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「蒲焼店が考える“これから”」24 〜2014年10月15日掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


矢野昌宏取締役社長
(鰻 やっこ/東京都台東区)

『鰻仕入れ価格に資源保護費上乗せ』

秋も一段と深まり、完全なるオフシーズンに突入している。先月半ばより、夏の大商いがウソかのように売れはピタッと止まっている。しかも今月に入り、毎週末の台風襲来が余計に足かせとなっている。

この時期になり、季節柄もあってか、ウナギに関する話もやはり少ない。ただ、今年は”シラスウナギ好漁“からはじまり、6月のIUCN(国際自然保護連合)、9月の”シラスウナギ池入れ20%削減“のニュース等、要所要所でウナギが大きく取り上げられたことで、結果的にPRにつながった。

「当時は、“ウナギが食べられなくなる?”といった声はほんの少し、聞かれた程度でそれほど騒ぐ程でもありませんでした。とにかく、一連のニュースによってウナギの露出度は高まり、客足が伸びましたね。ただ、秋を迎え、売れ口が落ちていくなか、夏の反動がどの程度になっていくのか、そこが心配ですね」

ところで、ウナギ資源保護については先般、東アジア4カ国地域でシラスウナギの池入れ量を直近の20%削減することで合意したように、ウナギ資源管理は着々と進んでいる。

「先般、行われた全国鰻蒲焼商組合連合会の情報交換会でも資源保護の一環として“天然ウナギを扱わない”ということなど、私どもも出来る限り、協力していければと思います。他の専門店グループ等では、水産総合研究センターへの募金活動が行われていますが、例えば、そうした“資源保護費”を活鰻料金に上乗せし、徴収していくのもいいかもしれません。そして、それらをウナギ完全養殖商業化、あるいは親ウナギの放流向けに寄付していく、それがひとつの流れです」

一方、ウナギ資源とともに今後、大きな問題となっていくと見られる職人問題。

「私どもではウナギ職人さん三人を抱えています。年齢は50〜60代です。ただ、ここ4年間、シラスウナギ不漁による相場高騰等から、経営面ばかりに目がいき、正直、職人さん問題の対策はまったくしていないのが現状です。これから、改めて考えていこうと思っていますが、まずは若い人たちが働きやすいような環境を整えていくことですね。例えば、私どもでは通しで営業をさせていただいていますが、“休み”時間を設けるとかですね」

また、経営面の工夫はどうだろうか?

「私どもでは純米酒専門の酒屋さんと協力し、売り上げアップのため、料理とお酒の組み合わせを活用しています。ちなみにウナギの仕入れ値に関しては、確かに値下がってきているので一息はつけています。しかし、これから始まるシラスウナギ漁によっては再び、相場が反転しないか、内心は不安で一杯です」

今後、鰻屋としてはどうしていくべきだろうか?

「常に美味しい鰻料理を提供していくことと同時に、サービス、接客の部分をさらに強化していきながら、鰻文化の継承に力を入れていくことですね」

[データ]
「鰻 やっこ」
〒111-0032 東京都台東区浅草1-10-2
電話:03-3841-9886

矢野昌宏社長 ブログ用.jpg

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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