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「蒲焼店が考える“これから”」52 〜2015年9月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


日高 正盛取締役社長
(日本橋宮川/東京都中央区)

「子どもの時、専門店の美味しい鰻を          いかに召し上がっていただくか」

新鰻年度(15年9月〜)に入り、売れ行きはどのように変化しているのだろうか。

「今年はお盆休みが終わったと同時に夏が終わった感じがしますね。またこの9月に入り、雨も多かったです。残暑もほぼなく、お盆明け以降は良くないまま、今日に至るという感じです」と振り返る一方、先行きについては「この地域は、商業施設の『COREDO』があるなど、土日になると多くの人出で賑わっていますし、“うなぎをちょっと食べていこうか”といった50〜60代ぐらいの方中心に来ていただいています。もちろん、20〜40代の方もいらっしゃいます。オフシーズンではありますが、今後も週末の土曜日、とくに昼間に力を入れて頑張りたいですね」

近年はシラス不漁を背景に相場は高騰し、一般消費者間では“ウナギは高い”というイメージが刷り込まれ、客足が落ちている話が目立っている。

「今、知人にウナギに対するイメージを聞けば、ほとんどが“高い”というものばかりです。昔は、“食べたい”“美味しい”そんな声が多かったのですが・・・。去年、一昨年と“絶滅危惧種登録”と合わせて “ウナギは高くなる”ニュースが取り上げられたことで、一般消費者にそのイメージが刷り込まれてしまった感じです。現状、商売的にやりにくいですが、弊店としては引き続いてお客様に喜ばれる美味しい鰻料理を提供し続けることしかないです。調理、サービス面など当たり前のことを当たり前に地道に行うことです」

扱うウナギに関してどのようなウナギが良いのか、また産地にこだわりはあるのだろうか。

「我々専門店にとっては当然ですが、常に “泥臭くない“ものを要望したいですね。また、しっかりしたサイズ選別もお願いしたいです。お客様は重箱のふたを開けたときの大きさに敏感ですからね。少しでも異なるとやはり、気になるようです。うちでは5P中心ですが、シラスが採れていない年はそのサイズのぶれが目立ちます。また国産の他にも台湾産も美味しいと思います」

来年9月にワシントン条約締約国会議が行われる等、ウナギ資源に対する注目度は今後、益々、高まっていくが?

「ワシントン条約の掲載に対し、“ウナギ資源”保護につながるだけに決して悲観的な考えはありません。しかし一方では将来的にどれほど値上がるのか、という懸念もあります。またウナギ資源の減少についてはもっと“地球規模”で分析するべきなのかな、と思います。ウナギに限らず、他の魚でも減少している話は多いですし」

また職人不足問題に関してはどうだろうか?

「正直、うちは職人が一人ですので、先行き不安はありますし、結局は調理士紹介所頼みです。職人不足解消のためにはやはり、専門店としては美味しいものを提供し続ける事で消費者のこころをまずは押さえることしかないです。ウナギに興味を持っていただかなければ、職人さんを志すことさえかないません。とくに子どもの時に専門店の美味しい鰻をいかに召し上がっていただくかでその後が変わっていくと思います。ただ、ウナギ業界が昨今、抱えている“ウナギ資源問題”の件がどう影響するのかが未知数です」

最後に鰻専門店としてはどう、今後を乗り切るべきなのか。

「取り巻く環境は大きく変化していますが、私どもは今も昔も“美味しいものは好まれる”と考えていますし、だからこそ、これからもその美味しい鰻料理を提供し続けていきます。それが我々の出来ることだと思います」

[データ]
「日本橋宮川」
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-9-12 共同ビルB1F
電話:03−3241−0736

日高正盛社長ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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