SSブログ

「蒲焼店が考える“これから”」20 〜2014年9月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


四代目 高木 康晴氏
(うなぎ 源氏/東京都文京区)

『うなぎ職人のスターを生み出す事もひとつ』

ニホンウナギの稚魚好漁、絶滅危惧種に登録など例年以上に話題を振りまいた。今夏を振り返り、どうだったか?

「今夏は例年以上に良かったですよ。例年、土用丑の日を間近にウナギに関するニュースが多くなるのですが、とくに今年は “シラスウナギ好漁”、そして“IUCNがニホンウナギを絶滅危惧種に登録“とインパクトも大きく、暑さも後押しした事で例年以上にウナギが売れました。金額ベースで言えば大体130〜140%ぐらいです。仕入れ値も昨年同時期に比べ、1000円/kg前後、下回り久しぶりにいい商売が出来ました。うちでは”絶滅危惧種“の事よりもシラス好漁による”値下げ“を気にする方が目立っていました」

ちなみに売れ行きに変化は出ているのだろうか。

「私どもではトータルで600円の値上げをさせていただきました。その結果、鰻重は1400円から2000円となった“竹”よりも、2400円から3000円となった“極上”の方がよく売れるようになりました」

一方、昨今はウナギ資源管理問題が大きくクローズアップされている。今月半ばには日本、台湾、中国、韓国などニホンウナギの資源に係る国際会議も開かれる予定だ。

「ウナギ資源保護に関しては思うところはいろいろありますが、なかなか“個人”では動けず、歯がゆい部分もあります。昨今は“天然ウナギを採るな”という傾向がとくに突出している感じがします。しかし、これだけではなく他にも要因があると思いますし、もっと冷静に資源問題を見つめ直す事も大切かなと思います」

一方、職人不足問題に対してはどうだろうか。

「自身も調理士会に8年、所属していました。当時は会主催で、服部栄養専門学校など調理師学校で講習会を何度か開きましたが、結果は厳しかったですね。あのような働きかけはとても良い事ですが、若い子たちがついてこない。うなぎ職人とは努力を重ね、一歩ずつ段階を踏んでいかなくてはならないのですが、それが今の若い人たちの性に合わないんでしょうね。うなぎ調理自体に興味を示す学生さんも多かっただけに、うなぎ職人のスターを今後、生み出す事もひとつの方法ですよね。人を惹き付けるうなぎ職人が誕生する事で後に続く若い人たちも増えていくのだと思います」

かつてない問題が山積する蒲焼店業界。今後は、どのように進んでいけば良いのか。

「基本に忠実、丁寧な仕事を心がけ、美味しい鰻重をお客様に提供し続けることしかないと思います。鰻屋さんにいらっしゃるお客様は基本的に舌が肥えていて厳しい。だからこそ、しっかりしたものを出さないと二度とお店には来てくれません。多くのお店がそうした思いで仕事に臨めば良いのではないでしょうか」

ちなみにSNSについてはどうだろうか。

「いろいろなウナギ料理の写真、動画も載せられ、刺激を受ける事もあります。実家の鰻屋に戻り、一人仕事をしていると自分の調理に対して口を挟む人もいないので、そうした意味でSNS は“刺激”になって良いですよね。ただ、直接お会いしていろいろとお話し出来た方がなおさら良いと思いますね」

[データ]
「うなぎ 源氏」
〒113−0021
東京都文京区本駒込4-42-3
tel:03-3821-1006

うなぎ源氏ブログ用.jpg

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。