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30日のテレビ報道を見て思う [番外編・編集後記]

 30日にテレビ朝日「スーパーJチャンネル」が報道した「独占撮!台湾産を国産に…ウナギ産地偽装の闇」は関東でのオンエアだったものの、業界関係者が強い関心を示したことから一気に全国に広まった。
 本紙としては放送された業者を糾弾する必要がなく、するつもりも無い。これは特定業者の問題ではなく、業界全体の問題で、たまたま一部の業者が暴かれただけといえる。そもそも02年に新JAS法が制定され、ウナギは原料原産地表示を義務付けられるようになったが、この制度の業界に与えた影響は計り知れなかった。国産ウナギの需要が5万㌧と言われる中で、国内養鰻生産量は僅か2万㌧。消費者の要望に応える為に業界関係者は長らく台湾や中国の輸入ウナギを使うことで賄ってきた。これは台湾や中国のウナギが美味しさという面で国産と遜色無かったことと供給面で年間安定していたことが大きい。国内加工メーカー・蒲焼専門店が品質を落とさず、安定した鰻蒲焼を提供できたことで国産ウナギマーケットは中国産ウナギ加工品とともに着実に成長を遂げてきたといえる。
 ただ、今回の法改正にあたり、業界は国産原料と輸入原料をしっかりと区別して販売できるような環境作りをすべきだったのではないか。「国産でなければならない」という量販店や消費者の要望に、活鰻問屋・鰻加工場は「このうなぎは輸入ものです」「国産はありません」と毅然として対応できず、結果的に「消費者を騙す」行為を率先して行う結果となってしまった。
 現実的にこうした事実が公表される中で、これまでのように「紙切れ一枚」の産地証明書が役に立たなくなることは想像に難くない。今後、一部組合・加工メーカーが取り組んでいるような問屋任せではないトレーサビリティーシステムを作り上げていかなければならない。加工メーカー・活鰻問屋にとって「国産じゃないなら要らない」といわれることは必至だが、取引先にもそろそろ「いつまでも国産があるわけではない」ことと「どれだけ輸入活鰻に頼ってきたか」をわかってもらう時期に来ているのではないだろうか。


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