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「蒲焼店が考える“これから”」42 〜2015年5月10日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


依田(よだ)邦彦代表取締役
(うなぎの竜由/山梨県甲府市)

『学校等で子どもにウナギを触れさせる活動は      将来的に見て効果あり』

ニホンウナギが昨年6月にIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに絶滅危惧種として登録されてから、もうすぐ一年が経とうとしている。当時は一般メディアでもこのニュースを取り上げ、“もう、ウナギは食べられなくなる!?”といった煽るような報道も散見され、専門店にとってもその影響は予想以上に大きかった。今年のシラスウナギ漁は再び、不漁に終わり、来年にはワシントン条約締約国会議等も控え、ウナギに対するメディアの報道も過熱しそうで、気になる部分も出て来ている。

「昨年は年間通して、客数の減少がありました。理由はやはり、数年続いた活鰻価格高騰に加え、IUCNによるニホンウナギの絶滅危惧種登録など、消費者の不安を煽る状況、そして過剰なまでの報道にあったと思います。今年に入ってからは、うなぎ業界全体の努力、工夫が功を奏してか、お客様が戻って来たように思います。売り上げもわずかながら、昨対プラスに転じ、これからの夏本番シーズンに向けて期待が持てそうです」

昨今、ウナギの資源面に限らず、夏に向けて相場面の動向が懸念されはじめている。昨年は、シラス好漁だったはずだが、蓋を開ければ、“活鰻不足”を露呈、加工メーカーの引き合いも相まって、需給バランスを大きく崩してしまっている。そうしたなかで3月半ば、久方ぶりに相場が上方修正されてから、すでにこれまで計3回も行われており、今なお、相場先高感は強いままだ。

「シラスウナギの不漁については原因がはっきりし、何らかの対策が講じられるような調査研究が待ち遠しいです。それ以外のブローカーなどによる人的価格操作については、うなぎ業界全体で声を上げて無くしていきたいです」

ウナギ資源、そして相場動向が懸念される一方で、ウナギ職人不足問題も避けては通れない、大きな課題の一つとなっている。取り巻く環境は以前にも増して厳しくなるなか、ウナギのPRについてはどう考えていくべきだろうか。

「うなぎは、寿司や一般料理店の食材に比べ、子どもが接する機会が少ないのが職人(見習い)の不足に繋がっているのだと思います。長野県の岡谷や埼玉県の浦和の皆さんのように、学校等で子どもにウナギを触れさせる活動は将来的に見て効果があると思います。うなぎ店経営については小規模で効率よく、客席稼働率を上げるのが良いと思い、時間的ロスを減らす工夫をしています」

前述したように、鰻業界を取り巻く環境はかつてないほど、大きく様変わりしている。昨年から一転、今年は再び、シラス不漁に見舞われ、来年にはワシントン条約締約国会議を控える等、これからのメディアの報道も気になるところだ。そうしたなかで蒲焼専門店としてはどのようにこれからを進み、歩んでいくべきだろうか。

「前述したように、相場を操作する仕組みが存在する中、蒲焼屋一店ではどうにもならない事も、全国のうなぎ業界で連携し、声を挙げれば変えていけると思います。そのためにも今やSNSの存在は不可欠だと思います。」

〔データ〕
「うなぎの竜由(たつよし)」
〒400-0047 山梨県甲府市徳行2-1-3
電話:055-222-0141

依田邦彦社長/竜由 ブログ用②.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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