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美味!!「鯉」メニューのお店15〈2016年9月25日号掲載〉 [鯉シリーズ]


東京都台東区「駒形どぜう」

鯉料理を提供しているお店を紹介する「美味!!『鯉』メニュー」のお店シリーズ。今回は東京・駒形で200余年続く老舗のどじょう屋・駒形どぜうを訪問。小形輝昭副店長と蛯名功太調理副部長に、どじょう・鯉料理のこだわりや利用客からの声、今後の展望などについてお話を伺った。

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歴史を感じさせる「駒形どぜう」の外観

駒形どぜうは1801年の創業。初代が18歳のときに江戸に出て数年間奉公したのち、駒形にどぜう汁やどぜうなべを商う飯屋を開店したのがきっかけ。当時から駒形は浅草寺にお参りする参詣ルートのメインストリートだったことや、当時、神田に市場があり、野菜売りに来る商人が多数往来していたことなども相まって、街道に面していた駒形どぜうは大勢の利用客で繁盛した。
どじょうは国産の養殖ものを使用。九州や鳥取など全国各地から厳選しているが、需要期の夏場に国産が不足気味の場合は台湾産を使用することも。

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1階の開放的なお座敷と、2階のテーブル席とを選べる

「やはり、いかに品質の良いどじょうを仕入れるかに気を使います。日数が経過すると骨が硬くなって品質が劣化してしまうので、仕入れてからなるべく日数を置かず、かつ品切れにもならないサイクルでお出しするのがポイントです。夏場はもちろん、年末年始に浅草でイベントが開催される際にも多くのお客様が来店されるので、各地からある程度の量を確保しておかなければなりません」。
小形副店長は品質面のこだわりについてそう話す。対して、調理する上ではどのような点に気をつけているのだろうか。

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「どぜう鍋」

「どじょうの旨味成分は産地によって異なりますし、『どぜう汁』は湿度や気温によってこうじの出具合も違ってくるので、温度管理にも気を配りながら甘さや濃度を決められた〝ストライクゾーン〟にいかに収めるかが非常に難しいところです」。
話すのは蛯名調理副部長。調理を担当する職人の舌が味を左右するが、大半の客からは「おいしかった」という好感触だ。

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「どぜう汁」

一方、鯉のメニューは「鯉のあらい」を提供。主に群馬県産を使用し、サイズは一尾一kgほど。やはり新鮮なものを出すため、客の注文が来てから調理するのが鉄則。小形副店長も「さっぱりしたものを食べたくなる夏は需要が増えます。お客様からも『新鮮で食べやすい』と好評です」と話す。
「鯉の消費は横ばい状態が続いていますが、当店としてはどじょうをメインで提供していく中で、さっぱりしたメニューとして引き続き『鯉のあらい』を提供していければと思います。若いお客様には冬でもおいしいことをアピールして召し上がっていただいています」。

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「鯉のあらい」

蛯名調理副部長はそう話し、他のメニューとはちょっと違う味としてお勧めしていく考えを示した。
「定期的にご来店いただくコアなファンのお客様に支えられているからこそ200年も続いているのではないでしょうか。そういうお客様を大事にしつつ、大きく背伸びせずに今のまま進んでいきたいですね」。
小形副店長もそう話し、根強いファンに支えられていることを強調。来店客によって違う味の好みにいかに合わせるか、日々試行錯誤している。

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小形輝昭副店長(左)と蛯名功太調理副部長

「駒形どぜう」
〒111-0043 東京都台東区駒形1-7-12
電話:03-3842-4001

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美味!!「鯉」メニューのお店14〈2016年9月15日号掲載〉 [鯉シリーズ]


川魚問屋「石毛川魚店」

鯉は美味しく魅力ある商材

今号の「美味!!『鯉』メニューのお店」シリーズでは千葉県銚子市の川魚問屋・石毛川魚店を訪ね、四代目の石毛誠社長に鯉の魅力や消費の回復に向けたPRなどについてお話を伺った。
石毛川魚店はシラスウナギの仕入れや販売をメインに、活鰻や鯉の小売と卸売を行っている。千葉県銚子市は太平洋に面した日本有数の港町だが、利根川の河口にも位置しているため、うなぎやしじみの産地としても有名。石毛川魚店のすぐ目の前にも利根川が流れている。

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「石毛川魚店」の外観とたて場の様子

「創業当時は川魚専門ではなく、ハゼやシジミも扱っていました。当時は利根川でもハゼが捕れましたから。川魚に特化して法人化したのが昭和29年のことです」。
石毛社長は当時についてそう話す。40年ほど前までは利根川の天然のハゼを裂き、東京を中心に出荷していたという。現在は活鰻と鯉・どじょうを扱うが、活鰻が9割、鯉とどじょうは1割ほど。活鰻は白焼と蒲焼にして店内で販売しているほか、蒲焼専門店を中心に料理店に卸売も行う。

