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「蒲焼店が考える“これから”」66 〜2016年3月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


西山加三喜(かみき)専務取締役
(一味亭/埼玉県ふじみ野市)

『高価な鰻の付加価値作りがより重要に』

今月も半ばに差し掛かり、桜開花も近づくなどうららかな春到来が待ち遠しい今日この頃。日によっては幾分、陽気も和らぐなど人出も多くなってくる。貴店では気になる売れ行きは現在、どのような感じだろうか。

「おかげさまで昨年と同水準で推移しています。常連のお客様、また地元のお客様にも支えて頂いています」

近年はシラスウナギの不漁、かつシラス池入れ量の20%削減、また日本の養鰻業が許可制となるなど規制がかけられている。このため、活鰻価格も“上がることはあっても下がることはかんがえにくい”状況下、大半のお店でもメニュー価格の値上げを余儀なくされた。ウナギ離れが起きる中、一人でも多くのお客を取り戻すための対策、あるいは貴店の取り組みなどはどうだろうか?

「『お祝い・記念日の店、一味亭』として『ハレの日』に利用する鰻屋になれるような店作りをしています。お客様が楽しい時間を過ごす為の空間作り、接客に気を配り、こだわりの鰻料理で喜んでいただけるようみんなで意見を出し合っています。また、お店の事、鰻料理の事について情報発信をさせていただいています」

ところで、貴店が考える“良い”うなぎとはどのようなものなのか?また国産、輸入ウナギといろいろあるが、それらについての見解はどうだろうか?

「裂きやすく、蒸した時にふっくらとする鰻が個人的には良いウナギではないかと思っています。当店は創業当初より、国産鰻専門店として営業しています。お客様が持つ、国産への信頼、安心は根強くあるかと思いますので、今後も当店の味と国産鰻への価値観も含めこだわっていきたいと思っています」

今年9月にワシントン条約締約国会議が南アフリカのヨハネスブルグで開催される。その前段として、規制対象とすべき種類を提案する期限は4月27日までとなっている。それまでにニホンウナギ“が加盟国から提案された場合はかなり、本会議ではかなり厳しい状況に追い込まれることは想像に難くない。それだけにニホンウナギの資源保護管理問題については、必要以上にメディアも取り上げそうだ。貴店は、ウナギ資源に対してはどのような意見、考えを持っているか。

「流通の規制により鰻がより貴重な物、高価な物になる事が予想されますので、今まで以上の丁寧な仕事、鰻をどのような時に食べるかなどの付加価値が大事になってくるかと思っています」

一方、ウナギ資源問題に並ぶぐらい重要なのがウナギ職人不足。貴店では、こうした現状に対してどのような見解をお持ちだろうか。

「近隣の小学校の社会科見学などに協力しながら、子供のころから、鰻に触れ合える機会を作るようにしています。そこから、鰻、料理の世界に興味を持ってもらうことが、まずは第一歩だと考えています」

ニホンウナギの資源問題、仕入れ価格、職人不足の問題などが近年、一気に噴出、専門店を取り巻く環境も一変した。先行き不透明な中で、貴店では今後、“うなぎ蒲焼専門店”として、どうあるべきか、どのように今後を乗り切っていくのだろうか。

「美味しい鰻、それぞれのお店のこだわりの鰻をお客様にご提供する事はもちろんですが、これからは高価になった鰻への付加価値づくりがより重要になってくるかと思います。また、機械ではできない鰻職人の丁寧な仕事をお客様に伝えていく努力も、これまで以上に必要だと考えています」

[データ]
「一味亭」
〒356-0050 埼玉県ふじみ野市ふじみ野3-4-10
TEL:049-262-5321

西山さんブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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