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「蒲焼店が考える“これから”」3 〜2014年2月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


渡邊 昌宏取締役
(喜代川/東京都中央区)

『親うなぎを取り続けていたら              子であるシラスウナギも減ってしまう』

消費税増税が迫っている。シラスウナギ漁の動向次第では“予定していた値上げは取りやめる”といった鰻屋の声も聞かれるが、お店によって見方は様々だ。

「一昨年の1月、4月と二度にわたり、値上げをさせて頂いてますが仕入れ値の高騰を受けて利益確保が難しくなってきています。消費税増税3%分に加え、仕入れ値高騰ということ背景から値上げを予定しています」

今シーズンのシラスウナギ漁は幸いにも好調を維持しているが、それまでの4年間の不漁は、絶対量不足、相場高騰など業界を苦境に陥れた。今なお、供給不安、相場も高値安定で推移しており、厳しい現状に変わりはない。とくにウナギ資源問題については何ら改善されていない。

「業界全体において、親ウナギの放流、シラス漁の日数を縮める等、あります。対して、一蒲焼店が出来る資源保護と言えば“天然ウナギを買わない、扱わない”ということでしょうか。親ウナギを採り続けていたら、子であるシラスウナギも減ってしまいます」

地道な資源保護への取組みの一方で、大幅に冷え込んだウナギの消費。東京淡水魚卸協同組合の東京地区活鰻流通量データを例にとってみても2013年度は、近年の平均データの70%の水準となっている。

「4年連続のシラス不漁で今年は久しぶりに例年並みに採捕されているようですがたまたま捕れているだけでまた来年以降不漁ということもあります。天然資源に頼らざるを得ない以上、資源保護も考えたうえで、PRしていく必要があるでしょう。夏の繁忙期に安価なうなぎ蒲焼をたくさん食べるなら、秋冬にも高くても美味しいうなぎ専門店でうなぎを食べて頂くことでしょうか」

資源保護を絡めたPRという難しさも含め、近年、蒲焼店業界を取り巻く環境は一変している。

「これだけシラス不漁が続き資源保護が叫ばれているなか、薄利多売という大量生産ではなく、高くてもお客様が食べに来て頂ける店作りをしていかなければならないと思います。うなぎ専門店として丁寧な仕事をし美味しいうなぎをお客様に提供できるよう努力すると共に、ただの飲食店のみならず老舗としてのうなぎ文化の継承も提供していきたいと考えております」

[データ]
「喜代川」
〒103−0016 東京都中央区日本橋小網町10-5
電話:03−3666−3197

渡邊昌宏/喜代川.jpg

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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