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「蒲焼店が考える“これから”」22 〜2014年9月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


伊藤秀俊常務取締役
(町田双葉/東京都町田市)

『ウナギ資源保護管理には               各業態がお互いに自制すること』

今シーズンは例年以上にウナギの露出度は高いが、売れ行きはどうなのか。

「シラスウナギ漁、絶滅危惧種の報道など、ポジティブ、ネガティブ関係なく、メディアに取り上げられる事は結果的にウナギのPRにつながっています。去年に比べても “あれ!?”と驚くほど客足は伸び、また8月も月末まで好調さを持続しました。自分自身、以前は放送局の下請け会社で働いていまして、メディアの影響力を改めて見せつけられましたね。この9月も例年より、忙しくさせていただいていますし、先日の“20%削減”の報道に関しても、そろそろお客さんの反応が出てくると思われ、10月も例年と異なった動きが予想されますね」

一方、昨今取り沙汰されるウナギ職人の問題についてはどうだろうか。

「現在、私どもでは社員としてウナギ職人5人を抱えています。2人は50、60代ですが、残り2人は20代、もう一人は40代。女将は7〜8年前から、すでに先行きの職人問題を考えていましたね。だからこそ、当時まだ10代だった2人を職人として迎え入れ、現在に至っています」

近年はシラス不漁による相場高騰から、どこも厳しい経営を強いられていると思うが?

「厳しいときだからこそ、小さな事から節約を図るようにしてきました。百貨店では営業時間の調整による人件費を抑える事は出来ません。しかし、仕入れに関しては常に工夫しています。例えばこのエリアのお店には出ていない高価なお酒の種類を用意し、売り上げアップにつなげています。ただウナギに関しては品質、金額ともより良いものを仕入れるようにしています。安いものを入れようとすれば品質が安定しませんからね」

一方、SNSにおける蒲焼店の交流については?

「普段、お会い出来ない各地の蒲焼店の方々とSNSを通じて交流する事でその人、そのお店のモチベーションも高まるし、またいい加減な仕事も出来ないなと刺激を受けますし、シナジー効果もあってよいのではないでしょうか」

近年は、“ウナギ資源保護、管理”が業界の命題になっている。これからの鰻屋はどう進んでいくべきか?

「シンプルに言えば、お客様に常に喜んでもらえるようなサービス、商品を提供し続けること。職人さんには“商品は作品”だということを徹底しています。それは焼き、そして盛りつけなどに全ての面においてこだわりを持ち続けてほしいからです。また“ウナギ資源”問題が近年、大きく取り上げられるなか、業界全体が“ウナギを召し上がってくれる人”に目を向けるべきだと思います。また資源保護に関しても、誰かに責任を転嫁するのではなくそれぞれの業態がお互いに自制することです。

例えば、シラス業者なら“採り過ぎない”、養殖業者なら“育てすぎない”、問屋なら“集めすぎない”、加工メーカーなら“仕込みしすぎない”。そして私ども蒲焼店なら、無駄を出さないよう”仕入れすぎない“ように、それぞれが自制しなければ業界は衰退していくと思います。うなぎを生業としている人は誰でも鰻文化を背負っており、次世代につなげる使命があると思います」

[データ]
「町田双葉」
〒194-8550
東京都町田市原町田6-12-20
小田急百貨店町田店9F スカイタウン
tel:042-726-8844

伊藤秀俊常務/町田双葉.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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