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「蒲焼店が考える“これから”」64 〜2016年2月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


本吉 勉氏
(元祖 本吉屋、10代目/福岡県柳川市)

「職人が仕事に誇りとやりがいを持てる環境整備が必要」

2016年に入り、早くも2ヶ月が経とうとしている。シラスウナギ漁もほぼ先が見え始めて来ている。決して好調とは言えない漁模様だけに、先行きの展開が非常に気になるところである。その一方で、専門店の売れ行きは現在、どのような感じとなっているのだろうか。

「売れ行きは前年並みに推移しています。柳川では現在、さげもん祭り(2月11日〜4月3日)が開催されており、国内だけではなく、アジアを中心とした外国のお客様で賑わっています。今年は、柳川出身力士琴奨菊関の優勝もあり、柳川がさらに全国的に注目されると期待しています」

近年、シラスウナギ不漁による活鰻原料の価格高から、多くの蒲焼専門店では、メニュー価格の値上げを余儀なくされている。これに伴い、客離れを引き起こす事になり、一部では廃業に追い込まれる店舗も散見された。そうしたなか、一人でも多くのお客を取り戻すために、何らかの働きかけなど対策を施しているのだろうか。

「特に新しい対策は取っていません。しかし、サービス業の原点に立ち返り、常に価格に見合ったサービスをお客様に提供し続けることを肝に銘じながら、一日一日、一組一組のお客様を大切に営業しています」

ところで、貴店が扱うウナギへのこだわり、あるいはどのようなウナギが“いい”うなぎと言えるのだろうか。

「当店は鹿児島および宮崎産の養殖うなぎだけを使用しています。脂がのった肉厚で柔らかいうなぎが“いい”うなぎだと思います。養鰻業者の方にはこのようなうなぎを安定的に供給してもらいたいと思います」

今年9月に、業界注目のワシントン条約締約国会議が南アフリカのヨハネスブルグで開催される。その前段として、新しく規制の対象とすべき種を提案する期限は4月27日となっており、約2ヶ月後に迫った。それだけに、ウナギ資源の保護管理問題については、メディア間でも昨年以上に取り上げそうだ。貴店においてはどのような意見を持っているだろうか。

「ニホンウナギがワシントン条約による規制を受けないよう切に希望しています。当店がこの問題に直接貢献できることは少ないですが、河川の環境保全や広報活動など微力ながらお手伝いしていきたいと思っています」

一方、前述したウナギ資源問題と同様に近年、大きな問題として看過出来ないのがウナギ職人不足。貴店では職人への対応はどのようにしているのだろうか。

「うなぎ職人も他の職業と変わらないと思います。職人が仕事に誇りとやりがいを持てる環境を整えることが必要です。そのため、仕事内容の幅を徐々に広げて、調理だけではなく、取材の対応や物産展への出展といった仕事も任せています。もちろん待遇面での充実も必要です」

近年、ウナギ資源をはじめ、職人不足問題など、専門店を取り巻く環境は大きく様変わりしている。そうしたなかで、貴店では今後、“うなぎ蒲焼専門店”はどうにあるべきだとお考えだろうか。

「当店にいらっしゃるお客様は、心地よい空間、そして美味しいうなぎを求めています。このようなお客様にご満足いただけるよう、常に店舗の整備を心がけ、一匹一匹うなぎを丁寧に焼き上げ、しっかりとした商品を提供し続けていきます」

[データ]
「元祖 本吉屋」
〒832-0022 福岡県柳川市旭町69
TEL:0944-72-6155

10代目/本吉勉<本吉屋> ブログ用.jpg

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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