SSブログ

「蒲焼点が考える“これから”」60 〜2016年1月10日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


大嶋 茂樹店主
(うなぎ大嶋/浜松市南区)

『鰻は日本人のソウルフード、廃れることはない』

輝かしい新年の幕開けとなった。業界は引き続き、シラスウナギ漁の動向に注目しているが、状況は厳しいままだ。ところで専門店としてこれまでの売れ行き、今後をどのように見通しているか。

「現在の売れ行きは、昨年の夏に比べれば当然、落ちていますが、昨年並みになっています。うなぎは日本古来の食べ物であり日本人のソウルフード、ですから廃れる事は無いと思います。今後、ウナギの価格は上がっていくと思いますが、ハレの日のごちそう、あるいは頑張ったときの自分へのご褒美となっていくのではないでしょうか」

冒頭のように、シラス漁は近年、不漁続きで、活鰻相場も高値に張り付いたままだ。多くの専門店ではメニュー価格の値上げを余儀なくされ、ウナギマーケットも縮小の一途。そうしたなか、お客を一人でも多く取り戻すために専門店として何か、働きかけているか。

「大切なのは、適正価格でお客様に提供する事です。そのためには丁寧にかつ、クオリティーを上げて、お客様に満足していただくことだと常に思いながら、仕事をしております」

ちなみに扱っているウナギは、産地などこだわりがあるのだろうか。

「うなぎに対する、養殖業者さんの温かい思いが込められているうなぎを仕入れたいです。そして、その思いを我々、専門店がお客様に届けていきたいと考えています。私の場合は、いろいろ探した結果、現在の養鰻業者さんに出会いましたので、それが私どものこだわりです」

ところで近年は、続くシラスウナギ不漁から、ウナギ資源保護管理が日本中心に急ピッチで進んでいる。今年9月には、ワシントン条約締約国会議が開催されるなかでその動向が気になるところだが、貴店はどのような考えを持っているか。

「このワシントン条約の件ばかりは、成り行きにまかせなければならないですが、とにかく素材を無駄なく扱い、丁寧に丁寧に仕事をしていくしかないと思います。資源保護の観点からも安くして消費を増やすことを行ってはいけないと思います」

またウナギ文化継承に欠かせない、ウナギ職人不足も大きな問題。これに関してはどのような見解を持っているか。

「子供が小さいときから、うなぎの美味しさ、うなぎの神秘的な生態、資源の貴重さに興味を持ってもらう事が大事だと思います。そしてうな丼、うな重になるまでの工程なども知っていただくことも、ウナギ職人不足解消への一つの大事な事だと考えています」

資源問題、職人不足、そしてウナギ離れによるマーケット縮小など、問題は山積みだ。

「今年9月に行われるワシントン条約締約国会議において、”掲載“を回避出来れば良い、という話ではなく、うなぎは天然資源であるということを再認識してほしいと思います」

[データ]
「うなぎ大嶋」
〒432-8052 浜松市南区東若林町645
電話:053-447-3656

大嶋さん のコピー.JPG

















*「蒲焼点が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中

nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。