 一力」
〒963-1309 福島県郡山市熱海町熱海4-161
電話:024-984-2115