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「蒲焼店が考える“これから”」110 〜2017年9月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


本吉 伸佳取締役社長
(若松屋/福岡県柳川市)

『養鰻業者さんへ、ある程度の痛み分けを』

新鰻年度が始まり早1ヶ月が経とうとしている。気になる活鰻相場は土用丑以降、断続的な値下がりとなり、先安感は強いままだ。

ところで、貴店の販売状況をこれまで振り返ってどうだろうか。
「売行きは昨年同期と比べれば、上がっていると思われます」

一方、貴店では販促、あるいはインバウンド対策など、これまでどのような働きかけを行ってきているだろうか?
「メニュー表を英語、中国語、韓国語の3カ国語で表示しております」

ちなみに商売を行なう上で、大事な要となる、大切な活鰻原料。貴店のウナギに対するこだわり、あるいは良いウナギとはどのようなものなのだろうか。
「素焼きした段階で身が厚く、適度に柔らかく、あまり焼き色がつかないものが良いと思われます。活鰻原料は、国産限定で扱っています。理由としては養殖の状況がわかるからです。また、養鰻業者さんへの要望ですが、我々鰻屋は仕入れ値が上がったからといって、すぐに値段を上げることは出来ません。利益率は圧迫されても、他の水道・光熱費等、出来るところで切り詰めて行なっています。同じ鰻を扱う者同士、ある程度の痛み分けをお願いしたいと思います」

ところで昨今のニホンウナギ資源問題に対して、貴店ではどのような考え、意見を持っているだろうか。
「ウナギ資源問題は、我々にとって死活問題です。1日も早い、完全養殖の商業化の実現を切望しております」

同様に、職人をはじめとした人材の問題に関してはどのような思い、または考えがあるだろうか。
「鰻を焼く、という仕事は決して楽な仕事ではありません。暑く、タレや、炭で汚れ、ヤケド等も日常茶飯事であり、今の若い人がそれに耐えられるか、それが問題の1つではないかと思います」

前出のように近年、ウナギ業界には資源、人材、相場など多くの問題がある。そうしたなか、鰻専門店としての考え、あるいは今後どのようにして、乗り切っていくべきなのか、あるいはどのようなことが必要だろうか。
「日本古来からある、食の1つとして、鰻は日本人に親しまれてきております。その昔からの伝統とワザ、味を変えないように日々、努めていきたいと思っております」

[データ]
「若松屋」
〒832-0065 福岡県柳川市沖端町26
電話:0944-72-3163

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美味!!「鯉」メニューのお店2〈2016年4月15日号掲載〉 [本紙記事/速報]


伝統の味を守ってお客様に納得していただく

「どぜう 桔梗家」(東京都墨田区)
堀木 章夫代表

連載企画「美味!!『鯉』メニューのお店」。今回はどじょう鍋をメインとして鯉のあらいやあら煮、うな重などの川魚料理を提供、東京・両国で80年以上続く老舗料理店「どぜう 桔梗家」を訪問。長年にわたって伝統の味を守り続けている堀木章夫代表に、メイン商材であるどじょうも含めて料理の特長や老舗ならではのこだわり、今後の展望などについてお話を伺った。

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「どぜう 桔梗家」は昭和8年5月に創業、今年で63年を迎える。
「元々は祖父が和菓子屋をしていましたが、あまりメジャーではなく、かつコンスタントにお客さんが来店する商売はないかと考え、昭和8年にどじょう屋に切り替えました」。
堀木代表はどじょう屋を始めた経緯についてそう話す。メインメニューは「丸なべ」「骨ぬきなべ」「柳川なべ」だが、やはり一番の売れ筋は「丸なべ」でほとんどの客が注文。また、うなぎでは「極上うな重」や「特上うな重」、鯉では「鯉あらい」「鯉あら煮」「鯉こく」が人気だ。客層は主に50代〜60代以上の高齢層。およそ9割が常連客だが、最近では若い客も増え、一人で来店する女性客もいるという。堀木代表が「地方にはどじょう屋はあまりないので、東京に観光に来たときに寄ってくれるお客さんも多い。どじょうや鯉はビタミンDやたんぱく質、コラーゲンも含まれていて肌にもいいし、ぜひ味わってもらいたい」と話すように、若い客や女性客が増えている背景には健康や美容といった理由があるようだ。

