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「蒲焼店が考える“これから”」57 〜2015年12月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


阿部 晋一代表取締役
(花菱/東京都渋谷区)

『うなぎ講習会を開催 お店に研修に来ていただく生徒も』

今年も残すところ1ヶ月を切った。うなぎ業界にとって、オフシーズン真只中だが、これまでの売れ行きとともに現状、そして今後をどのように見通しているか。

「おかげさまで10月は例年になく、良い売り上げとなりましたが、11月に入り、前年同様に落ち着いています。鰻料理の新メニューなど2〜3点は考えておりますが、なかなか厳しいと思っております」

近年、シラスウナギの不漁から、仕入れ価格も全体的に上昇している。これによって大半の蒲焼専門店ではメニュー価格の値上げを余儀なくされ、客離れも避けられなかった。そうしたお客を一人でも多く取り戻すためにどのようなことが必要だろうか。

「共水さんと取引をさせていただき、ブランド鰻のメニューを提供しています。また販売促進の面では、インターネットの利用(ホームページ)とクーポン券及び食事券などを出しております。来店のお客様に、時間はかかりますが、丁寧な仕事をすることでより良いお料理を出していきたいと思っております」

一方、蒲焼専門店にとってどのようなウナギが好まれ、“良い”ウナギとされるのだろうか。

「一年を通して出来る限り同じ品質の鰻を出荷していただきたいと思っております。実際には大変難しいことであるとは思いますが、国産にこだわっています。お客様が依然として、産地にこだわっておられますので。いろいろと試食した時は中国産でも十分、美味しいと思っておりますが、養殖の過程で薬の使用や水の良し悪しは不安になります」

ところで、来年9月に開催されるワシントン条約締約国会議の行方が気になるところだが、どのような意見を持っているのか。

「この問題に関しては、小売店ではどうすることも出来ないのではないかと思います」

また、昨今はシラスウナギ不漁を背景に“シラスウナギ池入れ20%削減”、あるいは“養鰻業は許可制に移行”などウナギ資源保護管理が急ピッチで進むなど、資源の話ばかりが大きくクローズアップされている。しかし、その一方で資源と同様にウナギ文化継承に欠かせない、ウナギ職人の”不足問題“も避けては通れない大きな問題の一つとなっている。この問題についてはどのように考えているか。

「4代目の長男が戻り(修行を5年ほど)、現在は当店の職人さんに教えていただいております。本人が食物科を高校で卒業し、年に一度のペースですが本人と職人さんたちの協力もいただきながら、うなぎ講習会などを学校で開催し、生徒さんに実際にお店に研修に来ていただいて、うなぎ料理も理解していただけるようにしております」

資源問題、そして職人不足、加えて近年のウナギマーケット自体の縮小など、問題は山積している。ウナギ業界を取り巻く環境が大きく様変わりしているなか、蒲焼専門店として今後、どうあるべきか、何をしていくべきだろうか。

「気になっているウナギ完全養殖の商業化まではまだまだ時間がかかると思いますので、お客様ともども大事な鰻をありがたく召し上がっていただけるよう願っています」

[データ]
花菱
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-16-7
電話:03-3461-2622

阿部晋一社長ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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