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「蒲焼店が考える“これから”」96 〜2017年3月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


三代目 大森啓好氏
(中村家/さいたま市浦和区)

『“心のサービス”大事に、心地よい空間を常に提供』

全国的な春本番が刻々と迫るなか、専門店の販売状況はどうだろうか。

「売行きは、ピーク時に比べれば当然落ちますが、常連さんはじめ、新規のお客様も徐々に増えてきました。うなぎ屋さんを取り巻く状況は厳しいですが、現状維持+αを目指して頑張るのみです。近年は、4年連続のシラス不漁による相場高騰、そして供給不安には頭をいためました。また “ウナギはもう食べられなくなる”や“食べてはいけない“など一般メディアによる“興味本位”的な報道の影響も受けました」

近年、外国人観光客の動向はどうだろうか、また貴店では販促など、行っているか?

「つい先日、弊店では創業80周年を迎え、2日間限定でキャンペーンを実施しました。大幅値引きで鰻重を、またご来店のお客様には割引クーポンをそれぞれ提供させていただきました。普段、販促に関しては別段、特別なことをしておりませんが、今後もお客様のご要望があれば何か対応出来ればと考えています。またこのエリアは、近くに埼玉スタジアムがあり、アーティストのライブ、競技などのイベントがあるとお客様の入り方も変わります。ただ一方で、浦和駅周辺はアーケードがないので、雨など荒天のときは人が出てこないんです。ですから、天気予報等で“大雪予報”と出てしまうともう大変です。ちなみに外国人観光客の割合ですが、全体からしたらほんの数%です」

ちなみにうなぎへのこだわりは何だろうか。

「創業からずっと国産のみを扱い、今でもそれは変わっていません。その理由として、トラブルが少なく安定感があるからですね。また問屋さんとの信頼関係から、ただ重量だけの選別ではなく、“中村家さんなら、このウナギが好まれるだろう”と私どもが好むウナギを選んでくれており、有り難いです。ただ、見た目が良くても実際、白入れると『あれ?』と思うものもありますし、その逆も然りです。同じ活鰻原料でもタレやら、焼き手の技術、お店のスタイル等で大きく変わりますから、一概に活鰻原料をトータル的に判断することは難しい部分もあります」

ところで、昨今のウナギ資源保護問題についてはどのようなご意見があるだろうか。

「限られた資源のなかでは“無駄を減らす”ことですね。また天然ウナギ、あるいはシラスウナギを捕りすぎない事も重要かと思います。今の時代、当たり外れのある天然ウナギを扱わなくても、品質の安定した養殖ウナギがあります。ちなみにウナギは、食べなくても生きていける、のかもしれませんが、やはり長い歴史を持った文化ですし、幸せな気分になれるウナギはやはり特別でありますし、今後、資源を大切にすることはとても重要な事です。ちなみに協同組合浦和のうなぎを育てる会では、ウナギ完全養殖の研究機関への募金を集めているところです」

一方、ウナギ職人不足についてはどのような考えを持っているだろうか。

「イタリアン、フレンチ、中華、和食などに比べ、うなぎはメジャーではない感じが否めない。もっと調理師学校等に働きかけ、“うなぎの授業”を組み込む事も大切。そうした授業を通してまず、ウナギに触れさせるという、取っかかりが大切だと思います」

取り巻く状況が大きく様変わりする中、今後、お店としてどうあるべきだろうか?

「これまで以上に高いお金を払って来てくださるお客様のため、まじめに仕事に従事し、美味しいウナギを提供し続ける事、これだけです。弊社社長にもよく言われるのですが、“心のサービス”を大事に、心地よい空間を常にお客様に提供出来ればと思います」

[データ]
「中村家」
〒330-0063 さいたま市浦和区高砂3-2-12
電話:048-822-2585

三代目:大森啓好氏 ブログ用.JPG

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