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国内大不漁も10t強確保〜国内シラス池入れ〜 [本紙記事/速報]

輸入シラスうなぎで補填続く

 いうまでもなく、国内のシラスうなぎ漁は”不漁”が続いており、主要採捕地の採捕人の面々曰く「周期的なものに加えて、海流異変(ハシリ段階の海水温の高さなど…)が重なり、近年ない不漁に陥っているといえる」としたうえで、「全国的に採れていない。肝心要の千葉、茨城県を流れる利根川、それに四国高知の不漁は目を覆うものとなっている」と、全国的な不漁を強調する。こうした採捕に従事する業者の話を総合すると、周期的(3〜4年に一度の割りで採れてきている)な面が大きいうえに、今冬のハシリ段階からの各主要採捕地の海水温の高さをあげている。とくに、例年、多獲される千葉、茨城の利根川、静岡県の浜名湖、天竜川それに日本一のシラスうなぎ採捕を続けてきている高知県の仁淀川他などは、公となっている採捕量が、いずれも数百kgというひとケタ違いの不漁の有様だ。
 しかし、本紙が聞き取りしたデータでは、これほどの不漁にかかわらず、日本国内のシラスうなぎ池入れ総量は10トン台に乗せている。これには異論がある。なかでも九州の宮崎、鹿児島の両県の池入れいずれもが輸入ものとしても急に増加した背景について、養鰻漁協の話では「組合への申請が、あとになって重なった」ことを要因としており、「早い時期にそこそこ入っていたということでしょう」としている。
 これにかみつくのが、流通段階の業者。「毎年そうだが、とくに鹿児島県のシラスうなぎの池入れ量に対して、単年も周年組も生産、出荷に全くメリハリがない。なかでも養殖新聞の記事(07年11月5日付)で、…日本鰻協会の席上で、全鰻連側から9月末時点の九州池在庫を1万4,200トンから1万4,700トンとし、10月〜12月で5,000トンの出荷予想を立て、翌年の繰り越しが9,000トン〜9,700トンと公表した…。 
 が、載っていた。仮に早くからシラスを池入れしていたとしたら、繰り越し在庫からみて、一部を除いて到底入れられるものでない筈」と、クギを刺す発言が飛び出している。こうした論争は単に各主産地間だけのせめぎ合いだけの問題でないことは、いうまでもあるまい。昨年、とくに厳しくなった産地偽装問題で、より”国産”への需要に片寄ってきている。事情通の間では「シラスを多くいうことで、国産の位置づけを明確にしておきたい、という思惑のあらわれだ」との見方もあるが…。
 余談はさておき、日本の池入れ総量の10トン強の背景には、再三再四記載してきたように、香港からの輸入ものに負うところが大半だ。日本国内で採捕されたシラスうなぎは池入れ量から輸入ものとの兼ね合いで逆算すると2.5〜3.0トンに過ぎない。それに、前述のように池入れ量を仮にオーバーに申告していたとすると、そのまま国内の採捕量分が減る形となることは言うまでもない。それだけ、輸入ものに依存してきたことで、国産の一般の池入れ価格は、正貫1kg当たり87〜89万円という状況だ。従って輸入もの価格も、これより3〜4万円下。品質を問われたものは。それよりさらに3〜4万円下の状況のようだ。
 いずれにしても、今冬のシラスうなぎ商戦は、台湾シラスうなぎの輸入の途が閉ざされたことの弊害が甚大であり、かつ、それに不漁が重なったことで、例年より20万円以上高値(シラスうなぎ扱い筋談)のシラスうなぎをつかまされる養鰻業者は踏んだり蹴ったりではないか。日本も“ひとケタ”の採捕量で終わるんではないかと言われているだけに、2月の闇の大潮でなんとか“大採れ”してほしいものだ。そうすれば、前述のような不平不満等は一掃されるんだが…。

▼欧州シラス〈対中国向け6〜7トンにとどまる!!〉
 フランスのシッパー・ドダ氏は、本紙の問いに「当初は、不漁も相まってkg当たり720〜730ユーロという高値を付けていたが、さすがに高値と需要の後退で一気に500ユーロに下げた。が、最近は中国の需要が再び盛り上がり600ユーロ(1ユーロ=日本約158.62円、3000匹換算9万5,172円、1匹当たり31.7円)に戻している」と語っている。中国もジャポニカの不漁、高値のなかで、いかに欧州種を考えていくかが、今後の課題だろう。 
▼台湾〈日々10数トン採捕と終漁近い!!〉
 現地の商社筋によると「主要産地の北部宜蘭縣のシラスうなぎ漁が終わった。あとは、中北部の漁が続いているが、精々日々10数トン程度と終漁に近い付いている感じだ。このため、台湾は高値からくる池入れ意欲がいまだなく、1業者で100kg増やして200kg程度。1匹の流通価格も人気なく41.0元(1元=日本約3.33円、5000匹換算68万3,000円)に値下がっている。これまでの採捕総量は3.5トン位だろう。これからは、海外からのクロコなどの原料輸入で来年以降の生産体制をつくっていく訳で、海外のシラスうなぎが、多く採れることを期待したい」という。ただ、「先物取引が盛んになり始めている。先物をやっている連中によると、月末から3月末まで2トン位。1月末が1匹40元、3月10日で34元」と言われる。海外ものだと、これ以上につくため、国内の先物が始まったと言われる。 
▼中国〈まだ福建、広東の採捕主力!!〉
 現地の関係者の話だと「まだ、広東、福建省の採捕量が全体の60%近くを占めている。が、上海そして江蘇、浙江省も採れが本格化してきており、近いうちに逆転するだろう。現在は、相変わらず各地合わせて150〜200kgの採捕で、一時1匹8.4元まで下げた価格も昨日から9.05〜9.10元(1元=日本約14.77円、5000匹換算72万円)に戻している。日本と台湾同様に不漁ムードが強いが、あとは主軸の上海周辺の漁模様が鍵となるだろう」とみている。

 


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