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「蒲焼店が考える“これから”」120 〜2018年5月10日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


若林 礼子さん
(うなぎ若林/山形県鶴岡市)

『安易に安売りせず、ブランド力高める』

今シーズンのシラスは2013年と同水準の大不漁となった。年明け早々、1,2月と活鰻相場は暴騰し、現在、史上最高値を示している。専門店間でも早いところでは2月、遅くても新年度の4月から、メニュー価格を相次いで値上げするなど仕入れ高に対応した動きが目立っている。貴店での対策はどうだろうか?
「当店では5年前に値上げした時点の仕入れ値と現状が同等で踏み止まっている為、現時点では値上げやメニューの変更はしておりません。今後については検討中です」

厳しい販売環境のなかで、貴店では販売促進や、あるいはインバウンド対策などを実施しているのだろうか? 
「県や市の観光PR事業、インバウンド対策への積極的参加、FaceBookなどSNSでの宣伝を行なっています。お客様ご来店時は英語のメニューや指差し応対表を活用しています」

年明け早々、シラス大不漁の影響から、国産供給が一気にタイトになり、代わりに中国、台湾産活鰻といった海外産の依存度が急激に高まったことは記憶に新しい。そうしたなかで貴店の国産、中国産、台湾産に対して、どのような見解をお持ちだろうか?
「お客様から直接、聞かれることもあり、基本的には国産を使用しております。今年に入り、入荷がさらに難しくなっている ため、台湾産など海外産の安全性の周知徹底により、お客様のご理解が得られれば検討する必要があると考えています」

ところで、近年進んでいるニホンウナギの資源保護管理。エリアによっては天然ウナギの漁獲規制など行われているが貴店の”管理問題”に対する意見はどうだろうか?
「当店では天然ウナギを使用していません。他水産物同様、海外の水産物需要の増加、黒潮の変動や、異常気象、林業やダム・河川など自然環境の変化、様々な要因が影響していると考えられます。大きな枠組みにおける情報共有と研究、また一般の方への周知を行っていけたらと思います」

近年、深刻の度合いを高めるウナギ職人不足(※今シーズン、シラス大不漁による相場高騰、供給懸念から職人のリストラの話あり)。その育成や確保についての意見は?
「私自身、修業中の身ですが、商材の高騰でなかなか練習が出来ないという部分はあります。また現状からみて、先行きの不安から鰻一本で勝負するのは難しいのではないか、とも思っています。しかし、他飲食業との差別化は充分に図れるので、専門職としてのPRと価値の向上が鍵となるのではないかと思います」

シラス大不漁による資源問題の不安、相場高騰、供給懸念など、販売を取り巻く環境は一変しているなか、専門店として今後、取り組んでいくべきことは何だろうか?
「今や高級魚となった鰻です。安易に安売りを行うのではなく、ブランド力を高めてお祝いやハレの日の物として PR する方が良いのではと思っています。一方で、召し上がった事のない方でも気軽に本格的な味を楽しめるメニューの開発も今後、行っていく必要があると思います」

[データ]
「うなぎ若林」
〒997-0015 山形県鶴岡市末広町11-9
電話:0235-24-3701

若林礼子さん/うなぎ若林.JPG

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