美味!!「鯉」メニューのお店34〈2017年6月5日号掲載〉 [鯉シリーズ]
埼玉県行田市 割烹「魚豊」
地域と密着、お客様を大事に
秩父鉄道・行田駅を下り、徒歩7〜8分で目的地の川魚料理店「魚豊」に到着した。
「魚豊」は1862(文久2)年、江戸時代末期の創業という老舗で、今年で155周年。行田市内では最も古い店だという。話を伺ったのは店を切り盛りする31歳、七代目の橋本兼一さん。
「魚豊」の外観(上)と、店内の様子
「行田市は大きな河川が流れており、昔は天然のウナギがたくさん捕れました。城下町だったので商人がウナギなどを売るようになり、川魚料理が発展していきました。現在でもうなぎ屋が多いのはそのためです」。
ウナギは国内外産問わず、その時期に一番いいものを仕入れ、サイズはすべて4Pを使用。うな重は「上」(税別2,700円)「中」(1,880円)「並」(1,500円)「姫」(1,000円)の4種類あるが、いずれも手頃な価格といっていいだろう。
「ウナギというと、庶民の方が『ちょっとぜいたくしよう』『たまには奮発して食べよう』という感覚だと思うんです。そう考えると私の中では高くても3,000円が限界かなと。一時期、価格が非常に高騰した際には止むなく値上げをさせていただきましたが、それ以降は改定していません」。
「うな重 上」
仕入れ価格も一時、非常に高かったときがあったが、「ウナギは高くて食べられない」という来店客がいたときのために、もちもちした食感とふっくらしたうなぎのハーモニーが自慢の「うなちまき」(380円)や、人気の鶏とウナギを盛り合わせた「うな鶏重」(1,260円)など、比較的注文しやすいメニューも考えた。
「幸い、お客様は常連さんが多いので、値上げしてもご来店くださいました。やはり歴史があるので信頼をいただいているのだと思います」。
食事だけの来店客は以前よりもやや減り、最近は横ばいが続いているが、出前の注文が減るなど一時期と比べて需要は落ちている。ただ、値上げした分、売上自体は増えているという。
一方、コイは主に長野県産を使用。一尾の重さは0.9〜1.3kgほど。「鯉あらい」(600円)と「鯉フライ」を提供し、「うな重」の吸い物として「鯉こく」を出すこともある。
コイは1尾、0.9〜1.3kgほど
「コイが苦手なお客様には『先ほどまで泳いでいたのでぜひお試しください』とお勧めしますが、『初めて食べたけどおいしい』という反応が多いですね。コース料理ではあらいか刺身かを選べますが、多くのお客様があらいを注文されます」。
「鯉のあらい」(上)と「鯉のフライ」
ここ数年は宴会需要が増えているため、橋本さんは「コイの需要自体は増えているのでは」と話す。「魚豊」でも看板メニューとして、うな重を待っている間に鯉あらいを食べるスタイルが定着している。
「50〜60代の中高年の常連さんが多く、若いお客様は2〜3割程度ですが、客層はある程度絞る必要もあります。重要なのはいかに今の客層を大事にしていくかです。当店は家族経営ですが、『うなぎ職人ってカッコイイな』と思われる雰囲気を作り、そういう魅力を発信すれば若い職人も入ってくるのではないでしょうか」。
橋本さんは業界の人材不足問題についてそう指摘したほか、「今後も引き続き、この地で地元密着の店として続けていきたいですね。長く歴史を重ねるためにはお客様の声に耳を傾けることも欠かしてはいけません」と語った。
7代目の橋本 兼一さん
「魚豊」
〒361-0073 埼玉県行田市行田20-17
TEL:048-553-3113
地域と密着、お客様を大事に
秩父鉄道・行田駅を下り、徒歩7〜8分で目的地の川魚料理店「魚豊」に到着した。
「魚豊」は1862(文久2)年、江戸時代末期の創業という老舗で、今年で155周年。行田市内では最も古い店だという。話を伺ったのは店を切り盛りする31歳、七代目の橋本兼一さん。
「魚豊」の外観(上)と、店内の様子
「行田市は大きな河川が流れており、昔は天然のウナギがたくさん捕れました。城下町だったので商人がウナギなどを売るようになり、川魚料理が発展していきました。現在でもうなぎ屋が多いのはそのためです」。
ウナギは国内外産問わず、その時期に一番いいものを仕入れ、サイズはすべて4Pを使用。うな重は「上」(税別2,700円)「中」(1,880円)「並」(1,500円)「姫」(1,000円)の4種類あるが、いずれも手頃な価格といっていいだろう。
「ウナギというと、庶民の方が『ちょっとぜいたくしよう』『たまには奮発して食べよう』という感覚だと思うんです。そう考えると私の中では高くても3,000円が限界かなと。一時期、価格が非常に高騰した際には止むなく値上げをさせていただきましたが、それ以降は改定していません」。
「うな重 上」
仕入れ価格も一時、非常に高かったときがあったが、「ウナギは高くて食べられない」という来店客がいたときのために、もちもちした食感とふっくらしたうなぎのハーモニーが自慢の「うなちまき」(380円)や、人気の鶏とウナギを盛り合わせた「うな鶏重」(1,260円)など、比較的注文しやすいメニューも考えた。
「幸い、お客様は常連さんが多いので、値上げしてもご来店くださいました。やはり歴史があるので信頼をいただいているのだと思います」。
食事だけの来店客は以前よりもやや減り、最近は横ばいが続いているが、出前の注文が減るなど一時期と比べて需要は落ちている。ただ、値上げした分、売上自体は増えているという。
一方、コイは主に長野県産を使用。一尾の重さは0.9〜1.3kgほど。「鯉あらい」(600円)と「鯉フライ」を提供し、「うな重」の吸い物として「鯉こく」を出すこともある。
コイは1尾、0.9〜1.3kgほど
「コイが苦手なお客様には『先ほどまで泳いでいたのでぜひお試しください』とお勧めしますが、『初めて食べたけどおいしい』という反応が多いですね。コース料理ではあらいか刺身かを選べますが、多くのお客様があらいを注文されます」。
「鯉のあらい」(上)と「鯉のフライ」
ここ数年は宴会需要が増えているため、橋本さんは「コイの需要自体は増えているのでは」と話す。「魚豊」でも看板メニューとして、うな重を待っている間に鯉あらいを食べるスタイルが定着している。
「50〜60代の中高年の常連さんが多く、若いお客様は2〜3割程度ですが、客層はある程度絞る必要もあります。重要なのはいかに今の客層を大事にしていくかです。当店は家族経営ですが、『うなぎ職人ってカッコイイな』と思われる雰囲気を作り、そういう魅力を発信すれば若い職人も入ってくるのではないでしょうか」。
橋本さんは業界の人材不足問題についてそう指摘したほか、「今後も引き続き、この地で地元密着の店として続けていきたいですね。長く歴史を重ねるためにはお客様の声に耳を傾けることも欠かしてはいけません」と語った。
7代目の橋本 兼一さん
「魚豊」
〒361-0073 埼玉県行田市行田20-17
TEL:048-553-3113