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「蒲焼店が考える“これから”」116 〜2018年2月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


2代目 三瓶 和弘氏
(うなぎ・天ぷら 川松/茨城県古河市)

国内・外産問わず、柔軟な姿勢で美味しく調理を

今シーズンのシラスウナギ漁は、かつてない不漁に見舞われている。活鰻流通価格も国内外産問わず軒並み、上昇するなか、現時点において値上げ、あるいはメニューの変更(詳しく)など、何らかの対応をすでに検討しているか。
「3月をめどに値上げを決めました。うな重の種類を1匹、1匹半、2匹の蒲焼を乗せたシンプルな物にしようと思っています」。

近年、仕入れ高を背景に厳しい販売状況のなか、販促、あるいはインバウンド消費(訪日外国人旅行者)のために何らかの対策などを行っているか。
「今年1月21日に地元の川魚料理店、鮒甘露煮店で構成する『古河の川魚料理を広める会』で“第1回 寒のうなぎ祭り”を開催いたしました。思っていた以上に反響があり、地域の専門店が力を合わせてPRすることは、素晴らしい結果につながるなと実感いたしました」。

ところで貴店では国産、中国産、台湾産(※どれも同じニホンウナギ[アンギラ・ジャポニカ種])のうち、どれを扱っているか。また今夏に向け、国産新仔不足必至のなか、今後をどのように考えているか。
「鰻専門店のイメージが強い為、5尾の国産のみを使用してきました。しかし、シラス不漁の中、今年に入り価格が高騰し、しかもサイズを選ぶ事も難しくなってきました。試しにと思い中国産、台湾産の活鰻をそれぞれ試食してみました。国産に比べて多少味に違いが有りますが、思った以上に美味しいと感じました。そこで、国産を中心にした基本は変えずに柔軟な考えを持ち、その時にある活鰻を使用する事にしました。国産、中国産、台湾産と別け隔てなく、鰻を美味しく調理する事を大切に感じています」

昨今、取り沙汰されるウナギ資源問題。専門店間では、天然ウナギ不使用の動き、完全養殖の商業化に向けた研究機関への募金活動など見受けられる中、“資源保護・管理問題”に関して、どのような意見があるか。
「うなぎを大切に取り扱う事を考えています。夏のイメージを払拭して1年を通して平均に鰻が売れるように考えていく事だと思います」。

資源と同様、深刻の度合いを高めるウナギ職人不足。その育成や確保については?
「ヨーロッパでは調理師は地位が高いと聞いています。誇りを持って仕事に打ち込むしかないと思いますし、そうした姿を見せるしかないと思います」

専門店を取り巻く環境が一変する中、〝鰻専門店〟として今後、どうあるべきか、何をしていくべきか?
「1年を通して美味しいと言われる鰻料理を提供していく事だと思います。お客様が『ハレの日のご馳走は鰻だね』と言って召し上がって頂けるように頑張って仕事をしていきます」

[データ]
「うなぎ・天ぷら 川松」
〒306-0033 茨城県古河市中央町2-8-63
電話:0280-22-7648

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美味!!「鯉」メニューのお店7〈2016年6月15日号掲載〉 [鯉シリーズ]


東京・葛飾区「川千家」

帝釈天と一体で地元を盛り上げる!

鯉料理を扱うお店を紹介する「美味!!『鯉』メニューのお店」シリーズ。7回目の今回は、東京・葛飾区柴又の老舗「川千家」を訪問、10代目の天宮久嘉代表取締役に料理へのこだわりや、鯉の消費拡大に向けた対策などについてお話を伺った。

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歴史ある「川千家」の外観と店内

「川千家」は1778(安永7)年創業、およそ240年もの長い歴史を誇り、5月25日号の本紙で掲載した同じ柴又の「川甚」とは目と鼻の先にある。やはり、帝釈天の参道に位置していることもあり、利用客のおよそ半数を参拝客や観光客が占める。
「当店は帝釈天と一体となって商売をしており、帝釈天を訪れたお客様をおもてなしするという意識を常に持っています」。
天宮社長は経営者としての心構えについてそう話す。取材に訪れたのは6月10日だったが、「毎月10日は『寅さんの日』で、参道で大道芸などが行われます。こうしたイベントにいらっしゃるお客様をもっと定着させたいですね」と話すように、平日にもかかわらず、多くの観光客で賑わっていた。

