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「蒲焼店が考える“これから”」50 〜2015年9月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


三宅 輝店主
(うなぎ日本料理 優月/岐阜県多治見市)

「薄利多売にならず、丁寧な仕事を続けていく」

猛暑となった土用丑商戦を終え、早1ヶ月余り。今年は良くも悪くも話題性のあるニュースが目立たなかったが、昨年と比べて商戦はどうだったか、またオフシーズンの売れ行きについてどのように、見通しているだろうか。

「最初の丑の日は、金曜日ということやメディアの取り上げもあり、金・土・日曜日の3日間、御蔭さまで100キロ程売れました。普段は1日10キロ程ですので、平賀源内に感謝しておりました。二の丑の日は平常より少し多い程度でしたので、メディアの取り上げも減り、二の丑の日の認知度も少なく、メディアの取り上げで変わるのは確かな感じです。オフシーズンは、多治見の場合、県外のお客さんの取り込みにかかってくるので、いかに宣伝をするかだと思います」

近年、シラスウナギ不漁を背景に原料相場が高騰、メニュー価格の値上げを余儀なくされ、客離れも不可避だった。離れたお客を一人でも多く取り戻すため、あるいは販促のために何らかの対策、また貴店における商売、料理などに対するこだわりは?

「離れたお客様を取り戻すのは難しいです。うなぎは価格も高く、月1回来ていただければ常連様という感覚を店側が持つ事が賢明だと思います。販促のためにDM等を頒布しており、たまにメールなどでも声かけをしています。料理についてのこだわりは、とにかくごまかさないことが大切で、うなぎの場合一匹をけずったり、組み合わせたりせず、丁寧に一尾一尾、神経を集中して焼いています」

来年9月に行われるワシントン条約締約国会議。ニホンウナギがワシントン条約に掲載されると貿易規制で“ウナギの流通量”は今の“18%”に抑えられる試算もある。これらについての意見、また早めの対策などを検討しているか?

「対策など大それた考えはありませんが、18%に抑えられないように政府に働きかけると共に、早めの生態分析を願います」

資源は無論、ウナギ職人不足も昨今、懸念されている。その育成、確保についてはどう考えているか?

「人材不足はうなぎ業界に限った事ではないので、仕方ない事と思います。まずは自分の子供や友人の子供、そういった所からのスタートだと思います。日本料理は重要文化財な訳ですので、国の助成金制度を見直してもらうなど、店側の人件費負担軽減やこれから職人を目指す子供達の福利厚生の充実、サービス業全体の環境改善だと思います」

その他、業界を取り巻く環境が大きく様変わりしているなか、“うなぎ店”として今後、どうあるべきか、何をしていくべきか?

「今後うなぎ店として思う事は、薄利多売にならず、丁寧な仕事を続けていく事に限ると思います。大手チェーン店がうなぎを販売しておりますので、価格競争には負けます。うなぎ屋に行く意味はやはり丁寧な仕事にあると思いますし、それが出来る職人で有りたいと強く思います」

[データ]
「うなぎ日本料理 優月」
〒507-0037 岐阜県多治見市音羽町4-32-1 
TEL:0572-44-8324

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*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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