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「蒲焼店が考える“これから”」36 〜2015年3月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


濱 守代表取締役
(濵丑川魚店/長野県岡谷市)

「お客様に今も昔も変わらぬ、感動いただける蒲焼提供を」

ニホンウナギはすでに、IUCN(国際自然保護連合)によって、レッドリストに絶滅危惧種として登録されている。メディアがこれを大きく取り上げたことから、一部消費者のなかには “もううなぎが食べられなくなる”との懸念もあった。しかし結果的にはPRにもつながったようで、各店では多くの人出となり、シーズン中は賑わいをみせたようだ。来年にはワシントン条約締約国会議が控えており、再び、メディアによって大きく取り上げられると見られ、動向が気になるところだ。

「昨年はウナギに関する話題がマスコミ等で取り上げられることが例年に比べて多かったせいか、食事に来られるお客様の数、売り上げ共に上がりました」

メディアの取り上げ方次第では大きく左右される販売だが、結果的には良い方向へと流れた。しかし、“絶滅危惧種登録”という事実は消せず、それに伴い、ウナギ資源保護の動きが活発化している。周知のように、水産庁は昨年9月、シラスウナギ池入れ量を前年の20%削減する事を決めている。ただし、“法的拘束力”がないだけに片手落ちな面も否めない。

「資源保護に関しては、ウナギの実態をもっと把握した上で有効な対策をウナギに関わる業界全体で取り組む必要があると思います。20%削減については、あまり意味のない数字のようにも思えますが、資源保護の第一歩としての意味はあるかと思います」

資源の問題、そして頭の痛いのがこれまで再三、話題としても取り上げられている職人不足問題。

「職人の育成、確保は当店でも今直面している問題です。蒲焼を作る仕事は奥が深く面白い仕事だと思いますが、それもうなぎあっての事で、完全養殖が実用化されなければ、将来性のない職と思われても仕方がないかもしれません。経営面や販促について、岡谷では昔からうなぎがよく食べられてきたようです。しかし、毎月一回地元のお客様向けにうなぎの特売をしたり、学校給食にうなぎを使ってもらったりしている事で、うなぎを食べる習慣がより根付く一因になっていると思います」

“将来”の見通しがたたない状況では確かに難しい問題と言えるが、資源と同様、改善していかねばならない問題だろう。そうしたなかで蒲焼店としてはどうしていくべきか?また最近ではFacebook等ネットを通じて“うなぎ募金活動”の輪が広がっているように、SNSも上手に活用し、横の繋がりを広げるとともに、様々な活動にしても全国に働きかける動きも散見される。

「今も昔も変わらずお客様に感動して頂けるような蒲焼を提供し続けることが大事だと思います。SNS等の交流は色々な方の意見や知識を知ることができ、ありがたいです」

[データ]
「濵丑川魚店」
〒394-0035 長野県岡谷市天竜町3-1-8
TEL:0266-22-2531

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*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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