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活鰻は5〜6尾サイズと細ものが主体

活鰻はすべて養殖もので、主に愛知県産を使用。大きさは5〜6Pと細ものが主体。全体の9割を占める白焼が売れ筋商品となっている。
「白焼を買って自宅で蒲焼にするお客様が多いですが、最近は白焼のままわさび醤油で召し上がるお客様も増えています」。
特に昨年の土用の丑の日は追加注文が殺到。来店客の1人を2時間も待たせてしまったが、その利用客が「おいしかったからまた買いにきた」と、翌日再び来店したことがあった。ただ、仕入単価の高騰で、3〜4年前からは専門店以外の料理店からの需要は減少傾向にある。

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「鯉のあらい」

一方、鯉はあらいのみを販売。茨城県産で1尾の重さは800g〜2kgほど。ある程度大きい方が脂が多くおいしいという。
「作ってからすぐに召し上がっていただくためお客様からご注文をいただいてから調理し、お客様が取りにご来店になる時間に合わせています」。

昔から中高年の客が多く、初めて食べた客からも「臭みがなくておいしい」と評判だが、一時はコイヘルペスの影響で販売量が激減。ここ2〜3年でようやく回復しつつある。さらなる消費拡大に向けた方策はどうだろうか。

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一尾の鯉の重さは800g〜2kgほど。「鯉自体はとても美味しく魅力あるもの」と強調

「鯉と一般のお客様との間にだいぶ距離ができてしまっています。やはり食べたことのない世代にもっとPRしていかないといけません。初めて召し上がったお客様から『おいしい』という声をいただきますので、その意味ではまだ需要があると思います。お祭り等で提供すれば需要も増えるのではないでしょうか。産地と手を組んで何かきっかけを作りたいとも思っています。鯉自体はとてもおいしく魅力のあるものなんですから」。
現在は土産用として、鮮度を落とさずに客先に届けられる商品の開発に取り組んでいる。

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石毛 誠社長

川魚問屋「石毛川魚店」
〒288-0836 千葉県銚子市松岸町1-55
TEL:0479-22-0282

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美味!!「鯉」メニューのお店13〈2016年9月5日号掲載〉 [鯉シリーズ]


「八重洲 はし本」

新しい食べ方で新しい客層獲得を

鯉料理を提供しているお店を紹介する「美味!『鯉メニュー』のお店」シリーズ。今回はJR東京駅近くの創業70余年の老舗蒲焼店「八重洲 はし本」を訪問。四代目の橋本正平店主に鯉料理のこだわりや、鯉の魅力を広めるための方策などについて話を伺った。

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風情ある「八重洲 はし本」の外観と店内

「八重洲 はし本」はJR東京駅と地下鉄日本橋駅からともに至近距離。場所柄、周辺に勤めるサラリーマンの姿も多い。
提供している鯉料理は「鯉のあらい」と「鯉こく」。鯉料理を注文するのは比較的男性の利用客が多いが、年齢層には偏りはないという。主に群馬県産と滋賀県産を使用し、大きさは一尾800〜900gほど。調理の際のこだわりについて、橋本店主は「あらいはいかに美しく調理するか、鯉こくはいかに柔らかくして白みそと味付けのバランスをとるかですね」と話す。いかに食べ応えある身を残すか、調理する職人の腕も問われる。

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「鯉のあらい」

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「鯉こく」

「八重洲 はし本」では鯉の消費自体は横ばいで推移しているが、「まだ世間一般には鯉の価値は広まっていません」と橋本店主は言う。
「鯉こくは圧力をかけて骨を細かくしていますが、それでも抵抗を感じるお客様もいます。クセもなくおいしい魅力的な鯉ですから、骨の問題が解決できれば料理のカテゴリーが広がると思います。消費拡大のためには新しい食べ方、今までにない調理法でアプローチしていく必要があるのではないでしょうか」。

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「うな重」

消費拡大のためには「あらい」や「鯉こく」は残しつつ、一般的な食卓シーンに合うメニューも求められるという。具体的な新しいメニューについてはまだ試行錯誤しているが、「かわいらしい盛り付けにするなど、子供や女性に好まれる提供のし方も必要です。鯉は昔からのお客様からは根強い人気を誇っていますが、新しい客層の獲得にもつながる商材です。いろいろな調理法で食べてもおいしいのが鯉の魅力ですから」とも話す。

「実際に召し上がったお客様からは『おいしい』と好評ですが、お客様からの反応は肥やしにもなります。そのためには生産者に関する情報も表示すべきでしょう。そうするだけでも鯉の価値は上がるはずです」。
橋本店主は鯉の新しい開拓の方法に加え、流通の透明性の大切さも強調した。

