SSブログ

「蒲焼店が考える“これから”」48 〜2015年7月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


緒方大専務取締役
(田舎庵/北九州市小倉北区)

『短期〜中期的な資源管理の対策が必要』

業界の書き入れ時である、土用丑の日が間近に迫った。昨年は、一般消費者にとってとくにインパクトの強かった“ニホンウナギの絶滅危惧種登録”があったが、今年は良くも悪くも話題性のあるニュースは少ない。そうしたなかで需要期、オフシーズンも含めて、売れ行きをどのように見通しているか。

「昨年から売上は伸びていますので、今年も微増と予測しています。インバウンド需要は全体の1~3%程度です」

近年、シラスウナギ不漁を背景に、相場は高騰。これにより、メニュー価格の値上げを余儀なくされ、一時期は客離れも目立った話も聞かれた。また一人でも多く離れたお客を取り戻すために販促など何らかの対策を実施しているか?

「良い鰻を仕入れる努力、良い調味料を探す努力、鰻の伝統食としての基本の味である天然鰻の味を少量でもお客様に味わって頂き、鰻の味の基本を知ってもらおうとする努力を日々続けています。また提供する鰻の量などを調整することで値上げを最小限に抑えているため、特に客離れなど起こっていません」

一方、来年9月に予定されているワシントン条約締約国会議。ニホンウナギが仮に掲載された場合、貿易規制で“ウナギの流通量”はいまの“18%”に抑えられる試算もある。これらについての意見、また早めの対策等を検討しているか?

「CITESは『附属書 I 』『附属書 II 』のどちらに掲載されるかが重要です。『附属書 II 』の場合は貿易規制は許可制に移行するだけで流通量は大きくは変わらないと思います。18%という試算も、今諸団体が行動を起こされているのも、基本的に『附属書Ⅰ』に対する試算、回避に向けての行動と理解しています。

現在までの諸対策を見ていると『附属書 II 』は不可避に近いと思いますので、各省庁・諸団体が台湾・中国との許可制移行手続きのスキーム作りを速やかに調整頂くことを期待しています。その上で改めて今公表されているよりも更に一段と厳しく踏み込んだ、予防的で短期~中期的な資源管理の対策が、国の施策として必要だと感じます。日本養殖新聞にも業界紙として、この騒動に対する整理された特集並びに貴紙の見解を教えて頂きたいです」

最後に、ウナギ資源問題の一方で、ウナギ職人不足も大きな懸念材料の一つとなっている。これに対してどのような意見があるのだろうか。

「日本の伝統工芸、伝統食品の分野も職人の担い手が減少し、絶滅危惧種です。例として日本酒業界の杜氏があります。これから先を考える上で、『獺祭』の蔵元、旭酒造 桜井氏の脱杜氏化の取り組みが、この業界にとっても示唆に富むものだと思います」 

[データ]
「田舎庵」
〒802-0004 北九州市小倉北区鍛冶町1-1-13
TEL:093-551-0851

田舎庵・専務 緒方大ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。