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「蒲焼店が考える“これから”」29 〜2014年12月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


湧井浩之取締役
(うなぎ割烹 大江戸/東京都中央区)

『厳しい時こそ、お客様に“利益”を供与すること』

今年は“ニホンウナギ絶滅危惧種”が一番の話題。

「IUCNがニホンウナギを絶滅危惧種に登録、公表した6月。後半から“例年と違うなあ”という雰囲気を感じました。とくに夜の予約が目立ち、早い段階で満席になる日が多かったです。例年、7月第一週にもなれば一度波は引くのですが、今年は違いました。丑までずっと右肩上がりで、その好調さはお盆前まで続きました。数々のニュースで結果的にPRにつながったようです。“絶滅危惧”については、とにかくお客様を安心させるよう努めました」
 
2年後のワシントン条約締約国会議を控え、ウナギ資源保護が進む。

「”シラス20%削減について、2016年のワシントン条約を控えているだけに、水産庁の動きは良かったと思っています。ただ、“大豊漁年の20%削減”は、資源保護の効果は低いと思いますし、ワシントン条約締約国会議へ向けた一種のポーズともとれます。しかし、私どもはこれからもウナギを扱い続けなければなりませんし、生産者も養鰻業を継続出来るよう、頑張ってもらいたいと思います」

ところで資源問題と同様、うなぎ職人さん不足が大きく立ちはだかる。

「正直、頭が痛いです。私どもでは鰻職人5人を抱え、上は65歳、下は40歳、将来のためにも対策を練りたいと思っていますが、まずひとつは人材登用するための(資金の)余裕がないです。仮に募集をかけても今度は、人材がいない問題も。ひとつの対策としては集団就職等を考えていく事ですかね。あとは“和食”が世界無形文化遺産に登録された事で、海外の人がより注目する中、外国の方を受け入れる体制も必要になってくるでしょう」

これからをどう生き残るか。

「厳しい時こそ、お客様に“利益”を供与する、これは弊店で代々、言い伝えられていることで、まさに今のウナギ業界がそのような状態にあります。私どもでは、お客様を離さないために値上げも最小限にとどめました。長く続いているお店は、お客様に何らかの“利”を与えているのだと思いますから。一方で料理面、サービス面など細かいブラッシュアップを欠かしてはいけないし、怠れば進化はありません。マーケットが縮小する中、いかに勝ち組に残っていくか、臨機応変に対応していきたいですね」

最後にSNSなどの交流、活用の仕方については。
「つかえるツールは有効に活用するのは良いと思います。LINEは、親しき仲での他愛もない話にはとても向いていますね。それ故少し軽い感じもします。また実名登録の必要がないですし、“トーク”もどんどん流れていってしまうので、ディスカッションには不向きかと。一方、Facebookは、実名登録、素性、背景がわかるなど、リアルがベースにある交流が可能であり、またタイムラインも比較的流れ難いので、ディスカッションにはこちらの方が向いていると思いますね。

それからFacebookページ(一般向け)、公開グループ(一般の方も入れる)と非公開・秘密のグループ(クローズド)を使い分けることで、情報発信、交流・議論の場の棲み分けが可能かと。いずれにせよ、交流を深め、地域ごとにまとまり、ゆくゆくは全国でひとつにまとまれば良いですね」

[データ]
「うなぎ割烹 大江戸」
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町4-7-10 
TEL:03-3241-3838

湧井浩之取締役 ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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