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橋本 正平店主

「八重洲 はし本」
〒103-0028 東京都中央区八重洲1-5-10
電話:03-3271-8888

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美味!!「鯉」メニューのお店12〈2016年8月10日号掲載〉 [鯉シリーズ]


千葉県成田市「川豊」

品質・技術の伝承で消費拡大に繋げる

鯉料理を提供しているお店を紹介する「美味!!『鯉』メニューのお店」シリーズ。今回は千葉県成田市にある老舗のうなぎ専門店「川豊」を訪ね、三代目の伊藤小澄代表取締役に鯉料理のこだわりや今後の展望などについてお話を伺った。

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取材した日は「成田うなぎ祭り」を開催中とあって続々と観光客が訪れていた

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店内の座敷は広く、ゆったりできるのも自慢

「川豊」は明治43年に創業。当時は印旛沼や利根川などで主に鰻や鯉などの卸をしていた。
成田市田町に「川豊」の前身である「丸豊川魚店」を構えたのが大正14年。この頃から卸に加えて蒲焼の販売や飲食も手がけるようになり、成田山の参道界隈のお店にも本格的に卸を始めた。現在の本店がある同市仲町に移転したのは昭和42年。屋号を「川豊」と改め、本格的な鰻と鯉の専門店として営業を開始した。現在の場所は成田山新勝寺のお膝元、周辺は新勝寺を訪れる大勢の観光客で常に賑わいを見せている。

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「鯉のあらい」

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「鯉こく」

提供している鯉料理は「あらい」と「鯉こく」。鯉は群馬県産の1尾1kg〜1.5kgのものを使用しているが、伊藤社長は「群馬県産は赤城山の冷たい雪解け水を使っているので、特に身の締まりがいいのが特長です」と説明する。また、「川豊」は本店・別館・西口館と3店舗あるが、いずれの店舗でも大きな生簀を所有。繁忙期でもt単位で鯉を生かしておけるのも強みだ。

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品質と技術の伝承が消費拡大につながる

「鯉こくは鯉のだしをどれだけ取るかが重要です。甘くなりすぎずにいかにだしを利かせるかに普段から気をつけています」。
伊藤社長は料理へのこだわりについてそう話す。また、「あらい」は独特の食感が自慢。利用客からも「初めて食べたがおいしい」という声が寄せられているが、伊藤社長は「さばいている職人も20年以上のベテランが多く、技術にも長けています。湯がくときの温度管理もしっかりしているのも大きいでしょう」と、職人による技術も大きいことを強調した。

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「うな重」

鯉料理を注文するのは比較的高齢の客が多い。昔と比べるとやはり消費は落ちているというが、先日には30代くらいの女性客のグループが注文し、「とてもおいしかった」と喜んでくれたこともあった。消費の拡大に向けた対策はあるのだろうか。
「別館でうな重と鯉が同時に味わえる『川魚御膳』を提供していますが、お客様から根強い人気がありますので、本店でも気軽に食べられる料理として提供を検討中です。また、川魚という日本の伝統の食文化を守るためには品質と技術が問われます。当然、技術の伝承という義務は重いと感じています。若い職人を育てることが、ひいては消費の拡大にもつながると思いますから」。
伊藤社長はそう話し、品質と技術の伝承も重要だという考えを示した。

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伊藤小澄代表取締役

「川豊本店」
〒286-0027 千葉県成田市仲町386
電話:0476-22-2711

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美味!!「鯉」メニューのお店11〈2016年7月25日号掲載〉 [鯉シリーズ]


福岡県筑紫野市「鯉 ひろまつ」

「マックスバリュで『鯉の洗い』を地道にPR」

鯉料理を提供しているお店を紹介する「美味!!『鯉』メニューのお店」シリーズ。11回目を迎える今回は、西鉄二日市駅から車で10分、福岡県筑紫野市内にある「鯉 ひろまつ」。こちらは、50余年の歴史を持つコイ養殖最大手で年間800トンを誇る広松養魚場直営で、約25年前から営業をスタートしている。

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「鯉 ひろまつ」の外観

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「鯉 ひろまつ」の店内

「当初は、持ち帰り専門店でしたが、お客さんからのご要望もあり、イートインのスペースをまずは自宅で始めました。しかし、昼も夜も、となるとさすがに無理が生じ、店舗をつくることになりました」。
そう説明してくれたのは広松養魚場の広松正道専務取締役。1、2階合わせ、テーブル席・小上がり含めて計45席を数える店舗では「鯉アライ」630円、皮のコリコリとした食感が楽しめる「皮つきアライ」800円、「鯉のタタキ」800円、「鯉カルパッチョ」800円、「鯉定食」(鯉アライ、鯉コク、小鉢、鯉の甘露煮、香物、ご飯)1,600円、「ウロコチップ」150円、「鯉の甘露煮」420円、「鯉の南蛮漬」315円、「鯉コク」(大)420円、(小)210円、「鯉のあんかけ」3,500円、「鯉鍋」(3〜4名分)6,000円と、養鯉場直営だけにメニューも豊富だ。ほかにもウナギ、スッポン、アユなどもラインナップされている。

