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「蒲焼店が考える“これから”」32 〜2015年1月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


高橋明宏代表取締役社長
(うなぎ割烹 高橋屋/埼玉県杉戸町)

『職人確保は“ここで勉強すれば間違いない”       と思わせる飲食店舗にすること』

ニホンウナギは昨年、IUCNにより、絶滅危惧種としてレッドリストに登録された。それによる影響力はことのほか、大きかった。

「お客様の反応は、“資源が無くなるイコール値段が上がる。値段が上がるから食べられなくなる”ことを気にされていたお客様が多いように感じました。もっと言えば、日本人がうなぎを食べられなくなっても生活が不便になるわけではないので、鰻の蒲焼、白焼きは確かに特別なものではあるのですが、IUCNの一件で日本には他に選択出来る美味しいものもたくさんあるのだと改めて痛感いたしました」

近年、天然ウナギの漁獲規制、シラス池入れ量の削減など、急ピッチで進むウナギ資源保護。また、河川など、ウナギの生息環境の改善を望む声も強まっている。

「天然ウナギを前面に押し出して、ご商売されている店舗様は、非常に厳しい状況にあると思われますが、その捕獲、また消費者への提供の規制を考えるのも、ひとつの“ウナギ資源保護”への一つの案ではないかと考えます」 

一方、専門店が頭を悩ますのは何も資源問題だけではない。昨今、ようやく取りざたされるようになったうなぎ職人問題、“少子高齢化”のなか、発掘、育成が遅々として進まないのが現状だ。

「ウナギ職人不足であるなら、育てなくてはいけません。となりますと、これから育てていかなくてはならない世代は『ゆとり世代』。彼らは、ゆっくりと自分の時間を最優先に考える世代と一般的に言われています。飲食業界も拘束時間を短くし、9時間労働を目指し、二部制にするなどの努力や改革をしなくてはならないと思っております。

そのためにもっとも必要なことは売り上げです。夕方のニュース番組などで一品を原価度外視の安値にする店舗などが世の中に目立ちすぎますと、消費者が“本当は安く出来るのではないか”と勘違い致します。そうなりますと、私たち、売り手が望む、価格設定も出来なくなってしまいます。弱気な価格設定により、経営を圧迫する事になってしまいます。

二番目に必要な事は店舗のブランド力だと思います。このブランド力は、ミシュランガイドとまでは言いませんが、食べログ高得点など、ここで勉強すれば間違いないと思わせる飲食店舗にすることが、若手や職人確保に不可欠かと考えております。そのためにも流行りの食べ物や味わい、食感など時代に合わせた調理も必要かと考えています。もし鰻業界、飲食業界に関係がない家庭で、自分の子供が鰻屋で勉強したいと言ったら反対すると思います。その理由は、資源の先行きが危ぶまれているから、あるいはクジラみたいになるかもしれないからです」 

最後に、フェイスブック、ラインなどSNSにおける蒲焼店さん同士の交流についてはどう、思っているのだろうか。

「個性的な方々が多く楽しい業界なんだと想像できます!SNSで皆さんと仲良くさせて頂くのに慣れてきたら、こんな質問もできたらと、、、。先日、銀座松屋のメガネ屋さん『アランミクリ』で10年前くらいのビンテージ作品なんですが、凄く斬新なメガネがありました。店員さんに「10年前でこんな斬新な作品?誰か?購入されましたか?、と冗談で伺ったら、“関西の鰻屋さんが買われました!”と。おっ流石、うなぎ業界の先輩と思いました!私は、そんな業界の先輩にお会いしてみたいので、そんなお伺いも、気軽に出来るような環境のSNSになればと願っております」

[データ]
「うなぎ割烹 高橋屋」
〒345-0036 埼玉県北葛飾郡杉戸町杉戸3-10-6
電話:0480-32-0021

高橋屋高橋明宏社長.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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