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「蒲焼点が考える“これから”」61 〜2016年1月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


柴田 哲竜(さとる)店主
(炭焼 うな富士/名古屋市昭和区)

『日本の食文化を継承する者として責任を全う』

2016年に入り、早くも1ヶ月が経とうとしている。業界注目のシラスウナギ漁の動向が気になるが、不漁だった昨年のぺースと大きく変わらず、厳しい状況が続いている。先行きの展開が気になるところだが、ところで専門店としてはこれまでの売れ行きはどうだろうか。

「2014年の絶滅危惧種登録から1年以上経過した事もあり、昨年の夏以降売り上げ、来客数ともに昨年と比べ、微増で推移しています」

シラスウナギ漁は近年、不漁が続いている。一昨年は豊漁で値頃感も期待されたが、昨年が不良だった事から、活鰻相場は高値安定となっている。ここ数年、値上げを余儀なくされた多くの専門店、ウナギマーケットも縮小の一途を辿っている。そうしたなか、お客を一人でも多く取り戻すため、また近年のインバウンド消費に対する働きかけなどを行っているか。

「今まで通り、品質を落とさず、手を抜かず、感謝を忘れずに料理を提供しています。訪日外国人に対しては来年の伊勢志摩サミットを見据えて、外国語のメニューの準備を進めています。当店では、夜のメニューの中に豊富な魚貝類をふんだんに盛りつけた料理や珍味を格安で提供しています」

ちなみに扱っているウナギに関しては、産地などこだわりがあるのだろうか。

「当店は地焼きで調理しています。地焼きに適するうなぎは、脂肪分が適量で皮が柔らかい、いわゆる、青うなぎと呼ばれるうなぎです。同じ海域で育ったニホンウナギですから、どこで育てられても、同じ品質である事に変わりありません。ですから、産地にこだわらず、納得のいく仕上がりにこだわって調理しています」

ところで近年は、日本を中心に国内外にて、ウナギ資源保護管理が進んでいる。今年9月には、業界注目のワシントン条約締約国会議が開催されるなかでその動向が気になるところだが、貴店はどのような考えを持っているか。

「どの時点でないと、具体的にどうなるかは不明で、回答が出来ません。しかしながら、貴重な品物となることは確実だと思います。この先、どんな苦境に陥っても最後まで残る店としての心構えを持ちたいです」

資源問題の一方、解決の根本的な糸口が見えないウナギ文化継承に欠かせないウナギ職人不足問題。これに関してはどのような見解を持っているか。

「職人に関しては、こちからお願いして来てもらうものではないと考えており、来るもの拒まずで、採用しております。採用後は能力にもよりますが、なるべくウナギに触れさせて、仕事をする楽しさを覚えさせながら指導しています」

最後に、資源問題、職人不足、そしてウナギ離れによるマーケット縮小など専門店界を取り巻く環境は大きく様変わりしている。専門店にとって今後をどのように見通しているか。

「これからますます、貴重になるであろうウナギを扱う者としての自覚、そして日本の食文化を継承する者としての責任を全うすることは当然だと思います。今後は資源の保全や完全養殖推進のための募金運動を業界だけでなく、お客様にも理解していただき、日本全体を巻き込んだ運動にしていくべきだと思います」

[データ]
「炭焼 うな富士」
〒466-0058 名古屋市昭和区白金1-1-4 プレザント白金1F
電話:052-881-0067

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*「蒲焼点が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中

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