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「蒲焼店が考える“これから”」46 〜2015年6月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


小林昌司代表取締役
(浅草うな鐡/東京都台東区)

『職人高齢化が叫ばれるも、              従業員の平均年齢は何と31才』

土用丑の日を1ヶ月後に控え、値上がり始めた活鰻相場。

「ひと頃のような相場水準は個人的にないと思っています。上げ過ぎれば結局、我々、鰻業界へ返ってきますし、希望的観測も含めて常識の範囲内での値上げにとどまるのではないでしょうか。私どもではこの2〜3年で2回ほど“値上げ”し、当時は客足も遠のきました。レジ打ちしていると、思った以上の会計でその都度、お客様には申し訳ない気持ちで頭を下げていました」

ウナギ資源問題、そして頭の痛い職人不足問題。“少子高齢化”が顕著な中、同店で働く職人さんは、10代が1人、20代が3人、30代が6人、40代が1人、50代が1人、総従業員30名(うち職人は14人)で平均年齢は実に31歳と若い。

「当然のように職人を一気に増やすことなんて出来ません。ですから、常にハローワーク、あるいは自社ホームページで求人を出しています。これまで採用したすべての職人はやめていません。待遇改善は無論ですが、一職人として“認めて”あげることも大切だと思います。

また、私は面接のときに常に話すのが、“鰻屋は本当に大変だが、努力次第で自身の成長が実感出来る”ということ。そしてうなぎという職種は“厳しいけど魅力ある”ものだとアピールしています。いかに職人さんをとどめるか、店側の努力も必要だと思います。また新東調理士会主催の高等学校でのうなぎ調理実習という働きかけも良いと思います。われわれのお店から数名、実習に派遣したわけですが、“教える”ことはうちの職人自身の力も試されるわけで勉強にもなり、ありがたく思っています」

資源、相場問題など専門店を取り巻く状況は一変しているが、お客さんへ向けたPR策は?

「やはり、ネットを上手に活用しなくてはいけないと思う。私どもが店を構える浅草は国内外からの観光客が多く、手にはタブレット、スマホなども手にしています。今、すでに考えているのが社員が持ち回りでフェイスブックで常にPR、発信していく事です。あとは良い接客、良い商品を提供すること、そして理想はお客様一人一人に目を向け、細かやサービスを実行すること。さらに“今日より明日、明日より明後日”と地道に努力していく事です」

最後に、将来に向けて何か、懸念材料はあるのだろうか。

「昨今、資源問題が叫ばれる中、進むうなぎ完全養殖商業化への研究。仮に成功したら、大手企業も参入してくるでしょうし、我々のような個店がこれまでのやり方で良いのかが不安でならない。おそらく、かつてない流通革命が起きるだろうし、そのなかで様々なシミュレーションを今から、考えなくてはならないでしょう。資源問題は解決するにしても、商売面ではそうした流通革命を考えると手放しでは喜べないですね」

[データ]
「浅草うな鐡」
〒111-0032 東京都台東区花川戸1-2-11
TEL:03-5830-3302

代表取締役 小林昌司.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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