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「皮つきアライ」

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「鰻定食」

「多くの鯉メニューの中でもとくに『鯉アライ』、『鯉コク』がよく出ますよ。うちでは、鰻定食も提供させていただいていますが、一緒に鯉アライを頼む方も多いです。原料となるコイは流水式養殖で育ったものを扱っていてとくに身も締まっています」。

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店内のいけす

一方、国内最大手だけにコイの流通についてはどう見ているのだろうか。周知のように平成15年に起きたコイヘルペス問題による影響は根深く、当時、全国で8,000トン近くあったコイの養殖生産量は平成27年には3,256トンと半減以下となっている。生産者でもあり、流通業者でもあり、販売者でもある広松専務には、現状がどのように映っているのだろうか。

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「鯉のうろこチップス」

「正直、現状維持が精一杯です。ひとつの目標としては、コイヘルペス問題が起きる前の時点に戻すことで、地道にコイをアピール、営業をかけているところです。お陰様で昔からつながりのあるバイヤーさんを通じて、筑後川水系沿いのイオングループのマックスバリュ14店舗で『鯉の洗い』を扱っていただくことになりました。また5月1日の『鯉の日』に合わせて同月1〜5日の期間に行なわれた、佐賀県小城市のコイ料理の名所である清水(10件ほど鯉料理専門店が軒を連ねる)でのイベント『清水鯉まつり』では、テレビ、新聞、雑誌等メディアも取材、幅広くPRしていただいた。若いカップルから年配の方まで老若男女、多くの人にきていただきました。11月に行なわれる「清水竹灯り」という、紅葉のライトアップで有名なイベントもあり、そうした機会にいかにコイをPRしていくかが大事。まずはコイを一人でも多くの人に食べていただくことが大事ですから」と話しながら、またひとつの案として「“全国食用鯉品評会”で受賞したコイ料理をまとめたレシピ本を製作し、ホテルや旅館に配布、どんどんコイ料理を提案するのもいいかもしれない」と話している。

ビタミンE、コラーゲンを豊富に含むほか、体を構成するタンパク質に必要不可欠なアミノ酸が20種以上も含まれる等、美肌・健康に欠かせない商材、コイ。一にも二にも、“PRが大切だ”と強調する、コイ養殖最大手・広松専務のさらなる働きかけを注目したい。

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広松養魚場の広松正道社長(左)と、子息の真太朗さん

▼<ひろまつ>
〒818-0073 福岡県筑紫野市塔原西2-18-8
電話:092-922-3457
営業時間:[月・水〜金]11時〜19時30分[火]11時〜15時30[土・日・祝]11時〜20時


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美味!!「鯉」メニューのお店10 〈2016年7月15日号掲載〉 [鯉シリーズ]


茨城県潮来市
「割烹 清水屋」

鯉料理を提供しているお店を紹介する「美味!!『鯉』メニューのお店」シリーズ。10回目の今回は茨城県潮来市の「割烹 清水屋」を訪問。8代目の大﨑一彦店主に店の歴史や料理へのこだわり、消費の拡大に向けた方策などについてお話を伺った。

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「割烹 清水屋」の外観

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ゆったり広々とした店内

「割烹 清水屋」は潮来市にある、天然うなぎや鯉料理が自慢の川魚料理の老舗。すぐ近くを利根川が流れ、本紙6月25日号の第8回で紹介した同市の割烹旅館「銚子屋」とは至近距離にある。
創業は安永3(1774)年。江戸時代、杉田玄白らが『解体新書』を刊行した当時から続く、240年もの長い歴史と伝統を持つ老舗だ。創業当時は常陸利根川の畔にあり、旅館を営んでいた。昭和30(1955)年4月に公開された松竹映画『娘船頭さん』のロケも水郷潮来で行われ、主演した美空ひばりも当地を訪問したが、残念ながら「清水屋」に宿泊する機会はなかったという。

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「鯉のあらい」

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「鯉の旨煮」

2回の移転を経て、現在の場所に移ったのは昭和49(1974)年。移転すると同時に川魚料理店に業態を変更した。天皇陛下が皇太子だったころに当時の玉造町の水産試験場を訪問した際、「清水屋」に立ち寄り、食事を提供したこともある。
席数は約200席。テーブル席28席のほか、個室が5部屋、宴会場も2部屋あり、1人でも団体でもゆったりと食事を楽しむことができる。5年前の東日本大震災で建物のおよそ半分が被害を受け、今も使用できない部屋があるが、毎年6月にはあやめ祭りの開催もあって大勢の観光客で賑わいを見せ、今年も6月は団体客で店は大混雑だった。

