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美味!!「鯉」メニューのお店29〈2017年4月5日号掲載〉 [鯉シリーズ]


さいたま市南区「萬店」

消費拡大は生産者が奮起できる仕掛けを

今号の「鯉シリーズ」はさいたま市南区の川魚料理店「萬店」を取り上げ、四代目の金子剛専務に、鰻・鯉料理のこだわりや今後の展望などについてお話を伺った。

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「萬店」の外観

「萬店」はJR埼京線「中浦和」駅から徒歩3分、1886年(明治19年)創業の老舗。農業の傍ら開いたお店で、この地の特産である鰻やナマズ、鯉などの料理を街道を往来する旅客に食事として提供したことに始まる。当時は東に別所沼、西に鴻沼があり、さらに荒川の流れも近く水郷地帯だった。浦和市では当時から大きなうなぎ屋があったことから次第にうなぎの町として発展し、野趣豊かな「萬店」の川魚料理も釣魚客などの間に知られるようになった。

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広々とした店内

鯉料理は「鯉の洗い」「鯉こく」「鯉のうま煮」の3品を提供。産地は主に茨城県で、1尾の重さは1.2kgほど。「洗い」は以前は肉厚のものを提供していたが、今は薄作りにして提供。金子専務は「薄くしたことによって骨に対する抵抗がなくなり、召し上がるお客様が増えてきました。『洗い』は大量に食べるのではなく、刺身として楽しむものですから」と、より食べやすくなったことを強調する。

また、「うま煮」は少し甘めの味が特長。「鯉こく」も昔から同じみそを使い、長時間煮ることによって独特のコクや味を出している。ただ、金子専務は「『洗い』も酢みその具合で味が違ってきますし、やはり川魚はどのようにその特長を出すかが難しいですね。鯉は健康にもいいのでもっとPRしたいんですが」と、利用客に喜ばれる味を出すことの難しさも強調。「供給自体がタイトになっているので、何か生産者が奮起するようなきっかけがないと今後の需要は厳しいのではないでしょうか」と、消費の低迷に警鐘を鳴らす。

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「鯉のあらい」(上)と「鯉こく」(下)

一方、うなぎは鹿児島県産と徳島県産を使用。料理は「梅重」「竹重」「松重」をメインに7品を提供し、日によってまちまちだが、どの料理も平均して売れ筋商品となっている。金子専務が「10人に一人はうなぎが食べられないというお客様もいらっしゃいますので、それ以外のメニューも揃えています」と話すように、「上天ぷら御膳」や「点心御膳(和食 雪)」などうなぎ以外のメニューも豊富。

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「うな重」

「お客様からのご要望にお応えし、蒲焼と白焼を一緒に味わえる『うなぎ三昧』もご用意しました。一度に2種類の味が楽しめるとあって人気を集めています」。

一方で、ウナギの消費については「浦和に限れば前年対比は少しずつ増えていると思います。〝うなぎの町〟として、美味しいうなぎ屋がたくさんある町として市民や店などが一体となって外部に発信し、PRしていることが大きいでしょう。ただ、ウナギを食べる消費者の層は増えていますが、ウナギを食べない消費者の層も増えていますので、全体的な市場としては依然として苦労が続いています。やはりまだ高価な食べ物であることには変わりありませんし」と、依然として厳しいという見方を示している。蒲焼と白焼が同時に楽しめる「うなぎ三昧」を開発したのも、うなぎを食べてくれる利用客に喜んでもらいたいという気持ちがあったからこそ。

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「お客様から支持をいただいているのはやはり『うな重』です。最近は、特に土日祝日は家族連れで来店されるお客様が増えてきました。祖父母や両親が食べたくて孫や子どもを連れてこられたり、孫や子どもにも食べさせたくて来店されたりと、お客様のご要望もさまざまですが、若い世代に食べてもらえなければウナギ業界は先細りになってしまいます。子や孫の世代に食べてもらうために何をすべきか考えるべきではないでしょうか」。

鯉も鰻も、生産者が奮起し、特に若い世代が魅力を感じるようなPRが必要だろう。

6面、金子剛専務<萬店> のコピー.JPG




















金子剛専務

川魚料理「萬店」
〒336-0031 さいたま市南区鹿手袋1-2-26
電話:048-862-5648


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