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「うな重 竹」と「鯉のあらい」

来店客のほとんどが注文するのが「うな重定食 竹」。鯉料理は「鯉あらい」と「鯉こく」を提供している。鯉は福島県猪苗代湖畔で養殖されたものを使用し、1尾の重さは3〜4kgほどで、やや丸みを帯びているのが特長。

「鯉こくはブツ切りしたものをそのまま入れて充分煮込み、味を濃いめにしているためエキスもよく出ています。あらいは脂っぽさを落としてさっぱりと仕上げ、独特の歯応えを特長として残しました。やはり創業当時からの味ですから大事にしていきたいですね」。
天宮社長は料理へのこだわりについてそう説明する。

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「鯉こく」

一方、消費面については「2週間に一度程度の割合でご来店いただくたびに鯉を注文されるほど熱烈なファンのお客様がいらっしゃいますが、やはり鯉自体が一般になじみが薄いこともあり、消費は昔と比べて減っています。鯉は食べると元気になるイメージがあるので、それをうまくアピールしていきたいですね」と、伸び悩んでいることを明かす。そのため少しでも鯉に親しみを持ってもらおうと、コース料理の一部として鯉のうろこを揚げた「鯉のうろこの唐揚げ」と、鯉の身をごま油であえた「鯉のごま油あえ」を提供。利用客から好評なら単品メニューとしての提供も考えている。

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「鯉のごま油あえ」と「鯉のうろこの唐揚げ」

「鯉の消費拡大のために『栄養豊富で元気が出る魚』という部分をPRしていく必要があるでしょう。食わず嫌いな傾向を改善していかなければなりません」。
天宮社長は鯉には多くの栄養が含まれていることを改めてアピール。加えて「地元の皆様に愛されなければ観光客の皆様にも愛されません。地域を盛り上げながら当店も盛り上げていくという昔からの方針で、引き続き地域に貢献したいと思います。来年には外国人観光客向けの宿泊施設もオープンする予定で、さらなる観光客の増加に期待したいですね」と、地元住民に愛されることの大切さも強調した。

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天宮 久嘉代表取締役

「うなぎ・川魚料理 川千家」
〒125-0052 東京都葛飾区柴又7-6-16
電話:03-3657-4151

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最新号20.4.15発行しました! [本紙記事/速報]


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主な内容〈8ページ建て〉
▼消費地、緊急事態宣言で深刻さ一層浮き彫りに 〜「コロナで先が見えない、体力消耗戦」(東京鰻蒲焼商組合・鴛尾誠一郎理事長)「今はじっと耐えるしかない」(淡水魚組合・木原眞一組合長)〜
▼「高校生うなぎニュース」動画配信開始 15日より/青鰻会
▼全国の鰻蒲焼支出額、2ヶ月連続のプラス 〜家計調査2月分(速報)2人以上の世帯〜
▼えっせい 鰻に魅せられて その110 〜“ピンチはクイズ”、過去にないコロナ問題を解く〜
▼国内外で60㌧上回る 〜令和2年度シラス鰻〜
▼新美貴資の「めぐる。」94 〜希望を灯し未来につなぐ 自分を守ることは大切な人を守ること〜
▼伝統と新アイディアで消流拡充 〜地産地消の「佐久鯉」栄養面でもPR〜
▼4月1日から販売開始 牛丼チェーンの「すき家」〜「うな牛あさり汁おしんこセット」〜
▼西友、春土用丑で長蒲焼特価販売 〜セブン、予約の蒲焼弁当!〜
▼目指すはアットホームな雰囲気の割烹屋 〜取材先で見つけた話題のうなぎ料理専門店 栃木県小山市「和どころ 佐のや」〜
▼今号のうなLady Vol.161
▼生鮮アユ、6月の需要期に期待 〜西友では串打ちでの販売も〜
▼栄養素に見る鯉の魅力② 元気の源で免疫力向上を 鯉を身近に〜耳よりコラム〜②
▼コロナ禍で業務筋の売れ行き苦戦 〜銀ザケ市況〜
▼緊急事態宣言発出で蒲焼専門店、様々な対応 “テイクアウトに特価”“夜の営業中止” 〜来月6日まで完全休業のお店も 「休業補償したくないのが見え見え」厳しい指摘も〜

その他。

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