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鯉は1尾約2.5kgと比較的大きめ

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「うな重」

「昭和の終わり頃、バブルの最盛期が売り上げのピークでした。バブル崩壊後は苦戦が続き、今はピーク時の5分の1くらいにまで落ち込んでしまっています。地元のお客様にとっては逆に敷居が高くなってしまったのかもしれません」。
大﨑店主はそう振り返る。平日の利用客は高齢者が多く、土日祝日は子や孫を連れた家族連れも多い。現在では都内を含め、大宮・柏・習志野など近隣県からの利用客が8割を占めているという。
提供している鯉料理は「あらい」と「うま煮」。かつては霞ヶ浦産の天然を使用していたが、漁師自体が減っていることもあり、今では霞ヶ浦で養殖された鯉を使用。1尾約2.5kgと比較的大きめなのが特徴だ。養殖の方が天然と比べて柔らかいが、その理由について大﨑店主は「運動量の差だと思います」と話す。「あらい」は調理する上で内臓やはらわたなどをよく洗い、60度くらいの湯で湯がいて氷水でしめるのがポイント。また、「うま煮」は秘伝のたれでじっくり煮込んだ甘辛い味わいが自慢で、「やみつきになる味」と好評。いずれも初めて食べた利用客から「泥臭いイメージがあったが、臭いは気にならなかった」という声が多く寄せられている。

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一方、うなぎは5月上旬〜10月下旬くらいまで利根川で獲れた天然うなぎが入荷。肉厚で柔らかく、定食の「天然うな重」はその味を求めて遠方から足を運ぶ利用客もいるほどの人気で、天然を扱う時期はほとんどの利用客が注文する目玉商品となっている。「鯉のあらい」「鯉のうま煮」「うな重」「わかさぎの塩焼き」などがセットになっている「川魚コース」では養殖うなぎを使用しているが、利用客から希望があれば、天然と養殖を一切れずつ出して食べ比べてもらっている。大﨑店主が「味の濃厚さと柔らかさが違います」と話すように、実際に食べた利用客からも「全然違う」という声が多い。

ただ、全体的な消費については「うなぎは特に大きく減ってはいませんが、やはり鯉は下がっています。KHVの影響もあるのかもしれません」と、厳しい状況が続いている。鯉の消費拡大に向けて何か考えている対策はあるのだろうか。

「メニューが多いわけでもなく、いろんなメニューがあったとしても必ずしもお客様が評価してくれるとは限りません。やはり地道に味のいい料理、質のいい料理を提供することではないでしょうか。新しい料理を考えるのも骨がネックになってしまってなかなか難しいです。若いお客様の中にはうなぎや鯉を食べて『こんなにおいしいんだ』と感動する方もいらっしゃいます。いいものを提供すれば必ず消費の拡大につながると思っています」。
大﨑店主はそう述べ、地道にいい料理を提供することの大切さを強調した。

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大﨑一彦店主

「割烹 清水屋」
〒311-2437 茨城県潮来市永山2651
TEL:0299-64-2011
営業時間:5月〜10月/11時〜18時(以降は予約) 11月〜4月/11時〜17時(以降は予約) 月曜定休

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美味!!「鯉」メニューのお店⑨〈2016年7月5日号掲載〉 [鯉シリーズ]


中国料理 新宿「古月」

鯉の薬膳料理で心身とも健康に

「鯉」メニューを提供しているお店を紹介する「美味!!『鯉』メニューのお店」シリーズ。今回は東京・新宿にある中国料理店 新宿「古月」を訪問。前田克紀料理長にメニューのこだわりや、利用客へのアプローチの方法などについてお話を伺った。

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「新宿 古月」の外観と店内

「古月」は平成19年6月、現在の場所に支店としてオープン。本店は台東区池之端にあり、前田料理長は入社以来、本店で修行を続けていたが、平成24年4月に暖簾分けという形で師匠から譲り受けた。すぐ目の前には新宿御苑が広がり、窓から四季折々姿を変える新宿御苑の緑を望めるロケーションも魅力。平日の日中は近隣に勤める会社員、土・日は日中は観光客、さらに夜は家族連れと客層も幅広く、近隣に長く住んでいる住民が気軽に来店し、夕飯を楽しむこともしばしば。昼は「古月のランチセット」「お昼のミニコース」夏限定の「冷麺」、夜は「夜ごはんセット」「アラカルトメニュー」などの中から選ぶことができる。

