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「蒲焼店が考える“これから”」55 〜2015年11月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


鈴木裕介オーナー
(うなぎ創作 鰻樹/埼玉県吉川市)

『お客様が召し上がって美味しい鰻が良い鰻なのでは?』

今年も残すところ1ヶ月半となった。新鰻年度(9月から)以降は業界にとってオフシーズンということもあり、例年のように売れ行きは低迷している。とくに近年は、シラスウナギの不漁による相場高騰、それによるメニュー価格の値上げが響いた事で客離れが起き、ウナギマーケットもこれまで以上に縮小している。“ウナギ“から離れてしまったお客を一人でも多く取り戻すために、貴店ではどのようなことを考えているか。

「当店では、『うなぎ創作』の看板を掲げております。鰻をひとつの食材として考え、鰻の持ち味を存分に発揮出来る調理を施し、他店では食べる事の出来ない料理を目指しております」

また、蒲焼専門店にとってどのようなウナギが“良い”ウナギと呼べるのだろうか?一方でお客が好むウナギとは何だろうか、またそれらのウナギはイコールとなるのか、それとも異なるのだろうか。また、ニホンウナギでも国産、台湾産、中国産とあるなかで、貴店はそうした産地に関するこだわりはあるのだろうか。

「国産、中国産、台湾産などのこだわりはありません。私たち、鰻屋はお客様あっての存在ですから、良い鰻というのはプロが食べて美味しい鰻ではなく、お客様が召し上がって美味しい鰻が良い鰻なのではないのでしょうか?」

ところで、昨今はシラス不漁続きからウナギ資源問題がクローズアップされ、親ウナギの漁獲規制、シラスウナギ漁の日数縮減のほか、今年からは養鰻業が“許可制“へと移行、管理体制はますます厳しくなっている。そうした資源面だけが大きく取り上げられているなかで、実はウナギ文化継承のために大切なウナギ職人界も近年、”不足問題“が根深い問題の一つとして取り上げられている。最近の調理士会の話ではピーク時に比べ、ウナギ職人の在籍数は約半分までに減少したという話も聞かれる。この問題についてはどのように考えているか。

「私のような若い世代の人間がさらに若い世代に“鰻職人は面白い!“と思わせる必要があるのではないでしょうか?そのためには今までの常識を覆すことをしなければいけません!」

ウナギ資源管理をはじめ、ウナギ職人不足、ウナギマーケットの縮小など多くの問題が業界には山積している。一頃に比べると、ウナギ業界を取り巻く環境は間違いなく、大きく様変わりしてしまっている。2000年、国内のうなぎ流通量は約16万トン(活鰻換算)だったのが2014年には約3万トン台に減少、マーケットも実に1/5までに狭まっているのが現状だ。かなりの変化と言わざるを得ない。

「取り巻く環境が大きく変わったのであれば、鰻屋さんの方も大きく変わるべきなのではないでしょうか?今までは、江戸時代から続く日本の伝統を守るだけでしたが、これからはその伝統を守るだけではなく、変化、そして進化させていかなくてはならない時が来ているのではないかと思います」

[データ]
「うなぎ創作 鰻樹 —manju—」
〒342-0045 埼玉県吉川市木売2-9-7 2階
電話:048-940-5458

鈴木裕介オーナー ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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