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「蒲焼店が考える“これから”」80 〜2016年9月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


松澤彰子さん
(蒲焼・日本料理 川松/東京都台東区)

『お客獲得のため、面白いキャンペーンを検討中』

全国的にうだるような暑さとなった今年の夏の土用丑の日。しかし、“西高東低”と言われるように関東は梅雨明けが丑の日2日前と遅く、全般的に天候に恵まれなかった。

「土用丑の日はお店を浅草に構えている関係上、土曜日と隅田川花火大会が重なり、例年以上に多くの客入りとなりました。ただ、7月全体では“夏らしさ”、 “丑商戦らしさ”がなく、感覚的にも昨年より売れた感じはなかったですね」

一方、一昔前に比べると高値と言える価格水準だが・・・。

「仕入れ値が急騰した時に一度だけ、メニュー価格を値上げしました。当時は、客数も二〜三割減少しましたが、近年はリピーターのお客様など一品サービスしたりして、回復傾向にあります。また近年は、中国人、台湾人を中心とした外国人客数が増え、お店全体が海外の方たちで埋め尽くされることもありますよ。

ちなみにインバウンド対策に関しては、料理写真を掲載したメニューに英語、あるいは中国語を併記する程度で特別なことはしていません。海外の方が来られたときは、店の名前入りの小さな提灯を旅の思い出として差し上げています。また以前、新しく始めた『中入れ丼』を期間限定で導入し、1,000食目を召し上がったお客様にサービスするなどのキャンペーンでお客様獲得に動いていました。このようなキャンペーンを新たに実施しようか検討中です」

ところで貴店で仕入れるウナギの産地原料に対するこだわりはどうだろうか。

「私どものお店は創業明治6年で代々、国産のみ使用しています。扱いサイズは5尾、5.5尾で、特に柔らかい新仔中心です。以前、台湾産、中国産など試食も行いましたが、一昔前の“産地偽装”が世間を騒がせたこともあり、今も国産のみの扱いに絞っています」

一方、近年取りざたされるウナギの資源問題についてはどうだろうか。

「ウナギ資源問題に関して細かい部分はわかりません。ただ申し訳ないですが、スーパーさんには少しでも扱い量を抑えて欲しいとの思いはありますね」

またウナギ職人不足問題についてはどのような思いがあるだろうか。

「うなぎ職人がひとりいますが、調理場の子達もうなぎの技術を学び、頑張ってくれています。うなぎ職人問題は本当に深刻です。日本の食文化の中でもとくに鰻調理の技術は伝統的なものですので、ぜひ若い人たちにも受け継いでもらいたいです。また、あこがれを抱くヒーローのような、うなぎ職人さんが若手のうなぎ職人さんを増やす足がかりという意味でいらっしゃればいいのですが・・・」

近年のうなぎ加工品の台頭など、うなぎ蒲焼店業界を取り巻く環境は大きく変わっているなか、どのような思いがあるか。

「近年は、多くの外食チェーン店でもうなぎメニューを見かけますが、お客様に一通り召し上がった上で、最終的に私どもの“専門店”に戻ってきていただければいいかな、と思います。その分、私どもでは良い原料で、腕の良い職人さんによる美味しいうな重をこれからも提供していきます。また、ひいおじいさんやひいおばあさんの名前をコースメニューにつけさせていただいていますが、これは連綿と受け継がれてきたお店の歴史、そしてうなぎ文化をしっかりと継承していきたい思いの表れなんです」

[データ]
「蒲焼・日本料理 川松」
〒111-0032 東京都台東区浅草1-4-1
TEL:03-3841-1234

松澤彰子さんブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中

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