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調理する前田克紀料理長

「美味しく食べて心身ともに健やかに」をコンセプトに薬膳料理として多くの料理を提供。年に八回の割合でメニューを変え、5月後半〜7月上旬くらいまでの梅雨の時期には夜の「初夏の食養生コース」の中の一品として「鯉とあずきの煮込み」を提供している。
「梅雨時は湿気によって体にさまざまな不調が表れます。その場合は体内にある余分な水分を体の外に出すことが一番ですが、鯉にも体内の過剰な水分を排出する役割があります。お客様一人一人によって体質が違いますが、『初夏の食養生コース』は湿気によって消化器官が不調になったことを想定してメニューを組みました」。
前田料理長はコース料理についてそう説明する。

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「鯉とあずきの煮込み」

「鯉とあずきの煮込み」は鯉にあずきを入れてよく煮込み、雑草のおおばこの粉をくずもちにして混ぜ合わせている。鯉と野草の香りの相性が良く、甘さも控えめなのが特長。一尾約一kgの鯉を使用し、一尾で七〜八人前作ることができる。薬膳料理として梅雨時限定で提供していることが「古月」のカラーであり、鯉の産地自体には特にこだわりはないという。

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「鯉は体にいい食材ですが、おいしくないと意味がありません。多くのお客様に召し上がっていただけるように甘さを控えめにしました。鯉は食わず嫌いのような傾向があり、召し上がったことのないお客様が大半ですが、『おいしい』『意外と臭いが気にならない』という声が多く、成功だったと思います」。
前田料理長はそう話し、感触の良さを感じている。以前はウナギを醤油味で煮込んでニンニクを効かせた四川料理風のものや、ウナギを野菜と一緒に甘酢で炒めた料理なども提供していた。利用客からの評判は比較的良く、淡水魚は積極的に使っていきたいが、まだ利用客からの需要は少ないためそこまでは至っていないという。

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写真におさまる前田ご夫妻

世間一般にあまりなじみのない鯉だが、消費の拡大も含めて今後どのようなアプローチの仕方をしていくのだろうか。
「おいしさはもちろんですが、当店ではやはり薬膳料理としてご提供していますので、『健康にいい、体にいい』ということをお客様にアピールしたいと思います。鯉という決してメジャーではない魚でも薬膳料理として食べる意味を作っていますから、『鯉を使ったこんな料理もあるんだ』ということをこの機会にぜひ知っていただきたいですね」。
前田料理長はそう話し、薬膳料理の魅力についても改めて強調した。

中国料理 新宿「古月」
〒160-0022 東京都新宿区新宿1-5-5 2階
TEL:03-3341-5204
営業時間/ランチ:11時30〜14時(L.O)ディナー:17時30〜21時(L.O)
(月曜定休)

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美味!!「鯉」メニューのお店⑧〈2016年6月25日号掲載〉 [鯉シリーズ]


茨城県潮来市
割烹旅館「銚子屋」

メインは「鯉のあらい」と「旨煮」           昔から冠婚葬祭には鯉!

鯉」メニューを提供しているお店を紹介する「美味!!『鯉』メニューのお店」シリーズ。今回は茨城県潮来市にある割烹旅館「銚子屋」を訪ねた。これまでは鯉料理を提供する飲食店を紹介してきたが、宿泊施設を取り上げるのは今回が初めて。
「銚子屋」は茨城県潮来市を流れる常陸利根川の川沿い、水郷国定公園特別指定地域の真中に位置し、目の前には国内第二位の面積を誇る霞ヶ浦が広がる。遠方には筑波山が浮かび、特に秋と冬には日本一の山・富士山も同時に望むことができるほか、湖上の彼方に沈む夕日も絶景と、数々の魅力ある景色が楽しめるロケーションが魅力だ。常陸利根川を南側に越えると千葉県香取市になる。

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「銚子屋」の外観と、ゆったり広々した団体客用の部屋「紫峰」

女将の小林恭子さんは5代目で、元々は米屋からスタートしたという。
「潮来にはその昔、この周辺で獲れた米を船で利根川を渡って江戸まで運搬する商人がたくさんいました。その商人が利用できるようにと宿泊施設にしたようです」。
小林さんは丁寧に説明してくれた。5月28日~6月26日までの1ヶ月間は「水郷潮来あやめまつり」が開催され、観光客を中心に最も賑わう時期となる。取材に訪れた際もちょうど開催真っ只中で、予約していた団体客が続々と来館していた。普段は比較的年配の宿泊客が同窓会で利用することが多い。

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「鯉のあらい」

「霞ヶ浦はコイはもちろんですが、エビやワカサギ、白魚などたくさんの魚が獲れます。新鮮な川魚料理をぜひ味わっていただきたいですね」。
提供される川魚料理は「鯉のあらい」と「鯉の旨煮」がメイン。かつては霞ヶ浦で獲れる天然の鯉を使用していたが、平成15年にKHVが発生して以来、霞ヶ浦周辺で養殖される鯉に切り替えている。旨煮はその大きさとふっくらした食感が自慢。栄養価も豊富で地元民や観光客に愛されていることなどから、経済産業省が主催する、外国人誘致や特産品の海外販路の開拓を目的とした「NIPPON QUEST AWARD」で、雑誌『LOCATION JAPAN』の特別賞を受賞した。

