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「蒲焼店が考える“これから”」40 〜2015年4月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


遠藤慎一代表取締役
(大観楼/仙台市青葉区)

『“大切な日に使える場所”としての存在感強めたい』

ニホンウナギが昨年6月にIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに絶滅危惧種として登録された。

「お客様の反応ですが、ニュースをきっかけに鰻を思い出して食べにきて下さった方が5日間くらい続きました。ただ、あとはいつもの日常にすぐ戻りました。夏場に向けての影響は、やはり活鰻価格上昇の要因を与えることになったと残念に思います」

お話しされたように、国内外の相場が上昇し始め、先行き不安が高まり始めた。

「もちろん価格が安いに越したことはありませんが、供給側がその主導権を握っているので弱小蒲焼店はどうすることも出来ません。せめて乱高下せず一定範囲の価格に落ち着くことを願うばかりです」

相場動向の一方、懸念される職人不足問題。また、ウナギのPRについてはどう考えているか。

「弊店は鰻と会席料理を扱っており、毎年のように新卒を受け入れて来ましたが、鰻職人希望者は6年前に1人、入ったきりです。しかしながら鰻の資源・価格問題に不安を覚え、鰻職人をあきらめてしまいました。新入生には必ず鰻部にも1年配属しマンパワー不足を補っています。一方、うなぎマーケットは確かに縮小している感があります。別に一生食べなくても困らない、という声もあります。料理に力を入れるのも当然ですが、店のサービスや設備にも投資をし、『大切な日につかえる場所』としての存在感を強めていきたいと思っております」

近年のシラスウナギ不漁、そして今シーズンも史上3番目の不漁に終わりそうだ。また、上昇し始めた相場動向など多くの問題も現出、鰻業界を取り巻く状況は大きく一変した。そのなかで、伝統食文化を担ってきた蒲焼店は今後をどう進んでいくべきか。

「経営方針における鰻屋の今後は前述したとおりです。さらに言いますと、ホテルや日本料理専門店には真似のできない名物料理=鰻という魅力もお客様はわかっておられますので、『つかえる場所』と『名物料理』、この2点を全うしていくことに尽きます。また、蒲焼店同士の交流を通じてたくさんのことを勉強させていただきました。都会はもちろん地方の店であっても支持されている店には必ず理由があります。その理由を簡単に教えていただける機会ですから、まさに宝の山だと思います」

ウナギ業界においてほかに気になる部分はどのようなところか。

「宮城県北部のある米農家は1kg5,000円で米を販売しています。それに比べたら、今の活鰻価格はとても安いでしょう。東北のみちのくの百姓が徹底的にこだわり、ストーリーを作って5,000円でも消費者が納得して買う米を作っています。私は何が納得できないかと言いますと、鰻の、黒くて長ければみんな同じ価格という状態が残念でなりません。せめて活鰻の等級つけを行っていただきたいものです」

[データ]
「大観楼」
〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町3-9-5
TEL:022-221-7575

遠藤慎一社長.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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