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「蒲焼店が考える“これから”」56 〜2015年11月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


木下 塁代表取締役
(駿河屋/千葉県成田市)

『うなぎ屋の生きる道全てを持って日本文化を体現』

今年も残り1ヶ月余り。オフシーズンとなる新鰻年度(9月から)に入り、これまでの売れ行き、また今後をどのように見通しているか。

「成田山参道の一年を通して一番の閑散期が10月ですので、相応の落ち込みは覚悟しておりました。しかし天候に大きな崩れなど無く、そこそこの商売をさせていただきました。紅葉シーズンと年末の参詣(11月と12月)に期待したいです」

近年、シラス不漁を背景に相場は高騰、メニュー価格の値上げから客離れも不可避だった。そうしたお客を取り戻すためにどのようなことが必要か。

「仕入れ価格の変動にも対応せざるを得ないことから、メニュー価格の値上げによる、ある程度の客離れは仕方のないことと考えております。鰻、各材料、什器、食器等の吟味、サービスの向上による他店の差別化が今は重要と考えております」

また、蒲焼専門店にとってどのようなウナギが“良い”ウナギと呼べるのだろうか。

「適度な脂の乗り、繊維の細かさ、芳香を持った鰻が“良い鰻”と考えております。一概に産地では括れませんが、カビ臭や薬品臭のする鰻はとくに嫌厭いたしております」

ところで、来年9月に開催されるワシントン条約締約国会議の行方が気になるところだが、どのような見解を持っているのか。

「いたって不透明な先行き故に、最悪商売替えも視野に入れなくてはと思っております。しかし、現状は静観するときと考えております。万が一の場合の代替品も検討しておりますが、順調な移行が出来るかどうかは大きな不安を持っております」

ところで、昨今はシラスウナギ不漁を背景とする、ウナギ資源問題ばかりがクローズアップされている。しかし、ウナギ文化継承に欠かせないウナギ職人の”不足“もかなり根深い問題だ。この問題についてはどのように考えているか。

「そもそも洋食人気のなか、ただでさえ見通しの悪いこの業界に入っていただくことは、若者にとって魅力がないのは当然のことだと思います。したがって、労働条件、環境の改善、向上を積極的に行っていくことが必須と考えます」

ウナギ資源問題をはじめ、ウナギ職人不足、そしてウナギマーケット自体の縮小など、業界が抱える問題は以前にも増して多い。ウナギ業界を取り巻く環境が大きく様変わりしているなか、専門店として今後、どうあるべきか、何をしていくべきだろうか。

「伝統食、文化食としての色をより一層、強くしていくことが重要と考えます。店構え、店内、器、従業員の制服、おもてなし等、全てをもって日本の文化を体現していくことが、これからのうなぎ屋の生きる道と考えております」

[データ]
「駿河屋」
〒286-0027 千葉県成田市仲町359
電話:0476-22-1133

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*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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