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「鯉の旨煮」

また、オリジナルの「うなぎの佃煮」も新しく開発。三時間かけてじっくりとうなぎを煮込み、うなぎの風味を生かしてふっくらと上品に仕上げているのが特長でリピーターが続出し、全国から取り寄せの注文が相次いでいる。

一方で、鯉の消費に関しては「潮来では冠婚葬祭には必ず鯉が出ますが、やはり昔と比べて減っています。特に若いお客様は川魚を敬遠する傾向にあります」と、伸び悩みを感じている。ただ、それでも「やはり当館は鯉が看板です。ここでしか味わえない料理として旨煮もあらいもご提供していますので、今後も継承していきます」と、伝統の味の大切さも強調する。

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「うなぎとわかさぎの佃煮」

「鯉料理をアレンジして潮来の町を活性化させようという取り組みも行っています。それが広がれば若い世代にも受けるかもしれませんね。料理・景観の良さ・接客の三つが揃わなければお客様にお越しいただけません。最近は中国や香港からのお客様も増えていますが、外国のお客様に私たちの接客が通じるのは嬉しいことです。リピーターのお客様も多いですが、そうしたお客様から『また来たよ』という声が聞けるようなおもてなしを心がけています」。
小林さんは明るく笑顔で語った。

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女将の小林恭子さん

「割烹旅館 銚子屋」
〒311-2437 茨城県潮来市永山2614
電話:0299-64-6111 年中無休
チェックイン:15時(最終22時) チェックアウト:10時

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美味!!「鯉」メニューのお店7〈2016年6月15日号掲載〉 [鯉シリーズ]


東京・葛飾区「川千家」

帝釈天と一体で地元を盛り上げる!

鯉料理を扱うお店を紹介する「美味!!『鯉』メニューのお店」シリーズ。7回目の今回は、東京・葛飾区柴又の老舗「川千家」を訪問、10代目の天宮久嘉代表取締役に料理へのこだわりや、鯉の消費拡大に向けた対策などについてお話を伺った。

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歴史ある「川千家」の外観と店内

「川千家」は1778(安永7)年創業、およそ240年もの長い歴史を誇り、5月25日号の本紙で掲載した同じ柴又の「川甚」とは目と鼻の先にある。やはり、帝釈天の参道に位置していることもあり、利用客のおよそ半数を参拝客や観光客が占める。
「当店は帝釈天と一体となって商売をしており、帝釈天を訪れたお客様をおもてなしするという意識を常に持っています」。
天宮社長は経営者としての心構えについてそう話す。取材に訪れたのは6月10日だったが、「毎月10日は『寅さんの日』で、参道で大道芸などが行われます。こうしたイベントにいらっしゃるお客様をもっと定着させたいですね」と話すように、平日にもかかわらず、多くの観光客で賑わっていた。

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「うな重 竹」と「鯉のあらい」

来店客のほとんどが注文するのが「うな重定食 竹」。鯉料理は「鯉あらい」と「鯉こく」を提供している。鯉は福島県猪苗代湖畔で養殖されたものを使用し、1尾の重さは3〜4kgほどで、やや丸みを帯びているのが特長。

「鯉こくはブツ切りしたものをそのまま入れて充分煮込み、味を濃いめにしているためエキスもよく出ています。あらいは脂っぽさを落としてさっぱりと仕上げ、独特の歯応えを特長として残しました。やはり創業当時からの味ですから大事にしていきたいですね」。
天宮社長は料理へのこだわりについてそう説明する。

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「鯉こく」

一方、消費面については「2週間に一度程度の割合でご来店いただくたびに鯉を注文されるほど熱烈なファンのお客様がいらっしゃいますが、やはり鯉自体が一般になじみが薄いこともあり、消費は昔と比べて減っています。鯉は食べると元気になるイメージがあるので、それをうまくアピールしていきたいですね」と、伸び悩んでいることを明かす。そのため少しでも鯉に親しみを持ってもらおうと、コース料理の一部として鯉のうろこを揚げた「鯉のうろこの唐揚げ」と、鯉の身をごま油であえた「鯉のごま油あえ」を提供。利用客から好評なら単品メニューとしての提供も考えている。

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「鯉のごま油あえ」と「鯉のうろこの唐揚げ」

「鯉の消費拡大のために『栄養豊富で元気が出る魚』という部分をPRしていく必要があるでしょう。食わず嫌いな傾向を改善していかなければなりません」。
天宮社長は鯉には多くの栄養が含まれていることを改めてアピール。加えて「地元の皆様に愛されなければ観光客の皆様にも愛されません。地域を盛り上げながら当店も盛り上げていくという昔からの方針で、引き続き地域に貢献したいと思います。来年には外国人観光客向けの宿泊施設もオープンする予定で、さらなる観光客の増加に期待したいですね」と、地元住民に愛されることの大切さも強調した。

