「企業の社会的責任考えて」日本鰻輸入組合・森山喬司理事長

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「個別の利害得失を超え、企業の社会的責任も考えて」 　　〜非組合員に加入促し、日本鰻輸入組合の森山喬司理事長が切実な思い訴える〜

『中国がヨーロッパウナギ輸出を禁止するー』土用丑直前、メディアによる報道が業界内を駆け巡った。2014鰻年度（'13.9〜'14.8）における加工品輸入量を見ると6月時点で約7,700トン、そのほとんどがアンギラ種とされ、その影響は計り知れない。日本鰻輸入組合の理事長を17年務め、これまでの輸入ウナギの艱難辛苦を乗り越えてきた森山喬司氏に“輸入ウナギのこれから”について伺った。



業界が大きな盛り上がりを見せる土用丑商戦真っただ中、“来年2月以降、中国がヨーロッパウナギ輸出禁止へ”のニュースが全国を駆け巡った。日本鰻輸入組合理事長就任17年目を迎える森山氏はいう。

「昨年3月より、ヨーロッパウナギの件に関しては現地の加工関係者からすでに話を伺っていたし、業界内でもその話は通っていた。ここ1〜2ヶ月前には“予想以上にアンギラ種の消化が早い”との話も聞いており、いずれにしても“日本への輸出が止まる”ことは間違いないだろう」。

ちなみに2014鰻年度（'13.9〜'14.8）における加工品輸入量は6月時点で約7,700トンを数える。そのほとんどがアンギラ種とされており、それらの輸入が中止となればその影響は計り知れない。

「ここ20年、輸入界はこのアンギラ種によって繁栄してきたといっても過言ではない。それを考えると“アンギラの輸入が止まる”ということは非常に大きな問題だ。しかしながら、幸いにもジャポニカ種シラスが大採れし、中国にはすでに45トンもの数量が池入れされている。最終的にそれらジャポニカ種でどれだけアンギラの分をカバー出来るかがポイントだ」。

加工原料としてのジャポニカ種に注目が集まりつつあるものの、商社間の話題はやはり、アンギラ種との価格差問題。一般的にアンギラ種相場は国産加工品（ジャポニカ種）の半値とされている。ジャポニカ種がアンギラ種と同様の価格水準になれば引合いは強まるが、現時点で先行きは不透明だ。また先月頭、環境NGO団体グリーンピースが記者会見で“種の混在”問題を明らかにした。サンプル数は少ないが、スーパー側が認識していたアンギラ種が実はロストラータ種だったり、その逆のケースもあった。

「あの記者会見の前後で状況は大きく変わっている。これからは“アンギラはアンギラ”、“ロストはロスト”として徹底していくし、解決出来ると見ている。我々、輸入組合としてのコンプライアンスもあるし、しっかりとした中国加工場から製品を購入するよう呼びかけているところだ」。

一方、業界を震撼させた“中国の賞味期限切れ肉問題”のニュース。これも丑商戦真っただ中に報道され、一時的だが中国産ウナギの売れに影響を与えた。

「実際、この10ヶ月間で約2万トンの中国産ウナギが輸入されている。しかし、この間、違反は0件。10月になれば丸1年、違反がないことになる。今後も違反が無ければ命令検査解除も近いだろう」。



中国産ウナギを巡ってやはり、気になるのは資源問題。前述したヨーロッパウナギの輸出中止、ニホンウナギもすでに世界的権威あるIUCN（国際自然保護連合）のレッドリストに絶滅危惧種として登録されている。輸入うなぎ界の存亡の危機とも言える状態だ。

「水産庁では既にニホンウナギの資源保護の観点から“国際的強調の枠組み作り”を進め、当組合にも協力依頼が来ている。近い将来“貿易規制”がなされる場合、国内唯一の法定組合である当組合の組織率の低さが課題だ。土用丑の日の先月29日に、非組合17社に組合加入の案内を送らせていただいた。そのうち、扱い大手のマルハニチロさん、阪和興業さん、極洋さん、東海澱粉さんの4社には社長宛で、昨今のウナギ資源の窮状を説明、そのウナギの多くを扱っている事への“企業の社会的責任”への意見、面談の申し込みを盛り込んだ。返事は今のところ無いが（5日時点）、改めてお願いするつもりだ」。

かつてない輸入ウナギ包囲網。新鰻年度を間近に控え、今の窮状をどう乗り越えていくのか。
「正直、乗り切れるかどうかわからない。しかし、一縷の望みは5年ぶりにジャポニカ種が採れた事。それにより、業界の寿命は2年伸びたと思っている。来期のシラス漁も今年の半分も採れれば、さらに2年伸びる。その間に持続可能な資源管理が出来ればと期待している」。


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