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「蒲焼店が考える“これから”」49 〜2015年8月10日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


鈴木 規純代表取締役
(うなぎ串焼き くりから/東京都新宿区)

『鰻が売れる夏にもっと打って出る』

好天にも恵まれ、総じて好商いとなった丑商戦。昨年は、 “ニホンウナギの絶滅危惧種登録”というセンセーショナルなニュースから、“ウナギはもう食べられなくなる”との不安を煽り、特需があった。今年はそれに匹敵するニュースは少なかったものの、それでも“ウナギ味のナマズ”あるいは“うなぎコーラ”また“うなぎパン”など少なからず、“ウナギ”の印象度は高まった。

「今年の土用丑の日は金曜日で、週末の土日に絡んでいたので、この3日間はおかげさまでとても盛り上がりました。とくに昨年から計画していた“夏に勝負をかける“ということで二階を増設したり、夏限定でバイトの子にも入ってもらったり、また知人がテレビに出演し”くりから”をPRしていただいたこともあり、売り上げも昨対25%増となりました。今も暑いので多くのお客様に来ていただいていますが、オフシーズンが近づくにつれ、高止まりした価格が重くのしかかり、やはり売れ行きの足を引っ張ると見ています」 

近年は、シラスウナギ不漁から相場は高騰し、メニュー価格を余儀なくされた。これによって、客離れを起こした事は想像に難くない。一人でも多くのお客を取り戻すための対策を実施しているか?

「私どもでは以前、一度だけ平均30〜50円ほど、値上げをさせていただきました。当時はメディアも“高くなる、高くなる”としきりに報道していた影響もあり、値上げしやすい環境でもあり、影響はほとんどありませんでした。また、高いウナギの身だけにこだわらず、頭のしゃれこうべ、肝のアヒージョ、肝のバーニャカウダ、お酒の種類を豊富に揃え、鰻屋とは一線を画すスタイルで酒場客をターゲットにするようにしていますし、『吉田類の酒場放浪記』の出演を待つのみです(笑)」

一方、来年9月に開催されるワシントン条約締約国会議。この件に対する意見、あるいは対策はあるのだろうか。

「一言で言えば、掲載されるか否か、天に祈るだけしかないです。問屋さんともワシントン条約の件で話をするのですが、仮に掲載されれば相場はさらに上がっていくだろうし、厳しい状況になることは否めないと。ただ、ウナギはそう簡単になくなるわけじゃありませんし、あとはそうしたなかでいかに知恵を絞るかですね」

またウナギ資源問題の一方で、ウナギ職人不足も大きな懸念材料の一つ。これに対しては?

「オープンキッチン化、お客さんの目の前でウナギを捌き、蒸し、焼く工程を見せる、そうした職人の腕がエンターテイメントとなり、お客さんとの距離を近づけます。本来ならば、裏にいる職人を前に出してタレント化することで、ウナギではなく、人が人を呼ぶ店作りにすることで、人材の育成、そして確保を考えています」 

最後に自身のお店の今後についてはどうだろうか?

「お客様は来るときは来て、来ないときは来ません。つまり、来るときの時期である、“夏”にもっと打って出る事が良いのではないかと思います。例えば、夏のロックフェスタ、サマーソニック、フジロックフェスティバル、などで、夏の王道である“ウナギ”のお店を出し、積極的に売っていきたいですね。逆に“ウナギ”がないのがおかしいと思います。いずれは生ビール、屋外、花火、音楽と、ウナギを組み合わせた夏フェスを土用丑の日に実施出来ればいいかなと思います。ちなみに今年は8月15、16日に行われるサマソニに偵察がてら行ってみたいと思います」

[データ]
「うなぎ串焼き くりから」
〒161-0032
東京都新宿区中落合1-13-5
TEL:03-6908-1607

代表取締役 鈴木規純氏 ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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