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天宮 久嘉代表取締役

「うなぎ・川魚料理 川千家」
〒125-0052 東京都葛飾区柴又7-6-16
電話:03-3657-4151

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美味!!「鯉」メニューのお店6〈2016年6月5日号掲載〉 [鯉シリーズ]


「日本橋ゆかり」(東京都中央区)

「時代に合った新しい食べ方の提案を!」

美味!!「鯉」メニューのお店シリーズ。今回は東京・日本橋の高級和食割烹「日本橋ゆかり」を訪問した。同店の目玉であるであるコース料理が毎月その時季の旬の食材を利用した料理に変わり、いろいろな味を楽しめるのが特長。5月は鯉の旨味と米の甘さで味を整えた和のポタージュ「結び鯉のお椀」が提供された。三代目の野永喜三夫店主に料理へのこだわりや、鯉の消費拡大のためには何が必要かなどについてお話を伺った。

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「日本橋ゆかり」は昭和10年創業、今年で81年を迎える。JR「東京駅」から徒歩3分、地下鉄「日本橋駅」からは徒歩1分と、ターミナル駅からは至近距離。伝統と流行が同居する日本橋という場所柄、周囲には古くからの飲食店や最新のオフィスビルなどが立ち並び、常に多くのサラリーマンや観光客が行き交う。

賑やかな場所の中で、「日本橋ゆかり」は大通りから一本入った細い道に独特の落ち着いた雰囲気を醸し出していた。平日は主に企業の接待、土曜日は家族の結納などで来店する客が多く、特に50代〜60代の利用客が多いという。

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目玉であるコース料理は毎月その時季の旬の食材を利用したメニューを提供。5月は同店伝統の味、縁起物の鯉を使った「結び鯉のお椀」が提供された。

「長野県佐久産の鯉を骨切りにし、粥状にした米で白さと濃度をつけています。ほのかに感じるお米の甘さと鯉の旨味に一番出汁と白味噌で味を整えました。まるで和のポタージュを思わせるまろやかなコクと旨味、ホワッとした独特の食感が自慢です。鯉は皮と骨との間に旨味がありますが、その旨味がよく出ています」。

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3代目の野永店主は料理の特長についてそう説明する。毎月違ったメニューが味わえる店というのは珍しいが、その理由について野永店主は「若い世代のお客様や外国人のお客様でも食べやすいようにするには、時代に合った食べ方を提案すべきではないでしょうか。洗いや旨煮などのオーソドックスなメニューも大切ですが、食材に応じて料理の基本を変えることもできるはずです」と述べ、鯉を見直す機会も必要だという考えを示した。

また、9月のコース料理では「鯉のあられ粉揚げ 大根みぞれ餡かけ」を提供。揚げた鯉にせんべい粉をまぶすことによってサクッとしたちょうどよい食感を出しているのが特長。とろみをつけた餡に大根おろしを入れることによって油っぽさもさっぱりとした味に変わり、野永店主は「言うなれば鯉のカツレツのようなものです」と説明する。

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「食べる機会がないことや泥臭いイメージがあることから、若い世代には鯉はなじみがありません。もちろん食べればおいしいですが。若いお客様に食べてもらうには、フライのようにするなど今までにない売り方を考える必要があります。実際に召し上がったお客様は『これ鯉なの?』と驚かれますが、『おいしい』と好評です」。

野永店主はそう話し、新しい食べ方の提案も必要だという考えを示した。

「全国各地で地元の食材をを生かした料理を販売する『うまいものフェスタ』のようなイベントが開催されていますが、そういった場に出展することで『鯉にもこんな食べ方があるんだ』ということに気づくと思います。地元の食材と合わせれば地産地消にもつながりますし、作り方次第でいろいろな料理ができます。鯉は味は良く栄養もあり、こんな美味しい魚はありません。可能性はいくらでもあります」。
野永店主は鯉の魅力について改めて強調する。

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「若い人は唐揚げが好きですから『鯉の唐揚げ』もブレイクするのではないでしょうか。ストレートに出すだけではなく、一手間加えた料理を提供する必要があるでしょう。鯉の業界でイベントに出展したり、各産地で地元の名産が味わえる催しを開催したりという企画を考えるべきだと思います。『鯉』という素材は一緒でも料理を進化させていくことです」。

野永店主は鯉が秘める将来性についても力強く語った。

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「日本橋ゆかり」
〒103-0027 東京都中央区日本橋3-2-14 KNビル1階
電話:03-3271-3436
営業時間:午前11時30〜午後2時、午後5時〜10時 日曜・祝日定休

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