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「蒲焼店が考える“これから”」59 〜2015年12月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


小堀和広店長
(うなぎや源与門/福井県若狭町)

「鰻文化継承のため鰻の専門学校が開校できたら」

今年も残すところ、あと数日となった。ウナギ業界にとって完全なるオフシーズンのなか、これまでメニュー価格の値上げを余儀なくされた専門店として、これまでの売れ行き、また今後をどのように見通しているか。

「これまでの値上げに伴い、持ち帰り商品の売れ行きは落ちております。ただ、その一方で冬のオフシーズンの傾向としては、北陸新幹線開通もあり、北陸へカニを召し上がりに来られるお客様が昼食によく、利用していただいていると思います」

近年、続いているシラスウナギ不漁により、相場はかつてないほどの水準に高騰している。前述のように、多くの専門店ではメニュー価格の値上げを余儀なくされた。このため、ウナギマーケットの縮小にも表れているように、ウナギ離れも近年、叫ばれている。そうしたなか、お客を一人でも多く取り戻すために専門店としては何か、働きかけていることはあるのだろうか。

「出来る限りお客様に、値上げに対しての説明をしております。品質を落とさず、かつ“割き立て“”焼きたて“をモットーとし、また当店では鴨料理も人気ですので鰻以外にも力を入れていこうと考えております」

ちなみに扱っているウナギに関しては、産地などこだわりはあるのだろうか。

「炭火焼をすることで柔らかく、脂に甘みが出てくる鰻。国産以外、とくに中国産を嫌うお客様が多く、これからも必ず、国産鰻を使用していきたいと考えています」

ところで近年は、シラスウナギ不漁を受けて、ウナギ資源保護管理が日本を軸に急ピッチで進んでいる。来年9月、ワシントン条約締約国会議が開催されるなか、その動向が気になるが貴店はどのような考えを持っているか。

「特に対策の無いことが、頭の痛いところです。問屋さん等と情報を交わしつつ、今後の対策を考えないといけないと思います。ただ仮にウナギの流通量が”18%“になった場合、専門店だけではやっていけなくなると思います」

前出のように、ウナギ資源保護管理の問題も大切だが、専門店としてはウナギ資源と同様に、ウナギ文化継承に欠かせない、ウナギ職人の”不足問題“も大きな問題の一つだが、これに関してはどのような見解を持っているか。

「日本の和食文化の中でも鰻は大事な文化ですので、今後も残していくためにも、鰻の専門学校等が全国の鰻専門店の協力のもと、開校出来たらと思います」

資源問題、職人不足、そし手ウナギ離れによるマーケットの縮小など、問題は山積している。特に近年は、ウナギ業界を取り巻く環境が大きく様変わりしているなか、蒲焼専門店として今後、どうあるべきか、あるいは何をしていくべきだろうか。

「本物の鰻の蒲焼をお客様に味わっていただくことが一番大事だと思います。”量より質“を大事にして今後も頑張っていきたいと考えております」

[データ]
「うなぎや源与門」
〒919-1303 福井県三方上中郡若狭町三方52-6
電話:0770-45-0035

小堀和広店長/源与門 ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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