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料理へのこだわりについて、堀木代表は「もちろん当店の仕込みにもよるけど、川魚は生きた状態で仕入れて調理するのでやはり産地と新鮮さが最も大切。また、和菓子屋だった影響で全体的に少し甘口なのが特長です。昔はこってりした甘口でしたが、お客さんの好みによってはあっさりした甘さもいいだろうとバランス良い味付けにするようにしました」と説明。特に鯉のあらいに関しては、湯洗いするときの湯の温度をやや低くすることで身が締まり、鯉そのものの旨味をより出しているという。

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一方で、「バブル景気のときはサラリーマンのお客さんも大勢来て忙しかったけど、当時と比べれば今は少ない。まだまだ消費は戻っていません」と、消費低迷の厳しさにも言及した。
それでも80年以上も続いている理由については「下町の食文化の中で育った『どじょう』という料理を守っていきたい、続けていきたいという気持ちがあるからだと思う。お客さんから『どじょうの天ぷらはないの?』と聞かれたことがあるけど、忙しくて作れなかったらお客さんを裏切ることになるし、メニューもほとんど変わっていません。川魚以外は扱わないというのも創業時からのこだわりです」と話す。

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また、消費の拡大も喫緊の課題だが、「新しいメニューを考えるよりも、お客さんに『来てよかった』と納得してもらえる料理を出すことでしょう。家庭的でアットホームな雰囲気も当店の魅力なので、お客さんも来店しやすいと思います。『川魚は泥臭い』という先入観で苦手なお客さんでも『初めて食べたけどこんなにおいしいんだ』という反応がほとんど。当店でその魅力を堪能してほしい」と、伝統の味を守り続けることの大切さを強調する。

「若い世代に向けてもっとPRするのも大切ですが、基本は味に納得してもらうことです。多くの選択肢がある中でもどじょうを選んでくれているんですから、味が変わって常連さんが離れてしまわないよう、新鮮な材料、当店の誠意と真心を失うことなくこれからも続けていきたいですね」。
堀木代表は力強く目標を語った。

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最新号20.3.5発行しました! [本紙記事/速報]

DSC_0745.JPG主な内容〈8ページ建て〉
▼東海澱粉グループトレードショー開催 ~食のプロデュース&ソリューション~
“簡便性”“個食”“健康”などに沿った商品展示 “ジャンボうなぎ”(10尾サイズ/ロストラータ種)を資源保護観点から強烈アピール
▼“可処分時間の奪い合いに”「流通・量販店のトレンドとマーケットの変化予想」~日本経済新聞社・白鳥和生氏が講演~
▼国内の外国人労働者 過去最高の166万人(厚生労働省)
▼昨年同月比35%の53㌧ ~2月分台湾活鰻対日輸出実績~
▼浜名湖養魚、漁止め明け以降国内シラス合わせて193kg集荷
▼前年超え二業態にとどまる 一部、新型コロナの影響も  チェーンストア・スーパー・百貨店・コンビニ・外食産業の1月分販売概況
▼真鯉ひろしの「長いものには巻かれよ」その180 ~しっかり肉厚「エゾ鹿バーガー」~
▼好評の鰻の学校給食、『今後も続けたい』 「浦和のうなぎを育てる会」新年会開催
▼まきのねこバーガー誕生!「石巻を楽しい街に」~老舗鰻割烹「八幡家」阿部女将~
▼資金調達でも多くの支援!!昨年度のうなぎ放流量、過去最高の428.3kg 浜名湖発親うなぎ放流連絡会
▼今号のうなLady Vol.158
▼取材先で見つけた話題のうなぎ料理専門店 東京都世田谷区「世田谷 宮川」~若いお客さまに鰻の醍醐味広めたい~
▼鰻蒲焼等水産物販売とアート展示「Fish&Artマーケット」開催 先月29日/千葉県船橋市、「かねゆう水産」
▼1月分の活鰻、加工鰻、稚魚ウナギ輸入実績と魚粉・魚油情報
▼“時短・簡便・健康・魚の付加価値”家庭用と業務用で44品ラインアップ
極洋、春季新商品発表会
▼生鮮レギュラーアユ始まる! 初荷は和歌山と愛知

その他。


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