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「蒲焼店が考える“これから”」26 〜2014年11月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


四代目 橋本正平氏
(日本橋はし本/東京都中央区)

「鰻食文化継承には一人でも多く            鰻を召し上がっていただくこと」

今年の鰻業界、とにかく話題が多かった。

「シーズン中はやはり“うなぎは食べられなくなる?”、あるいは“また相場は高くなるのか?”などテレビでニュースが流れるたびにそうした声は多く、またここ2〜3年は、お客様から“天然ウナギはないの?”といった問い合わせがめっきり、なくなりましたね」

ちなみに現在の客足は?

「10月までは昨年よりも活気のある営業でしたが、一番下のレギュラーサイズの鰻重が3000円以上という事に常に頭を悩ませてきました。勿論、シラス漁目前にまだ見えてこない来年以降の、十分にあり得る再高騰に対しても慎重にならざるを得ませんが、今、考えている価格調整(値下げ)の理由には、一人でも多くの人に鰻を召しがっていただくことにあります。先行き、不安材料は山のようにありますが、可能な限り、活鰻相場の変動に柔軟に対応し調整する事で、お客様との距離を少しでも縮めたい。同時に専門店として鰻への姿勢をアピールし、ひいては鰻食文化の継承に繋げていきたいと考えています。引き続き情報を集め、目玉商品や限定販売商品作りと並行しながら鰻食文化を今後どのように伝えていくかを具体的に実行したい」

ところで先月30日に全日本持続的養鰻機構が設立、そしてウナギ養殖業が届出制になるなど、ウナギ資源保護・管理の動きが進んでいるが。

「個人的には、ウナギ完全養殖が商業ベースに乗ることで資源はじめ、多くの問題が改善されると思います。ですから、そうした機関に寄付するのが一番良いのかな、と思います。その寄付金捻出の一つの案は、ウナギが流通する段階で“ウナギ税”のようなものを課す事。間近のシラス漁が振るわず、相場が高騰すればこの案もかなり厳しいですが、シラスが採れれば、早急に実現出来ればと思います」

“シラスの池入れ量20%削減”に対してどう捉えているか。

「決してネガティブに捉えていません。ウナギ資源を守るための政策としては良いことだと思います。相場高騰の懸念もありますが、我慢するしかないですし柔軟な対応が出来るよう、準備しておくことも必要ですね」

一方、ウナギ職人不足問題については?

「意欲ある若い子が私どもの店にもいますが、昨今のウナギ資源問題から“手に職を持っていれば将来、困らない”的な話は正直、なかなか言えません。こうした状況下だけに、いかにうなぎの魅力を伝えるかが一段と大切になっていきますね。職人さんが少なくなれば、必然、鰻文化の継承も出来なくなります。“自分の時間が欲しい”若い子たちが多い昨今、労働時間の見直しなど、若い子が育つ環境を整えていく事も重要ですね。また若者の食に対する注目度をもっと高めるために、同時に多くの若い子たちに鰻を召し上がっていただくためのアピールすることも不可欠です」

これからの鰻屋はどう進んでいくべきか?

「基本的に、“鰻を召し上がってくれる方”がいらっしゃらないとはじまらない。前述のように鰻文化の継承も考えると、思った以上に影響力の大きいSNSを上手に活用し、土用丑の日、また各記念日ごとに様々な形でPRすべきだと思います。とくにYouTubeなどで、ウナギの生態、資源の実態、またうなぎ専門店の現状などを映像で流すのもいいかもしれませんね」

[データ]
「日本橋 はし本」
〒103-0028 東京都中央区八重洲1-5-10
TEL:03-3271-8888

四代目・橋本正平氏 のコピー.JPG
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