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「蒲焼店が考える“これから”」31 〜2015年1月10日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


長友隆之代表
(入舟/大分県大分市)

『他文化との組み合わせも考え、            興味を持っていただけるお店作り』

ウナギ資源に関して、試練の年と言える新年が幕開けした。昨年は、IUCNの絶滅危惧種指定など、ウナギ資源に関する報道は例年以上に多かった。

「ウナギ稚魚の減少の報道直後は『今日、ウナギはありますか?』との問い合わせが目立ちました。“ウナギの仕入れがなくなる”と思われたのではないでしょうか。一方で、地元報道機関から取材の申し込みもありました。しかしながら、お客様の持たれる印象への不安も考えた上で、取材は丁寧にお断りさせていただきました。2014年を振り返ってみますと、前年に比べて忙しい年となりました」

来年は業界が動向を注目しているワシントン条約締約国会議が開かれる。そうしたなか、近年はウナギ資源保護が急ピッチで進んでおり、養鰻業は昨年11月より届出制となり、シラスウナギの池入れ量も前年の20%削減で合意に至っている。

「シラスウナギ池入れ量の20%削減について、私はポジティブに捉えています。ウナギの希少価値が上がることで、今後はブランド化されていくのではないでしょうか。新たな販売形態として、価値を付加することも考えています。しかし、当店のような家族経営の小規模店は、極端な納品量の減少があるのではないかと懸念しているところです」 

ウナギ資源に関しては当然、今後も商売する上で避けては通れない問題の一つだが、一方で職人問題も蒲焼店にとっては資源と並んで、頭の痛い問題のひとつだろう。

「ウナギ職人の人手不足には、当店も本当に頭を抱えています。当店は私の趣味でもありますワインを提供し、求人誌に掲載したところ、ワインに興味を持った問い合わせを数件ほどいただきました。これからは、ウナギに興味を持たせるための“キッカケ”を考えることで、人手不足の解消を図っていきたいと考えています」

ウナギ業界を取り巻く環境は、このわずか数年で一変したと言っても過言ではない。商売の元となる“ウナギ資源”が、それまで漸減傾向であったとはいえ、急激に採れなくなったことはまさに晴天の霹靂と言えよう。そうした大きな問題に直面するなか、どう乗り切っていくべきか。

「これからの鰻屋は、他の文化との組合せも考え、お客様に興味を持っていただけるお店づくりをしていく事が大切なのではないかと思います。うなぎ料理の伝統を生かしながら、 新たな食べ合わせや様々な企画を考えていきたいと思います。また、SNS などを活用した同業種の方々との交流は、心強く励みになります。今後も引き続いて交流が出来ればとても嬉しいです」

[データ]
「入舟」

〒870-0851 大分県大分市大石町 5-1-1
TEL:097-549-5765

長友さま のコピー.jpg

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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